G-SYNC対応のウルトラワイド液晶。
同期100Hz
私はDELLのウルトラワイド液晶「U3415W」を使用している。
これは34型3,440×1,440ドットの29:1の画面比率を持つ液晶で、通常の垂直同期60Hzで動作するモニタである。
sRGBカバー率は99%、10億色表示対応と、パネル品質自体にも何ら問題はなく、唯一気になる視野角に関しても172度と、一人で使っている分には申し分ないし、そもそも湾曲している事で角度が付いているが故に172度となっている為、平面178度とさほど変わらない視野角を確保している。
ただ、若干パネル生産時期が古い…というか、このパネルが製造された時期の問題で、最大コントラスト比は200万:1と、現在のLG製ウルトラワイド液晶製品の500万:1より劣るが、このあたりで私が大きく困ったことは全くない。
もともと、全画面が60fpsで動作してくれれば問題ない、と思っていたワケだから、それをクリアしている時点で困る事など何もないのだが、その後AMDがFree Syncなるビデオカードとモニタのリフレッシュレートを同期させる技術を発表した事もあって、にわかにティアリング問題を焦点にした製品が発表された事もあって、その面において見劣りする、というぐらいの問題である。
だが…このティアリング問題は、そもそも同期技術に対応していないモニタ全てに言えることだから、気にしなければ問題にすらならない話でもある。今回、日本エイサーが発売すると発表した34型湾曲ディスプレイ「X34bmiphz」は、この同期機能に対応するウルトラワイド液晶で、最大100Hzまでのリフレッシュレートでビデオカードと同期する機能「G-SYNC」に対応している。
価格はオープンプライスで店頭予想価格は150,000円前後。
安く買っても120,000円程度ではないかと予想する。
イマドキの表示品質
この「X34bmiphz」のパネル品質は、流石にイマドキのパネルである。
sRGBカバー率100%の非光沢IPSパネルという事で、色合いなどはほぼ間違いない品質を持っていると言える。この品質でティアリングを防止できるのだから、ゲーマーにとっては非常に有効なモニタと言えるが、私がこの製品で一番驚いているのは、3,440×1,440ドットの液晶パネルでG-SYNCに対応している、という部分である。
従来、この同期機能に対応しているパネルのほとんどは、フルHD、つまり1920×1080ドットのパネルであった。
中にはその上の2,560×1,440ドットというパネルで同期機能を持つ製品があったかもしれないが、ティアリング防止のゲーマー向け液晶は、そのほとんどがフルHD対応までだった。
しかし「X34bmiphz」に関してはそれをとうとう3,440×1,440ドットにまで拡大した。
おそらくだが、ビデオカードにもパネルにも相当の負荷がかかってくるのではないかと思うが、まぁ、逆を言えばビデオカードのリフレッシュレートに合わせる形になるため、ビデオカードの性能が低ければ同期速度も遅くなる、という事になるのだろう。
どちらにしても、動画表示品質という面において考えれば、今もっとも優れた液晶モニタと言っても過言ではないように思う。
3,800Rの湾曲モニタ
で、話は「X34bmiphz」だけの事から少し外れるが、湾曲モニタはどうなのか? という話を書いておきたい。
前述した通り、私もDELLのU3415Wを使用している為、同じ3,800Rの湾曲ディスプレイを使用している。だから見え方などは同じであるため、これから先湾曲ディスプレイを購入しようという人の参考になれば、と思う。
まず、湾曲している事の影響だが…少なくともど真ん中に使用者が居座って使用する以上はあまり湾曲しているという事を意識する事はない。
だが、画面の両端を見ると、一部画像が浮かんで見えるような視覚的誤差というか、錯覚というか、そういった不思議な表示を見ることになる。
だが、それはあくまでも両画面端だけの話であり、普通のパネル上では普通に見える。だから最初は気になっていても、画面端など普段はあまり見ないため、自然と気にならなくなる。
また、湾曲している事で左右の視点移動が楽になる…とメーカー側が主張しているが、おそらくコレも言っているほど効果のある事ではないと思う。確かに僅かな角度でより目の正面に近い角度で画面が見えるようになるのかもしれないが、その僅かな角度で楽になる、という実感は全くと言っていいほどない。なので、そういった部分にあまり期待はしない方が良いと私は思う。
逆に湾曲しているこ都のデメリットの方が私は大きいと思っていて、液晶モニタ全体の厚みが湾曲している事で増す事の方がよほどデメリットである。
最近はLEDパックパネルを採用したりして、液晶パネルの薄型化が進んでいるが、湾曲ディスプレイは平面ディスプレイと比較して恐ろしいほどに液晶パネルの厚みがある。パネルが湾曲しているからといって、裏面もその湾曲にそって平行に厚みがある、というわけでなく、液晶パネルの両端は湾曲している分、画面中央部よりも厚みは大きいのである。
このデメリットを考えると、34型ウルトラワイド液晶は湾曲モニタよりも平面モニタの方が良いのではないかと思えたりもする。
4Kモニタと比較する
34型ウルトラワイド液晶の話をすると、4K液晶との比較が気になる人もいると思う。
3,440×1,440ドットという横長表示をするぐらいなら、3,840×2,160というさらに広大な表示エリアを持つ4Kモニタの方が良いのではないか? という気持ちは、私にもよくわかる。
私はその比較した結果で34型ウルトラワイドを選択した。今でもこの選択は間違っていないと思っている。
ポイントとなるのは、表示する画素ピッチである。
Windowsは基本が96dpiである。つまり約2.5cmの中に96個のドットが入るという事だ。だが、最近はRetinaディスプレイとか言われている高精細パネルは236dpiとかスゴイ細かいドットピッチになっている。
だが、そうした高精細パネルでWindowsの標準的な画面を表示する(96dpi)と、文字などが小さく表示され、読めないぐらいのサイズになってしまう。
だから、現在23インチでフルHDモニタを使用している人が、同じ文字の大きさなどで4Kという広さを持った液晶パネルを求めようとすると、40インチでもまだ足りない可能性がある。
おそらく42~45インチくらいのサイズがないと、同じ解像度で広いデスクトップにできないのである。
これに対して、34型ウルトラワイド液晶は、そのドットピッチが計算上約105dpiであるため、従来の96dpi表示になれた人であれば、多少文字等は小さくなるが違和感なく広いデスクトップに移行する事ができる。
4Kだから表示エリアが単純に広くなる、という考え方をしていると、文字の大きさ等で思わぬ失敗を招く事になるが、34型ウルトラワイド液晶では、そうした問題なく使えるというのは、大きなメリットと言える。
話がティアリングからかけ離れた話になってしまったが、34型ウルトラワイド液晶は、個人的にはオススメのモニタである。
単純に広い表示エリアを得ることができ、違和感なく使用できるのだから、非常にお手軽である。
「X34bmiphz」はそれに加えてティアリング防止もできるのだから、実に優秀なモニタと思う。
4Kに行きたいけど表示問題が気になっていたり、ビデオカードの性能などの問題を気にしていて、まだ迷いがある、という人は検討できるモニタなのではないだろうか?