超高感度センサー搭載のマイクロフォーサーズ。
動画用カメラ?
パナソニックから、超高感度センサーを搭載したm4/3カメラ“LUMIX GH5S”が発売される。
センサーは10.2MPと画素数こそ少ないが、ISO25600レベルでもノイズが少なく極めてクリーンな映像を得られる性能を持っているという事で、ISO25600の動画では、上級機のSony α7SIIをも超える映像を得られるらしい。これを実現できたのは、デュアルネイティブISOテクノロジーという、各画素のゲインアンプ前段に低ISO回路と低ノイズ回路の2系統を備えた仕組みを搭載したためという事のようだが、これはそもそもパナソニックに動画用カメラの技術的蓄積があった事で、実現可能になったようである。
このデュアルネイティブISOテクノロジーによって、通常感度の約2.4倍の感度を得ることができたようで、25%のノイズ減少、1.5段分のS/N比向上と合わせて高感度画質を実現したようである。
よほど画質に拘ったのだろうと思われるのは、センサーシフト式のボディ内手ブレ補正機構を廃してイメージセンサーを固定したところである。手ブレには弱くなったかも知れないが、本体を固定さえできてしまえば良好な画質を得られるだけでなく、本体重量を軽くする事にも貢献している。
また、イメージセンサーの読み出し速度も従来機よりも1.3倍ほどに上がっているとの事なので、高感度により、さらに情報量の多いデータを扱いつつも読み出し速度は向上しているという結果のようである。
また、静止画での性能においても、14bit RAW撮影に対応しており、より深みのある写真表現が可能になっている。これも高感度耐性が高いセンサーの恩恵を得るには必要な性能だといえるだろう。
Olympusもがんばって欲しい
個人的に、動画分野ではOlympusよりもパナソニックの方が強いな、とは思う。
何しろ、パナソニックは昔からビデオカメラの開発も行っているが、Olympusからはそんな話は聞いたことがない。
だから動画性能で差が付くのは仕方が無いとは思うが、残念なのは高感度分野でもパナソニックが先行した事である。
私は以前、E-M1とE-M5の棲み分けにおいて、E-M1は高画質、E-M5は高感度に性能を振った方がいいのではないかという、個人的希望を当Blogで書いた事がある。
Sonyが、α7Rで高画質、α7Sで高感度のカメラを発売したのと同じような展開である。
この二つは、突き詰めると同じベクトル上に成立しにくい技術だと思ったからだが、もちろん根底には両者繋がる部分はある。
ただ、画素数を高めて行く方向性と、一つの画素が得る情報をより細分化していく方向というのは、同時に高めて行く事は非常に困難だろう事は容易に想像が付く。
なので、棲み分けという方法で、ちょうど製品的な棲み分けが必要と思われたE-M1とE-M5で、それらを分けて高機能化していく事ができれば、何れそれらを統合した製品を開発しやすいのではないかと思ったのである。
しかし、Olympusの製品群において、E-M1とE-M5の方向性はあくまでも位相差AFの搭載か非搭載かという部分のみで、それ以外の棲み分けにはならなかった。
開発リソースの問題だという事なのかもしれないが、個人的には残念な結果を見てきた。
だが、パナソニックはここに一つのカタチを示してきた。
このパナソニックの動きに対して、Olympusは沈黙を通すのか、それとも何かのカタチで応えてくるのだろうか?
レンズメーカーとして
Olympusはそれでもレンズメーカーとしては評判が良いメーカーだと私は思っている。
特にプロレンズは価格は高いものの、その解像感の高さはいろいろなところで評価が高い。
なので、カメラもセンサーだけで画質が決まるわけではないとは思うのだが、高感度耐性となればどうしてもセンサー性能に寄ってしまう。
Olympusはレンズメーカーでもあるが同時にカメラメーカーでもあるのだから、光学メーカーとして、何かしらの意地を見せて欲しいなと個人的には思っている。
こうした望みは「高望み」なのだろうか?
開発リソースが足りない可能性は高いわけだが、デジカメという拡大路線には今後向いていかないだろう分野でのニッチな要求は、今後この分野を支えていくトレンドになる可能性が高いため、何かしらの手は打って欲しいかなとは思う。
…ただ、世間的にはデジカメ分野って売上が伸びているという話もあるんだよね。
数は減っても単価が高くなった、という事なのだろうか。
どちらにしても、今後の進むべきトレンドの一つに「高感度」化はあるだろうから、無視できない事ではないかと思う。