サードウェーブがGALLERIA Gamemasterを展開。
40タイトルを動作保証
サードウェーブは、現在秋葉原を中心としたブランドPC事業を展開している企業だが、ドスパラを初めとした店舗名を出すと、その存在を理解できる人も多いのではないかと思う。
そのサードウェーブから、40種以上のPCゲーム動作を保証するという「GALLERIA Gamemaster」というシリーズが展開される事が発表された。
これは、従来の特定ゲーム推奨PCを販売する、という形と異なり、サードウェーブ側が動作保証するシリーズで、ハードウェアの知識がなくともサードウェーブが動作保証したタイトルであれば、ユーザー側は自分でスペック等の確認をしなくてもそのタイトルをプレイできる、という所をウリにしたサービスである。
最大の特徴は、サードウェーブがゲームタイトルの動作確認をして保証する、という所なのだが、それ以外にも午前9時から午前1時という時間帯に、PCのハードウェアに関する質問や動作保証ゲームのアカウント登録方法、ソフトウェアのダウンロード等、ハードとゲームに関するいろいな質問を受け付けるサポートが受けられる。
「GALLERIA Gamemaster」としては、デスクトップPC6種(タワー、ミニタワー、スリムの形状あり)、ノートPC1種がシリーズとしてラインナップされる。あくまでも種別でこれだけという事であり、ラインナップ機種は総計7機種となる。
いつまで続く?
こうした、動作検証を行うPCの定めとして、時間経過というものが最大の敵となる。
これは今に始まった話ではないのだが、アーキテクチャが刷新されたりすると、旧機種は陳腐化する。そうなった時、動作検証は継続して行われるのか? という問題がついて回る。
サードウェーブ側としては、機種発売後3年間は動作検証を続ける、としているが、3年以上経過した機種はサポートから外れていくという。
つまり、動作検証のサポートを受けたいなら新しいのを買ってくれ、という事だろう。
まぁ、販売店側の視点に立てば、その流れは避けて通れないだろうが、問題は3年という期間が長いか短いか、という事である。
感覚的に言って、随分と短いな、と私としては思う。
アーキテクチャの変化と互換性
PCのハードウェアにある程度の知識のある人であれば、3年でいったいどけだけのアーキテクチャが変化するかはわかると思う。
CPUに関して言えば、驚く程変化がないはずである。しかも、最近はプロセスの微細化も以前よりずっと鈍化していて、IntelのTick-Tock戦略も崩れてしまっている現状がある。
昔は年1回のアーキテクチャ変化もしくはプロセス微細化が行われたが、今はさらに最適化というターンが加わり、完全に新しいCPUが登場するまでに3年はキッカリかかる事が予想される。
また、ビデオカードに関してはもっとスパンは長く、大幅な変化となると3年以上はかかりそうな感じである。
ゲームを動作させる上で確実に必要なのは、このCPU能力とGPU能力であり、他のインターフェース類に関しては、ほとんどが互換性のあるものばかりで、イマドキならUSB2.0~3.1端子があれば対応できないという事はほぼない。
PCゲームで、ストレージがM.2に対応していないと動作しない、なんてタイトルがあったとしたら、そのゲームは多分普及する事はないだろう。というか、そもそもDirectXで動作しているのであれば、ハードよりもOSの方がより大きな問題となるハズだが、今はそのOSも基本がWindows10になり、Microsoft側は今後Windows10の中でアップデートを繰り返していくスタイルを採っていくはずなので、問題になりようがない。
となると、果たしてサードウェーブの3年という期間は、果たして適正なのか?
私は5年保証にしても良いのではないかと思えて仕方が無い。
ハードウェア知識
サードウェーブが今回このような「GALLERIA Gamemaster」というシリーズを展開した背景には「ユーザーの中には純粋にゲームをプレイしたいだけであり、プレイするためにハードウェアについての知識を必要とすることを煩わしく思っているゲーマーが多くいる」という事があるようだ。
つまり、遊びたいけれど公開されている情報を理解するのが煩わしい、だから発売元がそのあたりを保証してよ…というユーザーに向けた安心サービスだという。
正直、ビジネスモデルとしては間違っていないのかもしれないが、PCを使って行く人達の理解度って、こんなにも衰えたのか、と感じずにはいられない。
ハッキリ言って、私が知っている知識だって、実の所大した知識ではないし、PCを自作するといっても、もはやプラモデルよりも簡単な組立をしているに過ぎない。
最近は、基本構成さえ分かっていれば、接続できる端子が専用になっていて他の機器を接続できないようになっている。
だから自作PCに必要なハードウェア知識というのは、各部品の役割ぐらいのもので、あとはその各部品の組み立て知識さえあれば困る事がない。
昔と違い、1本のフラットケーブルでプライマリーデバイスとセカンダリーデバイスをディップスイッチで設定して繋ぐ…なんて知識も必要なく、ただ1本ケーブルを規定の所に繋げるだけで、ストレージが繋がってしまうのである。
車で例えるなら、ハンドルとアクセルとブレーキ、他に現状を知る為のメーターパネル(計器)があって、それを使って運転する知識があれば乗れるというのと何らかわらない。
私が知っている知識など、その程度のもので、プログラムの事など何もわからないが、それでも自作PCを組み立てられるし、動作スペックから自分のPCが対象のゲームを動作させられるかぐらいは分かる。
今はそうした所にも企業が入り込んでいき、手厚くサポートしないといけない時代になってしまったという事なのだろうか?
時代がそうさせたのか、それともそういう時代になったのかはわからないが、自作PCの世界は昔よりずっと狭く、また特異なものになってしまい、とうとうPCゲームでは専門業が現れる時代になってしまった。
ユーザー側がちょっとした知識を持つだけで、そうしたビジネスモデルは崩壊する事になるわけだが、時代がそれを求めた以上、需要は一定数あるのだろう。
私としては実に複雑な気分である。