いつかはこんな製品が出てくると思ってた。
音響技術の一つの答え
ソニーモバイルコミュニケーションズから、左右分離型の耳を塞がない完全ワイヤレスイヤフォン「Xperia Ear Duo XEA20」が発売される。発売日は4月21日で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は3万円前後。機能的には、音楽を聴くイヤフォンとして使用できるだけでなく、スマホアプリと連携して、カレンダーの予定や情報を読み上げるといった、イマドキのスマホアプリ音声アシスタント機能を利用できる。
しかし、そういった機能より何より、このイヤフォンの何がスゴイかというと、言うまでもなく耳を完全に塞いでいないという事。
ソニーの技術・研究開発プログラムである“Future Lab Program”で開発した独自の音導管設計により、耳を塞がない構造ながら音漏れを低減しており、10mmのダイナミックドライバを耳の後ろにユニットとして配置、音導管を通して鼓膜へダイレクトに音を届けるという仕組みを持つ。
耳を塞いでいないので、当然ながら周囲の音も同時に聴くことができ、音楽も会話も楽しむ事ができる。
また、完全左右独立型の弱点である、音の途切れに対しては、左右イヤフォンの接続にNFMI(近距離電磁誘導)を採用して対応。アンテナ設計を工夫して、低遅延と左右の安定接続を実現している。
ちなみにスマホなどとの接続にはBluetooth 4.2 LEを利用、コーデックはSBCとAACを利用している。プロファイルはA2DP/AVRCP/HFP/HSPを使っているので、ほとんどのBluetooth対応機器であれば利用できるだろうと思われる。
また、耳の後ろに配置したユニットの表面はタッチパッドになっていて、各種機能を操作できるが、本機はタッチパッドによる操作以外に、ヘッドジェスチャーによっても操作できる。ヘッドジェスチャーとは、頭を上下左右に振る事でいろんな機能を呼び出す操作方法で、手が離せないときなどは首の動きで操作ができる。
Android特化型
この「Xperia Ear Duo XEA20」はその名の通り、Xperiaとの連携を視野に入れているだけあって、フル機能はAndroidでしか利用できない。iPhoneでも利用は可能だが、前述のタッチパッドでの操作においてタッチ操作やヘッドジェスチャーに対応するも、タッチ操作のボタン割り当てができなかったり、ヘッドジェスチャーは着信への応答や拒否、音楽のスキップのみにしか対応しない。
ま、このあたりはXperiaというソニー製品へ特化対応しているイヤフォンだけに致し方ないところであろう。
気になるバッテリーの動作時間だが、音楽再生で約4時間、通話で約2.5時間、連続待ち受けで約22時間動作する。付属ケースが740mAhのバッテリーを内蔵していて、イヤフォン収納時に充電でき、ケースで約2回充電出来る為、バッテリー動作時間は本体バッテリーふくめて前述の3倍動作する事になる。
ま、音楽再生時間で12時間分であれば、左右分離型イヤフォンとしては及第点といえるだろう。
左右分離型としてはオススメか?
私も自宅で使用しているのが「WH-1000XM2」というワイヤレスヘッドフォンだが、ワイヤレスの良さを一度知ると、音への拘りが優先か、それとも利便性が優先かという選択肢において、もう利便性を取ってしまうぐらい、その便利さからは離れられなくなっている。
もしこれが左右分離型だったらどうだろうか?
多分「WH-1000XM2」よりもさらに便利に使える事は間違いない。
ただ、そうなると連続使用時間から考えてやはり野外利用が中心となる。野外利用で一番気になるのは、もちろん外部への音漏れもあるが、外部の音の取り込みも気になるところである。
特に電車などに乗っていると、車内放送を聞き逃すと予想もしなかった乗り換え問題を体験したりしてしまったりする。これを防ぐには外部の音が聞こえている事が前提になるが、この「Xperia Ear Duo XEA20」なら、そうした外部の音の取り込みも自然にできるわけで、ある意味理想的な環境を手に入れられる。
だとしたら…このイヤフォンは相当にオススメといえるのではないだろうか?
ただ、どうしても気になるのは音漏れである。
完全に耳を塞がない状態での運用なので、どれぐらいの音が漏れるのか、やはりどうしても気になる。
一度機会があれば試してみたいところだが…試聴できる環境が近所にないので、試した人はぜひ状況を教えて戴けると助かる。
今の段階ではオススメできるが、果たして外部への音漏れはどんなものか…。