自分で言うのも何だが、私はかつてパワーユーザーだった。それはPC関連がとても面白い領域にあったからだった。
最近のPC事情
最近のPC関係の情報は、実に面白くない。というか、行き着く所まで行った、という事なのかもしれないが、Intelの独り勝ち状態が続いている事も理由の一つかも知れない。
私がまだお金に余裕があり、パワーユーザーと呼ばれるような立ち位置でハイパワーパーツを集めて自作PCを楽しんでいた頃は、AMDが実に良い立ち位置でIntelにカウンターパンチを喰らわせていたりして、面白かった。
AMDがAthlonを出していた頃などは、Intelが迷走していた事もあって、今とは立場が逆転していたように思う。
しかし、前述したように今はIntel一強時代になり、AMDはもっぱら省電力型コアにのみ力を入れるようになった。その省電力にしても、タブレットにまで入り込めるx86コアはIntelの方が既に有利に立っている。
もうx86コアの世界ではIntelを超えられるメーカーは存在しない。実につまらない話である。
ただ、IntelはIntelで今後の開発に関してそれなりに頑張っているとは思う。
ヘテロジニアスコアに向かうにあたり、CPUとGPUを共存挿せていく中で、GPUが使用するメモリを高速化するため、eDRAMをSoC内に入れてみたりと、面白い事はしている。
また、電圧レギュレータをSoC内に入れてみたりして、全体の電力管理すらも1チップで行っていくというスタンスも面白い。
だが、それでもIntel一強である以上、そこには競争というものがなく、IntelがIntelの速度で、自らが考えているアイディアを投入しているに過ぎない。
また、プロセスの微細化に関してもIntelは既に世界のリーダーたる立ち位置にいる。それがこの業界をさらにつまらなくしている一つの要因である。
ようやく、TSMCなどのファウンドリも20nm以下のプロセスに突入してきたが、Intelの後追いである事は変わらず、またIntelが進んでいる14nmの世界には到達しているとは言い難い。
一般人には無関係?
ただ、こういう事実は、PCを使用する消費者サイドにはあまり大きな意味がない。
実際、PCが“快適”に使えればそれでいいのだから。
ただ、その“快適”という部分に、これらハードウェアの技術が効いてくるのであり、その為にパワーユーザーは投資するのである。
…といいつつも、矛盾するかもしれないが、やはり一般人にはあまり無関心な事である事は間違いない事実であり、それ故に今はPCの買い時が難しかったりする。
個人的にはHaswellの低電力版が出てきた時が、ノートPCの買い時だったと思っている。
この一つ手前にあたる、Ivy Bridgeの頃から比べると、省電力性は劇的に向上し、またグラフィック能力もかなり改善された。それ故に買い時と言えるのだが、ではHaswellが登場してしまった今、そうした時代の波がくるのだろうか?
この波が来るようであれば、一般人も無関係ではいられなくなる。
14nmのBroadwellは短命?
そしてIntelは来年2015年の第1四半期に、Haswell Refreshの次にくるBroadwellを投入してくる。
Broadwellは、アーキテクチャそのものはHaswellの小改良に留まり、GPU能力を拡大したモデルになる、という話だが、実際には電圧レギュレータ部分などの見直しも行われているため、コアとしての相対的な能力上昇はかなりなものになる、と私は見ている。
だから、先程の“時代の波”という意味では、それなりの波が来ると私は思っている。
だからもし今ノートPCを買おうかどうしようかと悩んでいる人で、最新のものでないとダメ、という人がいるなら、来年の3月くらいまで待つことをぜひお薦めしたい。
とお薦めしておいて何だが、実はこのBroadwellの次にくるskylakeが2015年下半期に出てくるという話が出てきた。
こうなると…Broadwellは実に短命なコアという事になる。
次なる技術を搭載したコアが半年後程度に登場となると…実に薦めにくい製品である。
ま、それでも一般人は使えれば良いという究極の目的があるため、あまり意味がないかもしれないが。
eDRAM搭載版もあるよ
BroadwellはHaswellと同じく、引き続きIris Pro Graphicsを搭載するコアに、高速なeDRAMを搭載したコアを投入する。
正直、最近は内蔵GPUでも十二分な性能を持つ事もあり、Iris Pro Graphicsを搭載していればほぼ困る事はないのではないかと思う。
もっとも、高解像度の3Dゲームをプレイしようと思えばディスクリート型のGPUカードが必須になるが、一般的な使い方だと既にビデオカードを外付けにする意味がなくなっている。
それほどの能力をもつGPU機能を既に内包しているが、それらの機能をより高度化する事で、一定の付加価値を持たせるのが今のやり方である。
なので総合的にBroadwellはHaswellより高度化する事は間違いない。
ただ、これはAMDでも同じ事を思うのだが、私はディスクリート型GPUを使う意味をもっと考えて欲しいと思っている。
ディスクリート型GPUを使う人は、より高度なグラフィック処理を求めるからビデオカードを導入するのであり、その際にはCPUコア内に搭載されたGPU能力は使わずに機能をオフにしている、というかせざるを得ない状況になっている。
しかし、その内蔵型GPUを使わないのはあまりにももったいないと思うのである。
であるなら、ディスクリート型GPUを使用している人に対しては、内蔵GPUを何かしら物理演算に使用したり、或いはディスクリートGPUの補佐的な使い方ができるような、そんな機能を付加してほしいのである。
外付けビデオカードを使ってるから、持っている機能を単に使いません、というのは、実にもったいない話である。
電力あたりのパフォーマンスを向上させたいなら、そういう部分にこそ目を向ける必要があるようにおもうのだが、いかがなものか?
私は現在VAIO Duo 13を使用していて特に困る事がない。
バッテリーの保ちはよく、グラフィック能力も高い。オマケにCPU能力も満足以上の結果が出る。正に良い買い物であった。
このように思えるノートPCが、来年第1四半期に登場する事を今は祈りたい。