末弟が発売され、Ryzenが一通り揃った。
思ったよりも…
3月にRyzen7、4月にRyzen5と発売され、末弟とも言えるRyzen3が遂に発売となった。
これでシリーズは一通り揃い、あとは上位モデルとしてRyzen Threadripperが8月に登場すれば、民生用のRyzenは完全に市場に出尽くす事になる。
まぁ…Threadripperが民生用と言っていいのかはちょっと疑問ではあるが。
何はともあれ、エントリー向けのRyzen3が発売された事で、Ryzenもより身近なCPUになったと言える。今回発売となったのは、1300Xと1200という2種類であり、価格も1300Xが税込17,820円程度、1200が14,904円程度と、2万円以下1万円半ば程度という従来シリーズよりは安い価格に収まっている。
ただ、人によってはこの価格に微妙なものを感じている人も多いのではないかと思う。安さがウリのAMD CPUにありながら1万円台半ばという設定は、想像していたよりも高いと思っている人もいるのではなかろうか?
だとするなら、この価格を納得させられるだけのパフォーマンスを持つのか? というのが、知りたいところである。
4コア4スレッド動作
ただ、忘れてはいけないのは、Ryzen3は4コア4スレッド動作のCPUだという事である。
IntelのKaby Lakeで言うなら、Core i5と同様の構成という事である。
ただ、RyzenのアーキテクチャであるZenの特徴としてIntelコアよりもシングルスレッドでの処理能力が低いという特徴がある。それだけにマルチスレッド動作を拡大するSMT(Simultaneous Multithreading)には非対応というのがこのRyzen3の最大の弱点となるが、それでもIntelコアのCore i3よりも実コアを4コア搭載しているという強みはある。
よって、大雑把な説明にはなるが、IntelのCore i3よりは処理性能は上と思って問題はないと私は思っている。もっとも、処理の内容によっては劣る部分も出てくるかもしれないが、拮抗する能力以上のものは持っていると言える。
具体的な性能については、下記サイトに詳しい。
impress PC Watch
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/review/1072749.html
Ryzen5 1400よりも動作クロックが高くなる1300Xは、シングルスレッド性能が問われる処理ではRyzen5を超える性能を示す事もあるため、それが2万円以下となれば、現時点の価格も決して否定するほど高いわけではないと言える。
ただ、最近のプログラムはマルチスレッド処理で動作するよう構成されているものも多くなってきているので、概ねRyzen5の方が性能は高くなる傾向にはある。
最大の弱点はディスクリートGPU
Ryzen3の問題点を挙げるとすると、GPUがディスクリートであるという事ではなかろうか?
IntelのCore i3は、現時点で性能はRyzen3に劣るレベルに下がった(或いは拮抗かもしれないが)かも知れないが、メリットとしてはGPUがCPUに内蔵されていて、別にビデオカードを必要としないという事である。
なので、本当の意味でRyzen3を欲している人からすると、本命はRyzen3ではなく、Zenコアを搭載したAシリーズ(APU)なのではないだろうか?
もちろんAMDは、ZenアーキテクチャのAシリーズも設計しており、第一弾とては“Raven Ridge”として計画されている。
ただ、どうも商品名としてはRyzenの名称で登場する可能性があり、現時点で噂されているのはRyzenの2000シリーズとして登場すると言われている。
しかもそのCPUの構成は4コア8スレッド、つまりRyzen5として、そしてGPUとしてはRadeon Vegaとなると言われている。
また、このCPU部分だが14nmプロセスの改良型Zen+というアーキテクチャになるのではないかとも言われている。というのは、もともと2000シリーズは1000シリーズの“Summit Ridge”の後継である“Pinnacle Ridge”として“Zen+”で設計されていると言われていたからである。リークしてきた“AMD Ryzen 5 2500U with Radeon Vega Graphics”という“Raven Ridge”の話をまともに受け止めれば、このような解釈になろうというものである。
このあたり、ハッキリしないところが噂の域を絶対に出ない話である事を如実に語っているわけだが、AMDらしく希望的観測が含まれていたり、時期が全く見えない噂である。
4年は基本設計が変わらないAMD
ただ、このような新しい情報が出てきてもAMD製品の場合は比較的安心して聞いていられる。
何故なら、AMDは最初に4年はZenアーキテクチャを採用する事を明言しているし、おそらくそれに使用するソケットAM4もそう簡単に変更はしないと考えられるからである。
場合によっては、チップセットもしばらくは変わらないかもしれない。Intelのようにコードネームが一つ新しくなる度にチップセットが新しくなり、ソケット形状が変わるなんて事は考えにくい。
なので、今Ryzenに突貫した(している)人は、新しいCPUが発売されたなら、心配する事なくCPUだけ交換すればあとはBIOS対応だけで最新状態を維持できる可能性が高い。
そういう意味では、Intelよりは投資額が少なくて済む利点がRyzenにはあると言える。
いろんな噂がリークしてくるが、Intelコアの場合はそういう時は「また更新予算がかかるのか…」となるが、AMDコアの場合は実に落ち着いて聞いていられる。ある意味、これもメリットと言える。
ま、どっちにしても私は今回のPC更新を取りやめたので、今は経過を見届けるのみである。
まだRadeon RX Vegaの姿も見ていないし、しばらくはAMD情報も尽きることなく聞くことができるだろう。