でも置き場所がない…。
DisplayHDR
私自身、現在使用しているPCモニタはその置き場所の問題やリアルサイズでの表示解像度の関係から、34インチの3,440×1,440ドット表示ウルトラワイド液晶モニタを使用している。
だが、本当ならば4Kモニタを使いたいところである事は変わりがなく、その場合は40インチ以上のモニタサイズでないと、リアルサイズでの表示解像度が得られないという事で、採用を見送っていた。というのは、精細度を許容できても110dpi(ppi)までが自分の中では限界と思っているからでもある。
もちろん、製品の縦幅の関係から、置き場所の問題も大きな問題として存在しているので、仮に40インチ以上の4Kモニタが存在していても購入に踏み切れるわけではないのだが、同時に次に買替えるとなると、やはりHDR表示は絶対に外せないと思っている側面もある。
4KテレビではこのHDRに対応した製品が数多く出回っているが、何故かPCモニタとしてはあまり出回っていないというのが現状で、しかも私が許容できる精細度110dpiの製品だと、2~3製品しか対象に入ってこない。しかもそれらの製品にしても、HDR対応といっても所謂HDR10対応であり、しかもそれは出力認識としてのHDR10対応であって実際にダイナミックレンジとしてそれだけの色彩を持っているかは疑問だったりする。
そうした曖昧な度合いの中にあるHDRだが、PCの世界ではよりそこを明確に定義するため、DisplayHDRという規格がVESAで定められた。
明るさ400nitのものをDisplayHDR 400、600nitのものをDisplayHDR 600、1000nitのものをDisplayHDR 1000と定義し、それらの明るさ基準をクリアし、かつ他の要素をクリアした製品にそれぞれのロゴを付与できるスタイルを採っている。
他の要素とは、DisplayHDR 1000なら輝度以外のピクセルドライバ10bit、色域BT.709カバー率99%という要素だし、DisplayHDR 400ならピクセルドライバ8bit、色域BT.709カバー率90%以上というのが要素になる。
ただ、このDisplayHDR規格であっても、従来のHDR10規格には対応するものの、ドルビービジョン方式や4K放送で採用されているHLG方式には対応していないのが難点で、折角統一規格を作っても、結局未対応の方式がある事で、使える使えないの問題が残ってしまう。実に残念な話である。
43型
DisplayHDR規格についてはこのような規格ではあるが、ようやくそのDisplayHDR規格に対応した製品が出回り始めた。
中でも最上級のDisplayHDR 1000対応機、しかも10万円以下の製品として、PhilipsのMVA方式液晶ディスプレイ「436M6VBPAB/11」は私としても決定打となる製品と考えている。パネルは前述の通りMVA方式の4K解像度で、輝度ピークは最大1000nit、バックライトはB-LED+QD Filmで、量子ドット技術の採用による広色域再現も可能になっている。その色域はBT.709カバー率100%、DCI P3カバー率97.6%と、圧倒的なものがある。
これで43インチという大きさのパネルなので、精細度では102dpiと、リアルサイズでも認識できる文字サイズで運用できる。
PCデスクの前に43インチのモニタが居座ると考えると、結構な威圧感にもなるし、目の移動距離は結構大きくなりそうではあるが、OSのデスクトップを広く使えるという点においては理想とも言えるモニタである。
さらにDisplayHDR 1000に準拠しているという事は、少なくとも映像作品のみならず、PS4やXbox系のHDR表示も間違いなく表示可能なので、Windows上でもHDRモニタとして認識される。
まさに今考えられるモニタの中では最強とも言えるスペックである。
気になるのは次世代機
ただ、この「436M6VBPAB/11」に関して気になるのは、各ディスプレイメーカーの次世代機の存在である。
「436M6VBPAB/11」そのものは確かに現時点でのベストモニタではあるのだが、今後ディスプレイメーカーは、OLED(有機EL)パネルや量子ビットパネルを採用したモニタを投入してくる事になる。
有機ELパネルは言うまでもなく、量子ビットパネルに関しても、そもそも画素そのものがものすごく色彩豊かなので、液晶パネルよりはずっと広色域を得意としている。また、画素そのものが発色する事でコントラストも高く、よりHDR表現に対して有利に働く。これは技術的にも前々から言われていた事なので、それらの製品が安価に出回るようになれば、自ずとHDR対応は促進される事になるのだが、問題はいつそれらのパネルが一般的になるか? というところである。
気にはなるが、今現実に手に入れられるのがPhilipsの「436M6VBPAB/11」だとしたら、時間を金で買うというつもりで「436M6VBPAB/11」に突貫するのはアリだと思う。
価格的に10万円以下ぐらいの価格だが、よく考えて欲しいのは、今でこそ格安モニタが1万円台で売られている時代ではあるものの、その昔はモニタだけで20万とかした時代があるわけである。
それが、今や43型のDisplayHDR 1000対応機で10万円を下回る価格なのである。比較すればこれはお買い得なモニタと言わざるを得ないと思うのは私だけだろうか?
まぁ、安いに越した事はないが。
というわけで、今、4Kで確実にHDR表示ができるモニタが欲しいというのなら、Philipsの「436M6VBPAB/11」は十分アリだと思う。
検討されてみては如何だろうか。