超小型コンピュータの本気。
技適取得
Raspberry Piを今や知らない人は少ないと思う。
いや、もちろんテクニカル系の人に鍵っての話だが、それぐらいRaspberry Piシリーズのシングルボードコンピュータは安くて、それでいてコスト以上の性能を持つコンピュータである。
そのシリーズの中でもとりわけ低価格で設計されたのがRaspberry Pi Zeroなのだが、Raspberry Pi Zeroの最大の弱点はi/Oまわりで、通信機能を拡張しにくいのが問題だった。
イマドキのコンピュータで、通信機能を拡張できないというのは、ある意味致命的でもあり、クローズド環境での使用しかできない事が、その使い方を狭めていたところもあるのではないかと私は思っている。まぁ、それでも価格は5ドルと非常に魅力的なのだが。
そんなRaspberry Pi Zeroが発表された後に、今度はBluetoothと無線LANが追加されたRaspberry Pi Zero Wが発表された。Raspberry Pi 3 Model Bと同じCypress CYW43438を実装し、IEEE 802.11nとBluetooth 4.0をサポートしているのが最大の特徴で、搭載するSoCはZeroと同様でBCM2835(1GHz)となっている。メモリも512MBを搭載し、Mini HDMI、Micro USB×2(1基電源)、microSDカードスロット、GPIO、カメラコネクタなどを備えている。これで価格は10ドルである。
この上でLinuxレベルのOSが動作するのだから、ちょっとした事をさせるためのコンピュータならまさに最適とも言えるデバイスである。
このRaspberry Pi Zero Wを国内ではスイッチサイエンスから3月下旬に1,296円で販売される予定で進んでいたのだが、国内で無線搭載機器を発売するには、技適に通らないといけないわけで、その技適通過が遅れていた。
それがめでたく11日に技適通過となり、いよいよ国内販売が見える状態になった。
10ドルという価格
正直、これだけのものが10ドルという価格で提供できる事自体が奇跡に等しいのではないかと思えるほど、Raspberry Pi Zero Wは洗練されていると言える。
よく考えてみればわかるが、無線LANとBluetoothのモジュールだけでも、1,200円レベルで購入する事は難しいように思える。
もちろん、制御する為のソフトウェアがないと言えばそれまでだが、オープンソースで動作できる環境があるわけで、ちょっとLinuxを知っていれば困る事はない。というか、LinuxなどのOSを知る勉強と思えば、日本に於いては格安の教材と言える。
これだけITとして進んでいる日本であっても、プログラムの教育が遅れていると言われている側面があり、その教育の為に使用できるハードウェアは、本来ならもっと値段の高いものであっても仕方のないところ。しかし、それがRaspberry Pi財団の普及活動で、日本国内ではかなり安い価格で教材が買える環境になっている事は、まさに恵まれた環境と言える。
私はかつてプログラマーになる事を断念した経緯があるが、私が志した頃はまだまだ黎明期みたいなもので、今とは環境が全く異なっている。
日本でも、これを機にプログラマーやシステムエンジニアが増えることを今後期待したいところである。
ハイレゾ音楽用にRaspberry Pi3 Model Bでも買ってみようかな…。