もう3.5インチを使う必要はないのかもしれない。
5TB登場
Seagateから容量5TBの2.5インチHDD「ST5000LM000」が発売になった。2016年の6月に4TBが発売され、そこから約半年で5TBの登場である。これが順当な進化なのかどうかは解らないが、店頭価格税込27,800円は4TBの初売店頭価格23,980円(税込)から4,000円前後の価格差と、1TBあたりの価格は5,995円から5,560円と確実に下がっている。これを技術進化というなら、間違いなく前進している事にはなる。
1つ注意しなければならないのは、この5TBモデルは15mm厚の2.5インチHDDだという事。PS4などに内蔵できるHDDは、その物理的限界から9.5mm厚までである。
4TBも15mm厚だったから、この大容量モデルは現在ではPCでしか利用する事ができないと言っても過言ではない。
他スペックとしてはインターフェイスが6Gbps SATA、ディスク回転数は5,400rpm、キャッシュメモリ128MB、サステイン速度が最大140MB/sなどになる。
消費電力は動作中の平均が1.9~2.1W、アイドル時が1.1Wだから、3.5インチから比べれば確実に省電力にはなっている。
9.5mm厚
15mm厚など、厚みがある程度確保できれば、HDDの構造上は搭載ディスク枚数を増やせば基本的には容量は拡大できる。
もちろん、制御する為のハードウェアの進化も必要だが、理論的には記憶層が増えれば容量が増えるわけだから、ディスクあたりの容量密度が上がるか、或いは搭載ディスク枚数を増やせば全体の容量は増える事に違いはない。
しかし、多くの人はディスク枚数を増やしたりするような大容量化よりも、9.5mm厚に収まる大容量化の方が気になっているはずである。
何しろ9.5mm厚だとノートPCやPS3、PS4に搭載できるからだ。ただPS3はそのハードウェア的限界から容量1.5TB以上を搭載しても認識しない可能性があり、現実的ではないが、PS4は3.5インチHDDの接続で4TBは接続確認が出来ていると言われている(ネットで調べた所によると6TBまで接続可能らしい)。
となれば、9.5mm厚で4TBモデルが登場すれば、自ずとPS4をノーマルの状態のまま4TB化する事もできるかもしれない。
しかし、現状で発売されている9.5mm厚のストレージにおいて、6TBを実現しているのはSSDのみで、しかもそれはかなり高価なストレージとなる(4TBで40万とかそんな感じ…)。
現在、手が届く範囲で9.5mm厚で搭載できる最大ストレージは、残念ながらどんな形態であっても2TBが限界である。HDDは2TB、SSHDも2TB、共に2万円前後といった価格か。
SSDの2TBだとすると5万円オーバーという価格になるため、一気に現実味がなくなってくる。
現時点、という制限でいうならば、PS4に搭載できるストレージとして、2TBという容量が最大かつ妥当なラインといった所になる。
ちょっと考えてみる
現在、9.5mm厚で最大容量なのは2TBである。この事実は変わらない。
ではHDDでその上の容量はどうなのか?
3TB、4TB、5TB、すべて15mm厚という容量である。
3TBでも12.5mm厚(昔は12.7mmと言ったような気がしたが…)ではなく、15mm厚である。
おそらくパッケージの問題で3TBが15mm厚なんだろうと思うが、現在2.5インチHDDのプラッタあたりの容量は1TBである。
つまり2TBのHDDは2枚のプラッタ(ディスク)で構成されていると考えられる。
2016年の2月に、7mm厚の1TBおよび2TB製品がSeagateから発売されている。
つまり、2TBでも7mm厚には収まるわけで、この中には2枚のディスクが収められている。
もしこれが3枚になったとき、3TBの9.5mm厚HDDがひょっとしたら可能になるかもしれない。もちろん発売されるかどうかはわからないが。
世間的にもっと9.5mm厚の必要性が高まってくれば、可能性はないとは言いきれない。
ただ、現在は世間的にもっと薄くしたい事情があるように思えるし、徐々にHDDとSSDの容量単価が近づいてきている。そう考えると、2TB以上の容量においてHDDが技術的に進化する速度と、NANDフラッシュメモリ(ようするにSSD)の容量単価が下がる速度を比較した時、どちらが先に普及しやすい状況になるか?
何となくだが、HDDよりもSSDの方が現実味があるように思えてならない。
問題は、その状況がいつぐらいの時期にやってくるのか? という事。
そう遠い話ではないのかもしれないし、或いはココでしばらく停滞するのかもしれない。
ただ、ここ最近低価格ノートPCにもSSDが搭載されるようになり、SSDの市場価格が一気に落ちてきているところも見受けられる。
問題はテラバイトクラスのSSDの価格がそれに倣って下落してくるか、という所。
この問題とHDDの技術的問題解決の純然たる対決の結果によって、次の一手が見えてくる。最近ではWestern DigitalがSSDに積極的に絡んできている所を見ると、HDDよりもSSDの方が現実味があるかもしれないが、こういう競争があるからこそ、技術が進化し、価格がこなれてくる。
各メーカーにはぜひとも頑張っていただき、PS4やその後に続く機種に光明を与えて戴きたい所である。