1080とほぼ同じじゃないのか?
廉価版1080
以前このBlogでも取り上げた、NVIDIAのGeForce GTX 1070Tiが正式発表となった。噂通りFounders Editionは日本では発売されず、各ベンダーからのオリジナルモデルが発売となるが、オーバークロック状態での発売は禁止されているようで、各メーカー製品全てが同じ動作クロックで発売される。
何故そのような縛りでの発売になったのかという理由だが、もちろん明確な理由は公開されていないものの、大凡予想はつく。
おそらく、オーバークロック状態で発売すると、その状態で既に上位のGeForce GTX 1080の性能を凌駕するからであり、かといってオーバークロックを完全禁止してしまうと下位のGeForce GTX 1070に性能的に抜かれる可能性がある為、ソフトウェア上でのオーバークロックを許可し、出荷状態でのオーバークロックを禁止したのではないかと考えられる。
つまり、それほどまでに性能的に1080に近く、また1070ともメモリ周りに差が少ない個体という事になる。
実際、スペックを見ると一目瞭然である。
Stream Processorの数を見ても、1080が20基に対し、1070Tiは19基と僅か1基の差しかない。1070は15基だから、それなりに差はある事になるが、メモリ周りやROP数が1070と同じであるため、1070が本気でオーバークロックすれば1070Tiの性能に追いつく事は難しくない。
また、この性能は熱設計電力(TDP)を見てもわかる。
1080が180Wに対して1070Tiも全く同じ180Wで設計されている。追加電源も同じ8pin×1である事を考えると、そもそもハードウェア的に要求する電気特性は1080と変わらないものと考えられる。
ワットパフォーマンス
1070Tiが登場する以前からもそうなのだが、AMDのVegaはワットパフォーマンスでは圧倒的に不利な状況は何も変わっていない。
性能的に1080と肩を並べたとしても、NVIDIAは180Wでその性能を達成し、AMDは295Wでその性能をちょっと超えるというレベルの製品しか投入していない。
1080には1080Tiという更なる性能向上版があるが、そちらもTDPは250WとVegaよりも小さな規模で動作する事になる。
性能的には言うまでもなく、1080TiはStream Processorも3500基を超える超級GPUであるため、ワットパフォーマンスはVegaよりはずっと良い事になる。
AMDはこうした現状を理解した上で、プライスの見直しをした方が良いのではないかと思うのだが、現在マイニング人気でVegaが売れている関係もあるのだろう、そうしたそぶりは一切見えない。
現状のVegaを運用する上でも、方法を考えれば今より動作が改善する可能性もある。
おそらく、Vegaの消費電力グラフを性能と比較してデータ取りすると、明らかにワットパフォーマンスが向上する適正曲線があるハズで、その曲線に当てはまるポイントでVegaを運用できれば、絶対性能ではNVIDIA製品に劣ったとしても、ワットパフォーマンスでは並ぶ事はできると考えられる。
もし私がVegaに手を出せる段階になったなら、絶対的性能を追い求めるよりも、ワットパフォーマンスの優れた所を模索して設定する事になるだろう。
11月2日に発売される
1070Tiは11月2日には発売される。
米国でも449ドルという価格で出回る為、相当にコストパフォーマンスの高い製品になると考えられる。
ワットパフォーマンスも高く、コストパフォーマンスも高い。
おそらく現時点では最優良GPUと言える製品ではないかと考えられるが、この製品が発売された後にベンダーオリジナルのRadeon RX Vegaが発売される予定となるだろうが、明らかに商品力は1070Tiの方が上である。
しかも、現時点では国内でVegaを取り扱っている店舗そのものが少ない為、入手性でもNVIDIA製品の方が上回る。
Vegaはそのコアの生産に遅れが出ているという情報は前からあったが、HBM2との兼ね合いで歩留り改善がまだ追いついていないのかも知れない。
AMDはこの状態をどのように切り崩していくつもりなのだろうか?
何はともあれ、私としてはベンダーオリジナルのVegaが発表されない事には、メインPCの入れ替え計画は進められないと考えている。
最終的にどのように判断するにしても、比較する対象が存在しない事には判断はできない。
AMDにはあらゆる意味で早急に商品展開を進めてもらいたいものである。