昔は家にも置いてあったのだが次第に「紙に出力する」という事をしなくなったため、今はない。
プリント方式を知る
プリンタと聞くとほとんどの人はインクジェットプリンタを思い浮かべるのではないかと思う。それぐらい、インクジェット方式が当たり前になったワケだか、昔は熱転写プリンタが普及価格帯では当たり前だった。
熱転写? と思う人は、ラベルプリンタの「テプラ」とかを思い浮かべれば良い。乾燥インクが塗布されたテープに熱ヘッドが密着して熱を加え、その熱によってインクが溶け出して転写する、という方式である。
今はもうプリンタを作ってはいないが、アルプス電気が“マイクロドライプリンタ”として展開していたものが多分民生品としては最後の汎用プリンタではないかと思うが、このマイクロドライプリンタはオフセット印刷並の品質が得られる高品質が売りで、しかも特色(金色とか銀色などのメタル色)を出力できるプリンタとして、今でも現役で使用している人がいると言われている熱転写プリンタである。
ただ、もうこの熱転写プリンタを普通に使っている人はほとんどいない。前述のような特殊な用途でしか活躍していないのは、ひたすらにコストがかかるからだ。しかも基本的に1回のヘッドの移動で1色しか印刷できないため、カラーとなれば最低4回、特色を含めれば6回くらいは紙を往復させないと行けない。この紙送りの技術もかなり高精度に行わなければ印刷ズレを起こすため、今の手軽にカラープリントという流れと逆行する。
なので、普通の人がカラープリンタが欲しい、となると、今の時代はもうインクジェット方式しか選択の余地がない。
レーザープリンタ方式という手もあるが…こいつもドラムの交換などで莫大なコストがかかるため、あまり家庭用としてはお薦めできるものではない、と私は思っている。
ちなみに…インクジェット方式にもメーカーによって違いがある。
Canonでは昔から「バブルジェット」(サーマルジェット方式の事)、Epsonは「ピエゾ方式」(電圧を加えると変形するピエゾ素子を使う方式)を使っていて、それぞれ一長一短あり、ユーザーレベルで考えればどちらが良いのか? という判断はあまり必要ないと言える。
インクを知る
熱転写という特殊なものはこの際おいておき、インクジェット式として考えていくが、次に知る必要があるのはインクである。
基本的にインクは染料系と顔料系の2種存在する(特殊なものを除く)。
染料系インクの最大の特徴は水分や油分に溶けるという事。溶けているため、インク全体がその色に染まっている為、紙や繊維の中に浸食して発色するという特徴を持つ。しかも透明性があるため、インクを重ねて出力するという事ができるため、彩りを要求する写真印刷などでとても綺麗に出力できる。
一方顔料系インクというのは、水分や油分に溶ける事がなく、とても小さな粒子状で溶剤中に分散している…つまり、これは極端な話だが、ずっと放置しておくと溶剤の底に沈殿する可能性がある。最近は合成金属化合物や石油化学合成による顔料が多い為、沈殿する事は稀と言えるが、基本は溶けていない粉による着色であるため、あまり透明性がない、という特徴を持つ。
このように書くと、染料系インクの方が凄いじゃないかと言われるかも知れないが、顔料系インクは水分や油分に溶けていないため、耐水性があり滲まないという特徴を持つ。また紫外線などにも強い為、耐候性は染料系の比ではない。
ちなみにEpsonは基本的に染料系インク(最高6色)のみ、Canonは染料系インク(黒含めた5色)+黒の顔料系インクという構成を採っている。Canonの顔料系黒インクは、主としてドキュメント出力(文字出力)を想定した使われ方がなされている。
最近民生品のプリンタに力を入れてきているブラザーは黒以外のカラーインク3色を染料系とし、黒のみ顔料系インクという方式を採る事で低コスト&文字もクッキリという事を狙っているようである。
で、どれがお薦め?
これはもう使い方次第、というのが本音。
もし「文字出力が圧倒的に多い」ならCanonもしくはブラザーがお薦めと言える。何より黒の顔料系インクがある事が最大の特徴だからだ。
ただ、Canonはバブルジェット、ブラザーはEpsonと同じピエゾ方式という違いがあるため、この辺りは出力見本を見ながら自分の好みで選ぶのがいいかもしれない。
…多分、文字出力だけ見てれば違いがほとんど分からないと思う。写真出力を見ると、若干Canonの方が表現力が豊かか? という感じがするかもしれない(グレーの染料系インクが含まれているため)。
もし「文字も出すけど写真が多い」というのなら、Epsonを選ぶのが良いかも知れない。これはもう染料系インクというアドバンテージというだけでなく、最高峰モデルでは黒を含めて6色というカラーインクが採用されているからだ。
シアン、マゼンタ、イエローの3色にライトシアン、ライトマゼンタの2色が加わる事で絶妙な色合いが表現できる。特に人の肌色に関してはライトマゼンタの効果はバツグンである。寒色系にしてもライトシアンの効果で淡い色がスッと出せるのは非常に良い。
もちろん、こうしたインクの特徴だけでなく、他の機能を見て選ぶ必要もあるだろう。
最近は複合機である事がほとんどであるため、スキャナの性能やその他付随する機能も見なければならないが、決定的な差になる事はあまりない、と私は見ている。
まぁ…ブラザーのみスキャナ能力は落ちると考えても良いかも知れないが、それも微々たるものであり、気にする必要も無いかも知れない。
私が選ぶなら…
ブラザーは今の所ない…とこれだけはハッキリしている。別にブラザーが嫌いという事ではなく、単純に染料系インクに黒がない事がその理由である。
また、私はあまり紙出力をしないため、あまりランニングコストを気にする必要がない。
しかも最近はカメラを僅かながら趣味にしている所もあるため、それであるなら、より美しく出力できる機種が私には最適、という事になる。
この視点で見るならば、今ならEpsonの『カラリオ EP-807』系がベストかもしれない。AKB48の渡辺麻友が「ちいサメ」とCMしているアレである。
Canonなら『PIXUS MG7530』という事になるが、この2機種は価格的にも拮抗する機種であるため、正直コスト的にはどちらかが有利と言うことはほぼない。
問題となるのは、その出力特性とインク特性であり、写真ベースで考えるならEpsonがいいのかな? というだけの事である。
しかし…この性能で15,000~17,000円くらいで買える時代になったんだな…。
置き場所等の問題で比較するならば、今はEpson機の方が小さくまとまるかもしれない。
Canon製よりも一回り、二回りほど小さく収まっている。ブラザーはCanonより小さいがEpsonよりまだまだ大きいと言える。
もし予算として2万円まで出せる、というのなら、私ならEpsonの「カラリオ EP-807』を選択するだろう。
もし1万円までの予算だとするならば…もう少し機能や性能を絞った調査をしないといけない。それでも出力特性とインク特性は予算2万円以下クラスの機種と何ら変わらないだろうから、メーカーは自ずと決まってしまうだろう。
買い物は上手くしたいものである
突然プリンタが必要かも…と思い立ったため、今回のような記事を書いてみたが、同じプリンタでもメーカーによって出力特性も違えばインク特性も異なる、という事は知っておいて損はないだろう。
こういう知識を持った上で、量販店に訪れ、その販売員の言葉に耳を傾けるのも面白い。その人がホントに正しい事を言っているのか? 或いは自分以上の事を知っていて説明しているのか? など製品選びをどの基準で行っていて、どれを薦めてくるのか? 等、話がとても興味深くなる。
ただ、量販店の販売員は在庫等の兼ね合いで薦めてくる機種が決まっている事もある。
私が量販店の販売員の言葉を鵜呑みにしないのは、その店舗の内部事情等の影響を受けたくないからだ。だから自分で調べてから店頭に赴くようにしている。この場合、店頭に赴くまでもなく、ネットで買ってしまうというのが一番手っ取り早いのだが、それでも店頭に行くメリットもある。それはその店舗の内部事情によってとてもリーズナブルな製品が登場する可能性があるからだ。
特にメーカーによって機能差がない製品などの場合で、自分の中で「コレ」と決めた製品がない場合などは店頭での購入にはコストでメリットが生まれる可能性がある。
そういうメリットとデメリットを上手く活用するのが一番賢い買い物ではなかろうか?
私が今使ってるプリンタは安売りで7000円位で買ったCanonの複合機。
私は昔からプリンタはCanonを使ってたんですが、その理由は置き場面積が比較的小さくて済んだから。
要するに印刷の性能は二の次だった訳で、それでも時々文書印刷する程度なら必要十分でした。
…が、最近写真を撮る機会が多いので、写真を印刷したくなりまして…
試しに今のプリンタで印刷したら、まぁ酷いことw
そんなわけで、後々プリンタを買おうかなと思ってます。
と言っても、フォトコンに出すわけでは無いので、2万以下で良さそうなのを考えてます。
今回の記事は参考にさせてもらいますね。
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2万以下ってなると、現状ではホームタイプの最高峰が買えるはずですw
文書の取扱次第ですね。
顔料系は滲みにくいという特徴がありますが、染料系でも読めないほど滲むわけではないので、ドコを妥協するかで決まると思います。
ちなみにヘッドの構造で言うならばピエゾ方式の方が絶妙な色ノリをコントロールできるそうですが、気泡が入れば目詰まりを起こしやすいという弱点があります。
バブルジェットはインクの量をコントロールするという面ではピエゾ方式に一歩譲るそうですが、その分目詰まりには強いようです。但し、熱を加えるのでヘッドの故障はそれなりにあるとか。
ね?
こうやって比較すると悩むでしょ?www
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プリンタ系は、ノーコメントにてw
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どういう意味でノーコメントなのか? という事までは詮索しませんが…まぁ制御系プログラムの事を言っているのではないかと思います。
私はプリンタはヘッドとインクで決まると思ってるので、特に問題はないですね。
もし制御系に問題があるとしたら…その時点で商品としてどうなのか? という話になってしまいますから。
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10年使っていたCanon MP700が黒のみ印字出来ず退役することに
プリンタは11月末にCanon MX923を購入しました
オイラのトコは趣味用途とあわせて事務用にも使うので
普通よりチョット使うかな?程度でしょうか
本体も必要経費で賄えるのでチョットだけ高価な機種にしてみました
多機能ゆえに故障しないかチョット不安です。
そしてコミケ期間中に急遽必要になって安いプリンタを購入
EPSON PX-105を6,000円程度で購入、紙、USBケーブル、予備インクを纏めて買って10,000円チョイだったか
単機能故に故障とは無縁そうなのが良い
多分コミケ毎にホテルに持ち出すことになりそう。
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自分の用途に合ったものならそれでイイんです。
さらに言えば、用途とコストのバランスが取れているものなら、さらにイイんです。
まずは自分の用途を見極める事。
そしてその用途を満たす性能を持っているかどうかを見極める。それでベストな製品が買えるはずです。
あと複合機と単機能機の差ですが…プリンタ部分だけを取り出すと実は故障率は変わりません。
ただ、単機能機はスキャナ部がないのでスキャナの故障がなくなる面で故障率が下がる…という話になります。
プリンタヘッドとかの故障は、その印字方式(インクジェットならその印字する手法)による故障率の方が大きく影響しますので、そこら辺を重点的に考える方が良いでしょう。
ちなみに…もっとも故障率が低い印字方式はドットインパクト方式です(爆)
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