爆発は中国の専売特許だと思ってた。
リチウムイオン
SamsungのGalaxy note7の発火事件が相次いでいる。
この話題が出てから、バッテリーに問題がある、という理由で別メーカーのバッテリー交換で対応してきたようだが、そのバッテリーでも結果的に問題は改善されず、とうとう本日、販売及び生産を停止する声明を発表した。
発売前評判はとても良かったようだが、結果的に問題を抱えたまま改善する事ができない製品になってしまったワケだが、私的にどうして最初の対応としてバッテリーメーカーの変更だったのか、疑問に思えて仕方がない。
この話、以前のボーイング787のバッテリー火災問題に似ているな、と私は感じていた。
ボーイング787の火災の時は、バッテリーメーカーが日本のGSユアサだったわけだが、ISO9100のシステムに則って、GSユアサは規定された手順通りにバッテリーを製造していたため、問題はそこになかったと判明した。
最終的にどうだったのか? という結論は未だ公開されていないようだが、どうも特定できていないようでもある(Wikipediaでの見解)。
だが、一つだけ言えるのは、リチウムイオン系のバッテリーは、バッテリー単体の問題だけでなく、バッテリーの電圧等をコントロールするプログラムや制御機器に問題があっても爆発、発火するという事である。
つまり、今回のGalaxy note 7に関しても、バッテリー単体を疑うだけでなく、制御系を疑う必要があったのではないか? と思うワケである。
まして、パッテリーメーカーを変更しても同じことが起きたのなら、さらに制御系の問題である可能性が高い。
もちろん、航空機で使用するバッテリーとスマホで使用するバッテリーが同じ仕組みだとは限らないが、それでも化学的要素で動作するものである以上、疑うべき部分は、その問題部品だけでなく、制御すべき部分にもある、という事に気付かなかったのだろうか?
もし気付いていたとして、そこに言及しなかったとしたならば、これはもうユーザーに対しての裏切り以外の何物でもない。
訴訟
おそらく今後Galaxy note 7に対しては訴訟問題へと発展する事案が増えていく事になるだろう。
単に製造中止と販売停止という措置だけで済む問題ではないハズである。
Samsungの今後の対応の仕方で、その問題がいろんな所に飛び火する可能性もあるだろうし、いつこの問題が鎮火するかは予測ができない。
製品が爆発・発火するだけでなく、問題も炎上している以上、Samsungはあらゆる面で消火活動を必要とするだろう。
日本企業
このSamsungの問題は、日本企業だったら起きなかった…と言い切る事はできるだろうか?
私は、それはあり得ないと思う。
おそらく、日本企業であっても可能性は十分にあるだろうし、その可能性は大企業のみならず中小企業でもあり得る話だと思う。
21世紀に入り、いろいろなプロダクトが高度化した今、その全ての管理が異常なまでに高度化した社会では、全ての生産活動において従来の管理方法を上回るシステムがないと、その安全性の担保は難しいのではないかと思う。
しかも20世紀よりも21世紀は外部からの脅威が深刻化している。それは物理的なものもあれば電子的なものもあったり、多種多様に広がっている。
それら深刻化する脅威からプロダクトを守る意味でも、従来の管理システムを上回るシステムとセキュリティを持たないと、安全なプロダクトは作れないと思う。
リスクと価格
こうしたプロダクト上のリスクが深刻化しているにも拘わらず、価格は従来と同じかそれよりも低い価格が世間では望まれている。
私だって一人の消費者である以上、その価格は安い方が良いと思っているが、プロダクトを生み出す側から考えると、迫るリスクの脅威に備えたり、高度化するシステムを維持する為のコストを考えれば、生み出される製品の単価は上げざるを得ない。もし上げる事ができないとなれば、原価低減として、サプライヤーへそのしわ寄せが行く事になる。
サプライヤーへしわ寄せが行くと、そのサプライヤーで働く人々、つまり製品の消費者たちの給与に響き、結果、物価は変わらないのに高く感じるという悪循環を生む。
そう考えると、昨今の不景気の流れは、作られるプロダクトの高度化が一枚かんでいるように思えてならない。そしてその製品がグローバル世界へと流れれば流れるほど、あらゆる脅威にさらされ、セキュリティ費用が嵩んでいくことになる。
どのみち、製品の価格高騰は止められない、というのが、私の見解である。
何はともあれ、Galaxyシリーズは次の新製品で挽回を図るしか道がない。
Appleはこれで差を付けることができる…と言いたい所だが、実はそうでもない。というのは、Appleは製品の革新性で魅力がなくなったと言われているからである。
リーディングカンパニーという看板を背負った企業がリードできないとなれば、そのブランドイメージは上がりようがない。
Samsungの唯一の救いは、直接のライバルが現在失速中であったという事かもしれない。
また逆を言えば、日本企業は今こそ攻めの時期なのかもしれない。
MADE IN JAPANの良さを世界にさらに後押しするチャンスでもある。
もっとも、事故のリスクは他社と何も変わらないわけではあるが…。