モバイルデバイスのOSもいろいろあるが…
第3の選択肢?
モバイル用のOSとしては、広く広まっているiOSをはじめ、Android、Firefox OSなど、それなりにメジャーなものも多い。
特に日本ではiPhoneの爆発的普及により、iOSの普及が広く進んでいるが、世界的にはAndroidの普及はかなり広範囲に及んでいる。
そこに風穴を開けたいOSはいろいろあるが、Microsoftが今力を入れているのがWindows 10 Mobileである。
Windows 10 Mobileは、Microsoftがスマホに限らず“あらゆる機器”を一つのOSでサポートする事を目指すWindows 10のモバイル用OSであり、Universal Windows App(UWA。通称ユニバーサルアプリと呼ばれる)というPCでスマホでも動作するアプリケーションでそれを実現しようとしている。
このユニバーサルアプリは、既にいくつかのアプリケーションで実現可能になっていて、Microsoft Officeは既にユニバーサルアプリ化されている。つまり、Officeでは利用する機器によって画面サイズやユーザーインターフェースが自動的に切り替わるのである。
このユニバーサルアプリ以外にも、MicrosoftはMobile機器をPC化する手段としていくつかの技術をWindows 10 Mobileに投入しているが、こうしたPCの環境をモバイル環境でも利用することを可能にして、iOSやAndroidの牙城を切り崩そうとしている。
というのも、PCの世界ではWindowsのシェアは絶対的だからだ。
iOSがどんなに普及していたとしても、PC用OSとしてのMac OSはWindowsのシェアには勝てない。Microsoftとしては、そこに活路を見出していると言える。
目を付けたのはSIMフリー
そして、そのモバイル端末の世界、特に日本では、SIMフリー端末を扱うMVNOの存在が今台頭しつつある。3大キャリアの価格より安い通信費で運用できる事をウリに今注目されているが、そのMVNOの一つであるプラスワン・マーケティング株式会社がFREETELブランドで、1万円をちょっと超える価格でWindows 10 Mobile端末を発売する事を発表した。端末名は「KATANA 01」で、4.5型のFWVGA(480×854ドット)のISP液晶を搭載したSIMフリースマートフォンである。搭載されるWindows 10 Mobileは、機能として一部限定的な所もあるが、それでもWindows 10で使用するユニバーサルアプリが動作する事は間違いない製品であり、それが1万円強で手に入るという所のインパクトは大きい。変な言い方かもしれないが、1万円強でWindowsマシンが手に入る、という言い方が出来てしまうワケである。
ただ、性能的にはSoCがクアッドコアの1.1GHz駆動という事で、動作はモッサリかもしれない。Windows 10 Mobileの軽快さがどこまでかが解らない為、その使用感は不明だが、それでもストレージとして8GB、インターフェイスとしてMicro USB、Micro SIM×2、microSDHCカードスロット、IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 4.0、200万画素前面/500万画素背面カメラが利用可能になっているというもので、そこそこ使えるものである事は想像が付く。
SIMスロットもデュアルで搭載していて、2枚のSIMをOS側から切り替えて使用する事ができるという。
FREETELとしては、SIMカードの提供も行い、当然だが音声通話にも対応している。
MNPにも対応し、30秒あたり10円という通話料金で利用出来る。他、契約プランなどいろいろあるようだ。
対応するバンドはGSM 850/900/1,800/1,900MHz、UMTSバンド1/6/8/19、FDD LTEバンド1/3/8/19で、LTEはNTTドコモとソフトバンクの両方のプラチナバンド帯に対応している。また、これらは2つあるSIMスロット両方とも同じようである。
上位版の予定など他社製品もある
このKATANA 01以外にも、KATANA 02という上位版の予定もある。
ディスプレイは5型HDで、720×1,280ドットのIPS液晶を搭載したモデルで、恐らくだが中身に関しても上位版らしく、より処理能力の高い仕様になっていると思われる。
KATANA 02ぐらいの解像度になると、スマホでExcelなどを使って出先でサッと業務に利用したいという人も出てくるかもしれない。
また、今回のFREETELだけでなく、他社でもWindows 10 Mobile端末が出てくる事が発表されている。
低価格PCで名を挙げたマウスコンピューター、同じくサードウェーブも名を挙げており、過去に発売されていたWindows Phone 7.5搭載機種のWindows 10 Mobileへのアップグレードなども発表されている。
また、先月新たに発表されたサードパーティの中には、VAIO、日本エイサー、トリニティからも新製品が出る事が発表されている。
もちろん期待はこの中でもVAIOになるかもしれないが、現時点では法人向けに独自設計した製品が投入されるようである。
飽和したiOSを超えられるか?
私の個人的な話で言えば、今まさにWindows 10 Mobileは伸びしろを稼ぐ時ではないかと思っている。
正直、iOSは現時点で限界点に来ているのではないか? と思う事がある。
たしかに国内ではiPhoneは大量に売れているし、それは日本だけでなくアジア圏で絶対的と言ってもいい。
しかし、実際のデバイス単体の話で言えば、iPhoneは穴だらけの製品だと思う。イマドキ防水でもないし、Androidでは一般的なNFCも限定的であり、本当の意味で使い勝手が良いデバイスではない。
もし、ここにWindowsの用法と同じ用法で使えるデバイスが登場したならば、それはある種iPhoneが埋められなかった穴を確実に塞いでくる製品になるのではないだろうか?
そして、日本国内で言えば、それがSIMフリーというキャリアの縛りのないデバイスとして、しかも低価格で出回ったならば、スマホ界における一つの起爆剤になりかねない…私にはそう思えるのである。
Appleが上手かったのは、圧倒的な使いやすさと品質の高さだった。高級感と言い換えてもいい。
しかし、今はその2つの要素は当たり前になり、高級感は価格なりの品質へと変質し始めた。そして次に求められてきたのは、結局はコストであり、本当の意味での機能性ではないだろうか。
そういう意味で、私は僅かながらWindows 10 Mobileに期待している。
私自身は随分とiOSの運用実績が蓄積してきて、今ではiPhoneであまり困る事がなくなっているが、それを覆すだけの機能をもしWindows 10 Mobileが示してくれるなら、乗り換える事は十二分にある。
完全に飽和してしまった既存システムを覆す…。
難しい事ではあるが、それだけに風穴を開けるチャンスでもある。
こうした野心的なデバイスが徐々に普及していく事に期待したい。