LGから2種類の液晶モニターが発売になる。以前紹介したものだが、これで日本企業が触発されれば良いな、と私は思っている。
曲面モニターで没入感を
LGが今回発売したモニターの一つは、21:9の縦横比を持つ曲面型IPSパネルを持つ「34UC97」である。価格はオープンプライスとなっているが、店頭予想価格は132,000円前後となる見込み。
正直、価格が高すぎるだろ、と思う所もあるのだが、34型液晶モニターとして考えればあり得なくもない価格かもしれない。
解像度は3,440×1,440ドットで、表示色数が約10億7,000万色、色域はsRGB比99%、輝度が300cd/平方m、コントラスト比は1,000:1(最大500万:1)、中間色応答速度が5ms、視野角が上下/左右ともに178度という、パネル性能は一般的といいつつも上位にあたるような製品になる。
縦横比が21:9という事で、最近の映画の比率とよく似た比率にする事で、今後のビデオシーンを先取りしているような感じがする製品だが、曲面である事でこの広い横幅を余すところなくユーザーに没入感を与えられるように考えられている。
フルHDもしくはWUXGAを使っていた人が乗り換えても、解像度の縦幅が1,200ドット以上であるため、縦の表示幅で困る事はない。そこは個人的に高く評価できる部分である。
インターフェースもDisplayPort 1.2、HDMI 1.4×2、Thunderbolt 2×2を搭載し、次世代規格にも対応する。
こういう仕様である事を考えれば、フルHDやWUXGAの人が乗り換える製品としての有力候補にもなり得ると言えるが、いかんせん価格が高めなのが問題である。正直、この価格なら次に紹介する製品を購入する人の方が多いように思うのである。
Adobe RGB比99.5%の4Kモニター
LGが11月に発売するもう一つの新製品は、4,096×2,160ドット(4K)の解像度を持ち、Adobe RGB比99.5%の色域に対応する31型IPS液晶ディスプレイ「31MU97-B」である。価格は「34UC97」と同じくオープンプライスだが、店頭予想価格は132,000円前後である。つまり、両社の価格は大きくは離れていない事になる。
解像度はいわゆる4Kと呼ばれるもので、さらにハードウェアキャリブレーションに対応する。デジタルシネマの国際基準DCI(Digital Cinema Intiatives)規格もサポートしていて、さらに1画面上に同時に2つの色域を設定して同時に画面描画する「デュアルカラースペース」機能を備えている。これでWebベースの色合いと印刷ベースの色合いを1つの画面でチェックできるわけで、業務用としては実に良く出来た仕様と言える。
その他のパネル性能は、表示色数が約10億7,000万色、輝度が320cd/平方m、コントラスト比が1,000:1(500万:1)、中間色応答速度が5ms、視野角が上下および左右ともに178度と、驚く程のスペックではないが、4Kである事を考えれば現状これを超える事は難しいと言える。
インターフェースはDisplayPort 1.2、Mini DisplayPort 1.2、HDMI 1.4×2を搭載し、所謂DVI-Dの端子を持たない次世代型製品になっている。DisplayPortによる接続であればおそらくだが4Kで60fpsの表示が可能になっているはずだ。
この二つの製品、価格差はほぼない(というか予想価格だと差がない)。だからユーザーは曲面による没入感を取るか、4Kを取るかで両者を選択する事になる。だが、表示品質で言えば圧倒的に4Kの「31MU97」が上とも言えるワケで、今後の世間におけるスタンダードモニターを考えると他に選択肢がない。あえて今エンターテイメントとして没入感を求める場合であれば曲面モニターの「34UC97」もアリだとは思うが、私なら「31MU97」を選択するだろう。
どちらにしても、もう少し価格が安ければ…というのが本音。
こればっかりはどうしようもない話かもしれない。