Radeonがこれでまた機能強化。
新ドライバ、リリース
12月12日、AMDからRadeonの新ドライバがリリースされた。
当Blogでも一度記事にはしたが、その際には搭載される新機能など分からない事が多かった。今回リリースされた「Radeon Software Adrenalin Edition」は、前バージョンと比較して大凡10%の性能向上を果たしているとの事で、一部ゲームタイトルにおいてはレイテンシの削減も実現している。
また、ボーダレスウィンドウモードのゲームタイトルであっても、マルチGPU、つまりCrossFire Xをサポートした事で、最大で2倍の性能向上が実現している。
ドライバの更新でこれぐらい明確に性能アップを謳えるという事そのものが実はとんでもない事であり、逆を言えばNVIDIAとの競争においてAMDがもっとも損をしている部分でもある。
機能改善
「Frame Rate Target Control」機能は、これまでVulkanのAPIがサポートされていなかったが、今回新たに対応となった。この「Frame Rate Target Control」という機能は、フレームレートの上限を設定して消費電力を削減する機能なのだが、Vulkanモードの「DOOM」のフレームレートを60fpsに制限した場合、Radeon RX Vega64では74%の電力を削減できるようになるらしい。
また、動作におけるグローバル設定の中に「Compute」というプロファイルが追加となり、これをONにするとGPGPU的な汎用演算に特化した動作となり、15%の性能向上が見込めるという。仕組みについては企業秘密という事らしいが、グラフィックス処理とは異なる処理命令で性能が大きく変わるという事なのだろう。
また、ゲーム中の非操作時にフレームレートを下げて消費電力を下げる機能「Radeon Chill」は、これまで数種類のタイトルだけがサポートされていた機能だが、その制限が取り払われ、動作する限りの全てのゲームがサポート対象となった。仮に動作しないゲームだった場合は、自動でこの機能がOFFになるため、積極的に使っていける機能になった。
他にもいくつか機能改善が施されているが、どれも今まで物足りなかったものが使える様になった、というような機能改善ばかりで、いよいよこれで安定性さえ出てくれば使えるビデオカードになる、といったものである。
新機能
今回搭載された新機能の中でもっとも効果的と言えるのが「Radeon Overlay」だろうと思う。
この機能は、ゲームプレイ中に「Alt+R」を押す事で、画面にオーバーラップさせてコントロールパネルを表示し、中断する事なく様々な機能を閲覧したり使うことができる機能である。
閲覧やコントロールが可能なのは、フレームレートやCPU/GPU使用率、GPU温度などが閲覧できる他、ReLiveによる録画の開始や設定、Radeon Chill機能の設定、FreeSyncのON、OFF、Frame Rate Target Control機能といったものである。
従来はウィンドウを切り替えたり、或いはプレイ中のゲームを終了したりしないと変更できなかった機能だが、この「Radeon Overlay」は画面にオーバーレイで表示させるだけでなく、中断する事なく各機能の効果を実現可能にする機能である。
また、もう一つ搭載された機能が「AMD Link」という機能で、これはスマホで同一ネットワーク内にあるRadeon搭載PCの状況を確認できる機能で、さらにReLiveの録画開始、停止、そして録画動画またはスクリーンショットのギャラリーのサムネイル閲覧や、各種SNSへのアップロードが可能になる機能を持ったアプリケーションとの連動機能である。
スマホはiOSとAndroidが対応可能で、それぞれモバイルアプリが提供されるようだ。
NVIDIAを追従してほしい
正直、今ビデオカードでRadeonを選択するのは、ある意味AMDファン、もっと行くとマニアと呼ばれる人達か、マイニングを目的とした人しかいないとすら言える。
何故なら、今の状況としてはPCゲームにおいて圧倒的にNVIDIA製ビデオカードが優位で、ワットパフォーマンス等に優れているからだ。
唯一、GPGPUでの使い方(マイニング含めて)において、多少Radeonが有効か? という状況でしかない。
ただ、私が思うにハードウェアとしての性能だけで言えば、NVIDIAもAMDもそう大きな性能差ではないように思えている所もある。
結局、今のプログラムの大部分はNVIDIAのコアに最適化されているものが多いという事と、NVIDIAのドライバがよりハードウェアの性能を引き出しているだけに思えるのである。
昔からAMD、いやもっと遡ってATIの頃から、ドライバの作りが甘いところがあり、NVIDIAはその点が行き届いてる感じだった。
AMDは、ドライバをもっと作り込み、ハードウェアの特性を引き出しつつ、各ベンダーとの協業を色濃くして、Radeonの性能を向上させて欲しいものである。
今回の新ドライバ「Radeon Software Adrenalin Edition」は、性能を引き出せるドライバとして、多少前進はしただろうが、できる事はまだまだあると思う。
というか、ビデオカードの機能としてできる事が多いのは、Radeonの優位点ではないかと思うだけに、性能を引き出し切れていないのは残念極まる話である。