それだけ期待が大きいという事か?
噂されるその価格
OLYMPUSがフォトキナで開発発表した次期E-M1の価格は、以前1,999ユーロという価格になるという噂が流れた。
これを円換算すると、価格は約22万7000円という事になり、随分と高く設定された、と評価されたりもしたのだが、この程、別の所から2000ドル(約20万2000円)程度という話が出てきた。
ところがその後、また別の所から今度は希望小売価格で1699ドル(店頭価格で1499ドル)という話が浮上した。こちらを円換算すると15万1000円程度となり、その価格の幅が5万円以上と、噂レベルではあるものの(噂だからとも言う)その価格に大きな差が出ている。
つまり結局の所、まだホントのところは誰もわからない、という話なのかもしれないが、個人的には円換算15万1000円程度という価格がもっとも妥当な所にいるのではないかと思っている。いや、思いたいだけかもしれないが。
もちろん、私がそう思うには理由がある。
大体円換算すると、ほとんどの場合でその価格より国内販売価格は引き上げられる。
つまり円換算15万1000円程度であれば、国内価格は17~18万円となるからだ。
もちろんこれに消費税が含まれるわけだが、個人的には消費税込みで17~18万円程度というところに落ち着くのではないかと思っている。
これはPEN-Fの価格と比較しての話でそう思うのであり、具体性を欠くような話でもない。
私の希望的観測が含まれているとは言え、案外外れているわけではないと思う。
限られた市場
デジタル一眼カメラ(一眼レフ含む)の市場は、もう既にこれ以上ユーザーが大幅に拡大するような市場ではない、と言われている。
理由はスマートフォンに搭載されたカメラの性能向上によるもので、最近では小さいセンサーサイズながら高感度かつ高精細なカメラを搭載したスマホも増え、さらに画像処理でボケ味を出してくる高機能カメラを搭載したモデルまで投入されている。
こうなってくると、コンデジ市場はさらに縮小が進み、生き残るであろう高性能カメラである一眼デジカメ市場も、一定規模は確保できるだろうが拡大は望めない…そういう市場にならざるを得ない所に来ていると予測できる。
そうなってくると、その限られた市場にいるユーザーの囲い込みが必要になるわけで、メーカーとしては高機能機を出したからといって安易に高すぎる価格設定とする事自体が、一定の冒険を含む事になりかねない。
圧倒的性能を持つ一部のハイエンド機に関しては、価格ではなく性能一択という話になるだろうが、少なくともそれはフルサイズセンサー機の話であり、そこから下の領域に入ると、残念ながら性能だけで価格度外視という事は言えない部分があると言える。
この市場動向から考えると、OLYMPUSのE-M1 mkIIは残念ながら一定のユーザーの囲い込みを行う必要があると言える。まぁ…メーカーがユーザーを限っても良いと判断すればその限りではないが、このあたりはメーカーがそのカメラを発売する事の意味をどこに置くかで変わってくる。
例えばNikonの場合はセンサー技術や画像処理技術含めた光学技術を、ナノレベルの要求のある半導体製造装置に転用する事で、その技術的価値を他分野で回収する事ができる。
OLYMPUSやFUJIFILMの場合は医療機器、特に内視鏡にその光学技術を転用していく事になるわけだが、半導体製造装置と医療機器の場合、その単価に大きな隔たりがあり、その回収規模で、技術を投入した製品の価格が大きく変わってくる。
そうしたある特定分野の技術開発を兼ねてカメラの開発を行っているケースというのは、今や全てのカメラメーカーが行っている事だろうが、メーカー毎にその内情に違いがあり、結局の所、OLYMPUSやFUJIFILMはある程度の販売規模をカメラでも確保しておく必要がある事実は変わらないものと思われる(あくまでも私の予想)。
ちなみに前述のNikonにしても、実は映像イメージング事業に関して現状厳しい状況だという話が市況説明会で語られているというから、Nikonだから大丈夫とかそういう話でもないというのが実際だと思う。
結局、限られた市場を全てのメーカーが鎬(しのぎ)を削って奪い合っている、という事実に変わりはない。
マウントの生き残りをかけて
こういう市場の奪い合いをしている以上、メーカー側も新機種を出す以上、結局はある一定の販売数を確保する必要があるワケで、それが即ち開発マウントの生き残りをかけての戦いである事に違いはない。
マイクロフォーサーズは、現時点でOLYMPUSのパナソニックが中心となり、そのマウントを展開している関係から、1社単独でのマウント維持ではなくなっているが、それだけにAPS-Cサイズのカメラの市場を奪う為に2社がいろいろ施策をとる必要がある。
それがパナソニックの場合は動画性能になり、OLYMPUSはスチル写真&手ブレ補正性能という所に行き着くのだろうが、当然最近のカメラらしく総合力を問われている。
その中で、さらにユーザーを確保しなければならないのだから、儲けは薄いし求められる性能は高いという、苦しい戦いをしていく事になる。
どのメーカーも厳しいとは言え、その搭載する技術が他産業を支える技術になると考えれば、特定技術とは言えその部分は「2位ではダメ」なワケである。
技術開発とはかくも厳しいものなのか…。そう思わずにはいられない。
だが、それがカメラのマウントの生き残りをかけた戦いでもあるのだから、カメラメーカーはその戦いこそが宿命とも言える。
と言うわけで…
結局、何が言いたいかというと、いろんなウラ事情はあるだろうが、性能ありきの価格度外視という設定ではユーザー離れを起こす可能性がE-M1 mkIIには存在する、という事である。
であるなら、本体価格は極端に高くならないと私は思っている。
確実に現行機種を上回ってくるとは思うが、それでも高くしすぎると自滅しかねないという事を、おそらくメーカーはちゃんと解っている(当然か)。
なので、私の予想としては国内の本体価格は17万円前後。
決して大きくは外れていないと思う。
個人的には税込16万円強だといいなぁ、と思わなくもないが、多分それは無理だろうと思っている。