NVIDIAから最新最上位ビデオカードが発表された。
名称の意味する所
時間的に本来なら明日の記事にすべき内容なのだが、発表がAM2:00という事もあって本日の記事という事にした。
NVIDIAがMaxwellアーキテクチャを採用する最上位のハイエンドGPU「GeForce GTX TITAN X」を発表した。
前々から噂のあったシロモノで、内包するGPUは「GM200」と言われていた。「GM200」は「GM204」(GeForce GTX980に搭載)のある種「フルスペック版」とも言えるコアで、Maxwellアーキテクチャの最上位に位置するコアになる。「GeForce GTX TITAN X」は3,072基のCUDAコア、192基のテクスチャユニット、96基のROPユニットを備え、メモリインターフェイスは384bit、コア自体も1,000MHz(Boostクロック1,075MHz)で動作し、メモリも7GHz相当で動作する12GBのGDDR5メモリを搭載している、まさにハイエンドと呼ばれるに相応しいスペックを誇る。価格は…相当高くなる、という言い方しかできないが、これによってGeForce GTX 980が安くなるといいなぁと思うのは、多分私だけではあるまい。
ところで、この製品の名称である「GeForce GTX TITAN X」だが、本来この製品にTITANの名を与えるのは本来相応しくないのではないか? と思える節がある。
それは従来のTITANと名の付く製品は、NVIDIAの業務用ビデオカード(GPGPU等を利用する事を目的としている)Teslaと同じく倍精度浮動小数点演算において、個人向けのビデオカードとは異なる性質を持ち合わせていた。具体的には倍精度浮動小数点演算ユニットの動作クロックを引き上げる機能を持っていて単精度浮動小数点演算の約4分の1の速度で演算できた。しかし、今回のGeForce GTX TITAN Xでは、この倍精度演算ユニットの動作クロックを引き上げる機能が削除されていて、単精度浮動小数点演算の32分の1の速度での演算になってしまう(それでも980と同じなのだが)。
NVIDIAが今回の製品にTITANの名を与えたことによって、今後このTITANという名の扱い方がまた変わるのかも知れないが、多数のラインナップを構える以上、明確な製品分けをしてほしいものである。
驚きの消費電力
まぁ…これは「GeForce GTX 980」の流れから予測できた事だが、今回の「GeForce GTX TITAN X」でも消費電力は過去のビデオカードから比べて驚く程小さくなっている。
そもそも「GeForce GTX 980」が200wに到達しない、という事自体が驚きなのだが、「GeForce GTX TITAN X」もTITANの名がついているにも関わらず250wと従来製品から比べて驚くほど省電力モデルになっている。
補助電源も8ピン+6ピンと、PCを構成する側からすると随分と楽な構成である。
これもMaxwellアーキテクチャが省電力化されたものである事を証明しているわけだが、こういう話をすると、ますますもって「GeForce GTX 980」が魅力的に見えてくる。
正直、普通の人は「GeForce GTX TITAN X」までの性能はもう不要だと思う。
もちろん、これぐらいの性能が手元にあったなら、それはそれで便利かもしれないが、今や4Kモニターで、しかもそのフルスペックでゲームをするとかでないかぎりは、「GeForce GTX 980」で十二分な性能を持っている。
もし仮に4Kモニターでゲームをするにしても、普通なら「GeForce GTX 980」でも十分と言える。
どうしても4Kクォリティで、しかもハイエンドな映像を求めたい、というのであれば、「GeForce GTX TITAN X」は最適な製品になり得るが、予想される金額に見合っているかというと、おそらく見合っていないように思える。
「GeForce GTX 980」がもっと安くなれば、それに引きずられ「GeForce GTX TITAN X」も価格が安くなる可能性はあるが、最上級というのはいつの時代も孤高の存在であるため、そういう期待はあまり持たない方がよいだろう。
どちらにしても、ここ最近あまり大きな話題がなかったビデオカード業界なだけに、今回の発表は面白い一石を投じたな、と思える。
AMDが次にどういう手を打ってくるか?
非常に楽しみである。