マツダロードスターとかなら分かるが…。
木漏れ日仕様
10月20日に、本田技研よりS660の特別仕様車「#komorebi edition」(コモレビエディション)が発表された。価格は208万円で、11月10日~2018年1月31日の期間限定で受注を受け付けるという。この「#komorebi edition」は、βタイプのCVT者をベースに専用の「ブラウンルーフトップ」や「ライトタンカラーインテリア(シート、インパネソフトパッド)」、「アルミ製コンソールプレート(#komorebiロゴ入り)」を特別装備して追加したもの。ボディカラーは専用色で「ヒダマリアイボリー・パール」を採用している。
全般的にシックで上質なラグジュアリー感満載の特別使用者になっているのだが…コレ、何もS660でやる必要のある仕様車なのかな? という疑問もなくもない。
個人的にはS660はスパルタンなイメージが強い。理由は荷物の乗せる場所すら困る車で、とにかく走る事に特化した車だからだ。硬派に走ってナンボの車だと思うのだが…。
こういう大人しいシックなイメージは、どちらかというとマツダのNDロードスターなどに軍配が上がると思うのだが…。
コイツで硬派に走る?
この「#komorebi edition」で、硬派に走るイメージを持たせたS660を作ってみるというのも面白いかも知れないが…やはり何度考えてもこのイメージはS660ではないように思えてならない。
私からすると、そもそもS660にCVT仕様が必要か? とすら思っているので、この「#komorebi edition」のイメージは全く重ならない。
まぁ、世の中には私のような考え方だけではない人もいるので、アリはアリなのかもしれないが、私なら標準仕様でいいかな? と思う。
私はどちらかというと80馬力仕様のS660を出してくれないかな、とか海外を視野にいれて1000cc仕様のエンジンを搭載したモデルとか、逆にピーキーな方向での希望が強い。どちらかといえばもっと過激な方向に振ったS660の方がファンには望まれているように思えてならない。
Bruno Leather Edition
実はこの「#komorebi edition」の前に「Bruno Leather Edition」というαタイプをベースとした特別仕様車が存在している。2017年6月2日~11月30日までの期間限定受注で、現在もまだ受注中の特別仕様車だが、こちらはシートなどをレザーにしていたりはするが、基本的にスポーツ風に仕上げたもので、大人な感じはするものの、まだS660には似合っていたという感じである。…ま、個人的見解ではあるが。
「#komorebi edition」はそれとはまた大人な感じの振り方が真逆なので、私としては今回の特別仕様車は予想外という感じ。
まぁ…イメージは人それぞれ違うので、こういったイメージもアリかもしれないが…大人しく走るS660は、果たしてそれをS660と言ってしまっていいのだろうか?
ま、結局は感性の問題なんだろうが…。
S-FR
HONDAはS660というちょっと小さすぎるかもしれないがコンパクトスポーツを自社の技術者育成を兼ねたプロジェクトとして取り組み、実際に発売まで漕ぎ着けたワケだが、かつてヨタハチという名車を持つトヨタもコンパクトスポーツを計画していた。それがS-FRと呼ばれるコンパクトスポーツで、まさにヨタハチを現在に蘇らせたようなコンパクトスポーツを目指していたワケだが、どうもその計画は2017年7月に正式に中止になったらしい。
今まで、開発中止の噂が出たり、また再開したとか情報が流れたりしていたS-FRだが、トヨタの加藤光久副社長の退任と共に開発中止の舵取りとなったようである。
もともと加藤副社長がS-FRを主導してきていたので、その加藤副社長の存在がなくなった事で開発中止へと流れた可能性が高い。残念である。
こうしたコンパクトスポーツは台数を稼げないというメーカーからしてみれば受け入れがたい存在なだけに、技術者の技術育成など別の目的があり、かつそれを強力に推進する社内機運がないと今の世の中ではなかなか現実味を帯びないのかもしれないが、できればS-FRはあのスタイルのまま発売してほしかったな、と思う。
ただ、トヨタはその後、若年層にアピールできるスポーツモデルとして、全く別のプランが始動しているらしい。
それが1.6L直噴ターボの4WDスポーツで、開発を主導するのはGAZOO Racingカンパニー、GR開発統括部で、あのFRスポーツの86の多田哲哉氏が率いている組織と言われている。
この1.6L直噴ターボエンジンはどうも3気筒エンジンらしく、従来は3気筒エンジンといえば1.0~1.5Lが主流。1.6L以上は通常4気筒化するのが通例なので、技術的にも従来とは異なるものにしよういうつもりなのかもしれない。
この1.6L直噴ターボエンジンだが、搭載するのは次期ヴィッツと予想されていて2020年の市販化を目指しているらしい。
次期ヴィッツは世界共通の車名である「ヤリス」に変更する事が既に決まっているそうで、ヤリス4WDターボとして登場するようだ。
このクラスの4WDターボといえば、WRCでもベース車となっていたトヨタカローラが世界的には有名なので、おそらくこの次期ヤリス4WDターボもWRCマシンのベースとなる事が予想できる。
ただ…やはり個人的にはS-FRが登場してほしかったな、と思っている。
特に日本車はFR車が少なくなっている現状を考えると、とても残念でならない。
スポーツモデル
現在の車は、とにかくスポーツモデルが随分と少なくなり、遊べる車が激減している。
かつてビートに乗っていた私は、車の楽しさをビートで知り、搭載されているエンジンの能力を使い切る勢いで走る事も面白さを知った。…まぁ、660ccクラスでないと、エンジンの能力を使い切って走るなんて事はなかなか出来ない話なので、ライトウェイトスポーツに乗っていた人でもエンジンパワーを使い切るなんて事はあまりなかったかもしれないが、車を操るという事の面白さは、今の車ではなかなか味わう事ができないと思う。
現状のラインナップでは、こうした楽しみ方はなかなか出来ないな、というのが率直な感想で、その中でもS660やマツダロードスター(ND)は希有な存在と言える。
だからこそ、S660の特別仕様車「#komorebi edition」を見ていると、その方向とは全く異なるベクトルに思えて「これでいいのか?」という疑問が浮かんでくる。
まぁ…カラーリングだけが違っていて、中身はS660なワケだから、見た目イメージ以外のナニモノでもないのだが、その車が持つイメージとは逆ベクトルじゃないのかな…と感じずにはいられない。
皆さんはこの「#komorebi edition」をどのように見るだろうか?
似合っているかどうかで見れば、似合わないわけではないのだが。