メモリカード規格は新規格へ。
NVM Express
メモリカードと言えば、世間でおそらく一番普及しているのはSDカードになるかと思うが、転送速度などで既に最新規格とは言えず、より高速アクセスが可能なメモリカードの策定は今までも続けられていた。
そこから生まれた新しいメモリカードとしては、CFast 2.0やXQD 2.0といった規格が既に存在するが、今一つ普及しているという状況ではない。
2016年9月に、CompactFlash Association(CFA)が策定中とアナウンスしていたものに「CFexpress」という規格があったが、今回、その規格が具体化し「CFexpress 1.0」として策定、発表された。インターフェースとしては、PCI Express3.0(Gen3)、プロトコルとしてNVM Express1.2を採用していて、記録メディアとしては現行のXQDと同サイズとなっている。
NVM Expressというプロトコルと聞いても、あまりピンとこないかも知れないが、現在自作PCなどで使われるNVMe M.2スロットに挿すSSDは、同じNVM Expressのプロトコルによる通信を行っている。つまり、NVM Expressとは略すとNVMeと表記される事もあるものである。
何故、SATAではなくNVMeというプロトコルを使用するかというと、そもそもSATAは機械的ディスク用に設計されたものなので、物理的な限界転送速度である6Gbpsを超える事ができない仕様になっている。しかし、昨今のメモリカードが採用するメモリは、既に論理的メモリとも言える通信を行っているため、転送速度も6Gbpsを超える事が可能であり、今回の新規格に関しても、NVMeを採用しているものと考えられる。
それを裏付けるかのように、今回発表された「CFexpress」は、現在最大2レーンのインターフェースだが、将来的には8レーンに拡張し、転送速度は8GB/秒、(おそらく)64Gbpsを想定しているようだ。
コレにより、メモリ速度を必要とするデバイスにおいて、用途を拡大していこうという事と思われる。
4K8K時代のカメラの為に
これだけの高速通信を可能にするメモリカード規格であれば、現在のデジタルカメラに使用されているSDカード UHS-II規格などよりもずっと高速で撮影データを記録できると考えられる。
問題は、今までもXQDカードなど高速なカードが存在していたにも拘わらず、あまりそれらが普及していなかったという事になるわけだが、プロトコルとしてNVMeを採用した事でより高速記録が可能となっている事をアピールできれば、既存のSDカード神話を覆す事はできるかもしれない。
あとは普及の為の価格という事になるが、できればSDカード並の価格で普及させられれば、一気に広められるだろう。…ま、数年はかかるかも知れないが。
他にも、商業用のドローン、業務用ビデオカメラ、リムーバブルSSDなど、用途を広げる事ができれば、もっと普及する速度は早くなるかも知れない。
安定品質かつ安価であれば、採用しない手はないはずなので、価格さえ間違えなければXQDのような事にはならないだろう。
メモリカードスロットを増設してPCなどでも手軽に使える様になれば、便利かもしれない。普及すると良いのだが…。