TEACから9月に発売されるDSD対応CDプレイヤーが実に惜しい。
DSD対応とはいうが…
最近よく聞くハイレゾフォーマットの一つであるDSDだが、これはそもそもPCMとは全く異なる発想のフォーマットであり、DSDデータを従来のフォーマットであるPCMに変換せずとも対応プレーヤーならそのまま再生する事ができるフォーマットである。
ただ、最近のオーディオ機器では内部でDSDデータを一度PCM変換してから出力したりする機器もあったりして、再生する事はできるのだが本来の持ち味ではないやり方をしている機器も少なくない。
そんな中でも、TEACの“PD-501HR”というCDプレーヤーは2012年に発売されたものだが、dsfフォーマットのDSDファイル(2.8/5.6MHz)や、192kHz/24bitまでのリニアPCMファイルが書き込まれたDVD-R/CD-Rを再生できるCDプレーヤーで、しかもDSDファイルをPCM変換せず、そのままアナログ化する「ピュアモード」を搭載するという、実に良く出来たCDプレーヤーだった。今回、このPD-501HRが特別版として発売されるという話を聞き、多少の機能向上等が行われたのかな? と思ったのだが、特別そういう意味ではなく、オヤイデ電気のインターコネクトケーブル「ACROSS750 RR V2」(1.0m/1ペア)を同梱したモデルだと聞いて、少し残念な気持ちになった。
まぁ…オヤイデ電気のインターコネクトケーブルが同梱される事そのものはとても良い事なのだが、私としては、このCDプレーヤーがSACD対応だったら良かったのに…と思わざるを得ない。
SACD対応プレーヤーが少ない
最近、DSD対応のDACなど、よく話に聞く事が多いのだが、それに反してSACDに対応した機器の話はほぼ聞かない。
もともとSACDはDSDフォーマットを収録したものだが、SACDはその暗号化が凄まじく、たとえデジタルデータをコピーできたとしても、それをそのまま再生する事ができない仕様になっている。そのため、通常DSDデータを収録しただけのディスクをSACDとは呼ばない。PD-501HRはDSDデータを収録したディスクの再生は可能でも、このSACDを再生する性能を持ち合わせてはいないのである。
それだけに、SACDを再生できるCDプレーヤーというのは比較的価格が高く、なかなかおいそれと手の出る価格帯にないのが現状であり、それだけに初代PS3がSACD対応と聞いたときには、実に安価なプレーヤーが出てきたな、と思ったものである。
とにかく、PD-501HRがSACD未対応だというのは、とても残念な話であり、どうせDSDフォーマットの再生をダイレクトにできるのであるなら、SACDにも対応していて欲しかった所である。
まぁ…SACDがあまりにも普及しないのは、こうした再生環境が整わないという事でもあり、それだけにソフトが制作されないという問題に繋がっている。
それに比べ、最近は配信でハイレゾ音源を扱うサイトが増えてきて、それらはSACDと比べて同じDSDフォーマットであっても、その取扱の手軽さから普通のDSDフォーマットでの配信が行われている。今後は、こうした手軽な再生手段へと移り変わっていくのが主流になる可能性もあり、そうした事を考えるとムリにSACDに対応する意味もあまりないと言えるのだが…。
ただ、それでも対応しているのとしていなのとでは、対応している方が良いのも事実で、そうした機能を持ち合わせていたらなぁと思わざるを得ない。
とりあえず、ハイレゾのディスクメディアを取り扱う人はPD-501HRは一つの選択になるかもしれない。
最近発売した同じTEACの“UD-503”と合わせて使うのも良いが、“UD-503”発売後に値段が下がってきているUD-501と合わせて使うのもよいかもしれない。