Intelの最新CPUが遂に登場する。
その名はBroadwell-K
本日より、台湾にて「COMPUTEX TAIPEI 2015」が開催されているが、その基調講演にてIntelが第5世代Coreプロセッサである“Broadwell-K”を発表した。
Broadwell-Kはデスクトップ版のLGAパッケージだが、同時にノートPC版のBGAパッケージ“Broadwell-H”も発表している。自作PCユーザーからすると、BGAパッケージはあまり扱わないため、ここではLGAパッケージの話を中心とする。
Broadwellというコアそのものは、2015年初頭に発表されていたが、今回発表されたのはeDRAMをキャッシュとして活用できるIris Pro Graphics 6200(GT3e)を搭載したものになる。
最近のCPUはIntelもAMDも共にCPU内にGPUを内蔵したものが主流になっているが、このGPU内蔵型の最大の弱点はメモリ周りにある。
というのも、CPUとGPUがメモリを共用できるようになり次第にGPUの処理が増大してくるとCPUのメモリ帯域を徐々に圧迫し始め、これが本来のCPUとしての性能のボトルネックになり始めたのである。そこでインテルはCPUのパッケージ上にeDRAMを搭載し、メインメモリから読み込んできたデータをeDRAMでキャッシュしてメモリ帯域の圧迫を回避するという手段を執ったのである。インテルではこのeDRAMを搭載したものを“Iris Pro Graphics”と命名している。
今回のBroadwell-KはこのeDRAMが搭載されたものになる。
型番にCがつけばアンロック版
Broadwell-Kは、Core i○-5000番がその製品番号となるが、5000番の数字の後ろにCもしくはRの記号が付く。このウチ、Cが付くものが自作PC向けのクロックのアンロック版で、従来Kが付いていたモデルの後継となる。
今回発表された製品のハイエンド製品は“Core i7-5775C”で、TDPは65wとなる。ローレベルキャッシュは6MB、ベースクロックは3.3GHzと前世代から順当に性能アップしていると言える。
価格は…1,000個ロット時のもので336ドルとなっているが、今回の発表で予約が始まった秋葉原の予約価格は51,980~52,700円前後と、こちらも昨日Blogに記載したGeForce GTX 980 Tiと同じような価格誤差が発生している。
大体、336ドルがどう計算すると50,000円を超える事になるのやら…。ちなみに1ドルを125円で計算しても42,000円だから、計算値と比較して大凡1万円くらいはバックマージンが発生している事になる。
自作PCユーザーからすると悲しい話だが、ここ最近はマザーボードもCPUも徐々に価格は上昇傾向にある。昔は1万円もあれば結構なマザーボードが買えたが、最近はちょっと良いマザーボードを買おうと思えば3万円超えくらいになり、CPUも3万円台でミドルハイレンジが買えない時代になってしまった。
実に悲しい現実である。
LGA1150最後のコア
今回発表となったBroadwell-Kは、実はLGA1150ソケットの最後のコアになる。
次に予定されているSkylake-SからはLGA1151ソケットに切り替わる為、LGA1150ソケットのマザーボードを持っている人からすると、最後のアップグレードコアという事になる。
もっとも、使っているマザーボードがBroadwell-Kに対応するかどうかは、マザーボードメーカーが提供するUEFI(BIOS)のアップデート次第ではあるが、今の所かなりのマザーボードメーカーが対応を表明しているし、既に対応UEFI/BIOSを公開している。
もともとZ97チップセットはBroadwell-K側が対応しているため、大きな問題にはならないようである。
ただ…私のようなIvy Bridgeを使用している人のマザーボードが対応するかどうかは別問題だ。
私自身は次のPCアップグレード計画として、Skylake-S以降を想定しているため、今回のBroadwell-Kは見送る事にしている。
というのは、私自身はGPUはディスクリート版(外付け)を使用する事が前提であるため、今回のGPU周りを強化しましたというBroadwell-Kはあまり魅力的ではないのである。それよりもCPU本体のアーキテクチャが新しくなる方が魅力的である。
ただ、そろそろIntelもAMDも実践して欲しいのだが、折角CPUとGPUが一体化したCPUがPC業界ほぼ全てを埋め尽くすようになったのだから、ディスクリートGPUを使用している時は、内蔵GPUをGPGPUとして利用し、グラフィックをディスクリートGPUで処理するというような、別用途として両方のGPUを使用できるような形にして欲しいと思っている。
今のままだと、ディスクリートGPUを使用していると内蔵GPUを丸々ムダにしてしまっているわけで、効率的とは言えない。
こういう両方を活用しよう、とか考える技術者はいないのだろうか?
私からするともったいなく思えて仕方が無いのだが…。
とりあえずBroadwell-Kが発売となった。
内蔵GPUを利用して小さなPCを作ろうと思っている人は、GPUが強化されたBroadwell-Kは使い勝手の良いコアではないかと思う。