新リサイクル方法によって復活のリチウムイオン電池。
今後のリサイクルに期待
米カルフォルニア大学サンディエゴ校が、寿命を迎えたリチウムイオン電池の新しいリサイクル手法を開発したと発表した。
カリフォルニア大学サンディエゴ校 ニュースリリース
http://jacobsschool.ucsd.edu/news/news_releases/release.sfe?id=2454
これによって、希少金属であるリチウムやコバルトの資源リサイクルを促進する事ができ、さらなる採掘を抑制する事ができ、最終的には採掘による水質、土壌汚染を抑制する事ができるようになる可能性がある。
リチウムイオン電池は、最近ではスマートフォン、ノートPC、電気自動車など、バッテリーを搭載するものの多くに搭載されている充電池だが、このリサイクル手法が確立する事で、今後大量に廃棄されるであろうリチウムイオン電池をただ単に廃棄するという事でなく、リサイクルによって全体総量を変えることなく利用出来るようになる。
難しい話
理系的な話になるので、詳しい話は私には無理だが、原理としては以下のような話(文系の私が書くことなので間違ってたらすみません…)。
そもそもリチウムイオン電池は、リチウムイオンの陽極と陰極間の移動を利用した二次電池になるが、この陽極と陰極にはリチウムやコバルトなどの希少金属をカソード(陽極)、グラファイトなどをアノード(陽極)の材料として使用する。
リチウムイオン電池が消耗すると、カソード(陰極)材料のリチウム原子の一部を失い、カソードの原子構造も変化する事で、イオンを出し入れする能力が低下する。
この能力が低下するというのが、所謂リチウムイオン電池の劣化という状態なわけだが、今回発表されたリサイクル方法は、カソード材料(リチウムコバルト酸化物)を回収したあと、リチウム塩を含む高温のアルカリ性溶液中でカソード粒子を加圧し、800度まで加熱、その後、時間をかけてゆっくりと冷却(これを焼き鈍し=アニール処理という)すると、再びカソードが電池材料として利用出来るようになる、という仕組みである。しかも、ここでつかったアルカリ性溶液はカソードの復元処理に使い回す事が可能だという。
実験では、この再生法でオリジナルと同じエネルギー貯蔵容量、充電時間、寿命を持つ事が確認できたという事で、非常に有効なリサイクル方法だという事が言えるという事である。
…何だか難しい話だが、現在開発中の他のリサイクル方法だと、この方法の2倍のエネルギーを消費してしまうため、効率から言えば今回の方法がもっとも優位性があるらしい。
現状では使用済みリチウムイオン電池の内、リサイクルされているのは5%未満だというから、今後この方法が産業規模で最適化されれば資源の節約になるだけでなく、リチウムイオン電池そのものの価格すらも抑えることができると期待されている。
スゴイ研究発表ではあるが、あとはリチウムイオン電池から火災がなくなると良いのだが…こればっかりは使っている元素的かつ化学反応的な問題でもあるだろうから、無理かもしれない。
既に現在の生活を支える上で、リチウムイオン電池はなくてはならない存在であるだけに、このリサイクル方法の登場は非常に重要なものになるのではないかと思う。