遂に中国もハイエンドゲーム機市場に参入。
AMDのカスタムSoC採用機
中国のゲーム機器メーカーである小覇王は、元々任天堂のファミコン互換機といった製品を製造していたメーカーだが、中国で開催されたゲームショー「ChinaJoy」で、遂にハイエンドゲーム機市場に参入する事を正式発表した。投入するゲーム機は「Z+」という名称で、搭載するプラットフォームは基本的にx86になる。というのも、採用した半導体コアはAMDのRyzenコア&Radeon GPU、つまりRyzen Gと同系列のSoC(システムオンチップ)であり、3GHz動作の4コア8スレッド、1.3GHzのVega GPUを24CU搭載というスペックになるからだ。
これに256bitのGDDR5メモリコントローラーが統合され、マザーボード側にはGDDR5を8GB搭載する。
…ここまで読んで、アレ? と思った人はこの手の話に詳しい人かもしれない。
SoCの詳細スペックこそ異なるが、基本的な組合せはほぼPlayStation4と変わらない仕様なのである。
もちろん、細かいところではかなり要素が異なるとは思うが、大まかな仕様が同じであるため、このZ+も基本的にはPlayStation4 ProやXbox One Xと同等かそれ以上の性能を持つと考えられる。ハードウェアスペックだけを考えれば、おそらく既存コンシューマ機最強といえるだろう。
Windows PC
このZ+だが、搭載するOSはなんと2種類存在し、デュアルブート仕様となる。
一つ目のOSはWindows10で、こちらで起動させると完全なWindowsプラットフォームで動作し、そのプラットフォーム上のゲームがプレイできる。
もう一つのOSはWindows10 IoT Enterpriseをコアとした独自の「Z+プラットフォーム」で動作し、所謂10フィートUIに特化したWindows8っぽいインターフェースで利用する。こちらのプラットフォームでは独自ストアが利用できたり、ストリーミング配信や視聴が簡単にできるようになっているようだ。
つまり、この時点で一つハッキリ言える事は、Z+では完全なWindows10マシンとして利用できる環境もありつつ、Steamのような独自環境を持った独立型プラットフォームマシンとして利用できる環境を併せ持つゲーム機である、という事である。
PCに詳しい人ならこのZ+がなくても自分で環境を構築する事はそんなに難しくはないかも知れないが、知識のない人であっても、Z+を導入するだけでWindows PCの環境とゲームコンソールの環境を手に入れられるのだから、そのメリットはかなり大きいと言える。
至れり尽くせり
前述のお手軽さを強調するわけではないが、このZ+はカスタムUEFIリカバリ機能をもっていて、BIOSも自動的にアップデート可能であり、さらに低電力モードを搭載する事で待機時30Wで常時ファイルをダウンロードするマシンとして使用する事もできる。また、NASとしても利用する事が可能であり、そうした使い方を考えても、小難しいWindows PCの知識が不要で利用できるというメリットは大きい。
Z+が内蔵するストレージは、128GBのSSDと1TBのHDDで、本体の分解なしにストレージの交換も可能になっている。NASとして使用したい人であれば、1TBのHDDをさらに大容量のものに交換すればより使い勝手が増す。
ここまでの仕上がりだと、中国国内ではPlayStation系やXbox系よりもずっと高評価なマシンになるのではないかと個人的には思うが、こうしたハードはソフトがあって初めて成立する部分もあるので、便利な使い方という側面だけでみればまだどうなるかは分からない。
ただ、前述したようにWindows10 PCとして普通に使える事は間違いないので、この部分でソフト供給や運用面で心配する必要が無い。
今後、Z+が中国市場に留まらなければ、SonyやMicrosoftの強力なライバルになりかねない可能性はあるかもしれない。