ホントは昨年がHDR元年と呼ばれてたんだよね(-_-;)
今年も普及しきれていなかった
この話題も今年で何回も書いたネタではあるのだが、いい加減本当にそろそろ普及してくれないと困るなぁと思っているのが、PCモニタのHDR10対応機器普及である。
何だかんだと、年末にAcerから対応モニタが出てきたりもしたが、それでもまだまだ選択肢が少なく、とても普及しているとは言えない状況は変わっていない。
私が欲しいのは、32~40型前後のHDR10対応モニタで、できれば解像度は4K、もしくはウルトラワイド液晶で3840×1600ドットぐらいの製品である。
一度これぐらいの解像度を知ってしまうと、中々元には戻れないというのがその背景にはあるのだが、32型~40型クラスでないとWindowsの画面がスケール100%で使用できないので、これぐらいのサイズにならざるを得ないところがある。
だが、現時点では決して不可能なスペックではないのだが、こうした製品が世に出てくる事が未だにない。
一方、テレビの世界ではどうかというと、今年は55型以上のサイズで4K&HDRという製品が結構出回りはじめた。
もっとも、価格はとても高いので、とても普及帯とは言えないのだが、この背景にはOLED、つまり有機ELパネルを採用したテレビが各社から登場した事が大きい。
発売されたテレビの大部分はLGブランドのパネルを採用しているのだが、映像処理エンジンは各社異なっているので、画質は本家LGよりも日本メーカーの方が良いと言われている。その本家LGも製品ファームウェアのアップデートなどで随分と画質向上はしたようだが、まだまだ本家LG製品も価格は20万円超という価格なので、普及帯に下りてくるのは、来年本格化、といった所かも知れない。
PCモニタはまだ先?
PCモニタの場合、どうしてもテレビよりはパネルサイズは小さくなる為、高解像度パネルを作るという意味では技術的により高度と言えるかも知れない。
しかし、現時点では27型クラスでも4K解像度のパネルが存在しているため、その技術的難しさというのは解像度に起因しているとは考えにくい。
やはりHDRというより広色域化が難しいという事なのかもしれないが、もし有機ELパネルのPCモニタが登場したならば、案外簡単に製品としては実現できてしまうかもしれない。
ただ、有機ELパネルをテレビではなくPCモニタとして使用するのは結構冒険のような部分があり、画面の焼き付き問題などはテレビよりずっと深刻化するだろうから、現時点で登場していない事を考えると耐久力に問題があるのかもしれない。
となると、来年もまだまだPCモニタにHDR10対応が普及するのは見えにくい話になってしまうのかも…。
技術的に何かブレイクスルーが起きないと、根本解決できないのだろうか?
期待は量子ドットパネル
有機ELパネルには、その耐久性という問題が常について回る話なのだが、そうした問題を克服し、かつより広色域に対応できる技術として注目されているのが、量子ドットパネルである。
ディスプレイ技術における量子ドット技術とは、ナノサイズの半導体結晶物質を使って、入ってきた光を別の波長の光に変換することをいう。光の波長変換を量子力学レベルで行なう為、量子(Quantum)というキーワードが出てくるワケだが、詳しい話は専門サイトなどで見てみるとよりわかると思う。
この量子ドットパネルの研究は、液晶メーカーとして今や世界を牽引している韓国企業だけでなく、中国企業も著しい進出が起きていて、日本でもシャープやSonyなどが研究を進めている。
ただ、面白いのは韓国や中国企業と日本企業ではその取組が全く異なっていて、韓国や中国企業は量子ドット光学シートというシート状の素材を使用する研究が盛んなのに対し、日本メーカーは量子ドット光学シートがあまりにも高額なので新世代のLEDバックライトシステムで再現する事を推し進めている。
量子ドット光学シートとは、光学フィルムシート的な素材で、このフィルムに入射した光を別の波長の光に変換する特性をもつシートで、バックライトとなる白色LEDに貼り付けたり、パネル全体に貼り付けたりして、量子ドットの光学特性を得る。
日本メーカーはこの量子ドット光学シートで得られる広色域は、LEDバックライトシステムで再現できるとしていて、高額な量子ドット光学シートを使わない方法を模索しているので、中韓メーカーとは異なるアプローチになっている。
どちらの方法が最終的に普及価格帯に下りてくるのかはわからないが、この量子ドットパネルが先か、或いはOLEDパネルが問題を克服して普及価格帯に下りてくるか、来年が見所である。
どっちにしても、こうした技術的な部分から見ると、まだまだHDR10対応パネルが普及価格帯に下りてくるには時間がかかりそうだが、PS4は既に対応しているわけで、再生機器ばかりが先行している状況は、じらされているようでイヤかな感じである。
来年はぜひとも各メーカーでこのあたりを改善してくれる製品を投入してくれる事を期待したい。