長く使えるものを選んだ結果。
Apple Watchは…
先日、腕時計が欲しいという話をした。
長い間、腕時計というものをしたくないという理由から、ずっと腕時計を避けてきた私だが、単純に時間を知りたいと思った時、わざわざスマホを取り出したりするよりも腕時計ならもっと簡単に知る事ができるという、ただそれだけの理由で、私の目は再び腕時計を向く事になった。
ただ、その時に迷ったのが、スマートウォッチの存在。
イマドキのデジタルガジェットを考えた時、多機能なスマートウォッチは従来の腕時計よりもできる事が多いだけでなく、個人のヘルスケアなどにも役立つ事から、選ぶならスマートウォッチ、iPhoneを常用している私であればApple Watchの方が良いのではないか? と思い至った。
腕時計という単機能製品より、多機能なスマートウォッチの方が便利である事は言う迄も無い。
だが、私として即座にスマートウォッチを選ばないのには理由がある。
それは、スマートウォッチは時間と共に確実に劣化するからである。毎年のように新製品が発売され、新製品は内蔵する半導体が高性能化する事によって、稼働させる為のアプリケーションが高度化、その処理を実施する為に旧機種は性能低下が避けられない状況になり、その製品寿命は数年というのが今のスマートウォッチの現状である。
であれば、場合によっては3年もすれば稼働させるのに苦労するような機器になるのがスマートウォッチであり、そういう製品はスマートフォンだけで十分ではないか?
そう考えたら、Apple Watchを購入する意欲も減衰するというものである。
そして選んだものは…
だが、世の中には骨董と呼ばれるぐらい古くなっても価値が下がらないものがある。
時間が経過しても機能としては劣化する事なく、また経過した時間が逆に価値になるもの…そうした製品を使えるなら、そういう製品を選ぶのが本当なら一番よいのではないだろうか?
となると、そうした製品に“腕時計”というガジェットを当てはめると、超高級腕時計がそれに当たるワケだが、当然ながら私如きがそのような超高級腕時計を購入できるハズもなく、結局骨董という価値を持つ事など私にはできない。
が、時間の経過をあまり意識しなくても良い製品を選ぶことはできる。
という事で、今回、私はあえてスマートウォッチではなく、普通の自動巻きの腕時計を購入する事を決意した。
そしてその対象となる製品として選んだのは、SEIKOのPRESAGE「SARX019」というモデルである。
何故SARX019なのか?
数ある自動巻きの腕時計の中で何故「SARX019」を選んだのか?
理由はいくつかある。
まず、自動巻きを選んだ理由は、バッテリーがないので劣化の心配がないから。故障しない間は、振動さえ与えていれば動き続ける…それが自動巻きである。
また、文字盤も長期間にわたって劣化しないものを選びたいと考えていた。時計でメカニカルな部分以外で劣化が起きるのは、バンド部分と文字盤である。バンド部分は交換手段が簡単でもあるのであまり影響がないのだが、文字盤だけはそうはいかない。
なので、文字盤のダイヤルには半永久的に色褪せないと言われている琺瑯ダイヤルが良いと考えた。
これらの条件を併せ持ち、私の許容できるコストの時計となると、SEIKOのPRESAGE「SARX019」が選択肢として持ち上がったワケである。
もっとも「SARX019」に注目していたのは随分と前からである。
元々コスト的に他の選択肢があまりない事を理解していたので、狙うならコレ、と目星を付けていたのは間違いない。
ただ、SEIKOのPRESAGEブランドの時計も、時代と共にいろいろ進化したりしているので、希望のモデルが変わる可能性もあるのだが、その後発売されたシリーズ品を見ていても、結果として「SARX019」が一番良いと考えている。
そこに最後の理由が存在する。
ローマ数字の文字盤
その最後の理由というのが、ローマ数字のシンプルな文字盤である。
正直、ストップウォッチ機能があるとかそういうのはどうでも良い。私が希望するのは、単純に時計という機能があればそれで良く、そこにデザイン性としてローマ数字の文字盤が欲しいと思っていたのである。
ところが…思いのほか、ローマ数字のシンプルな文字盤というものがない。
ましてそれが琺瑯ダイヤルだとなればなおのことである。
ほぼ唯一見つけたのが「SARX019」で、コイツも実は完全に求めたデザインではない。
理由は、日付が3の数字の所に被ってしまっているという事。私はただ純粋にローマ数字が綺麗に1から12まで並び、それに長針と短針、そして秒針があるだけというものを臨んでいた。
ただ、それを追求しすぎると、他に選択肢がなくなるので、とりあえずまぁ…それぐらいなら良いか、と考えて、最終的に「SARX019」に落ち着いた。というか落ち着かせた。私からすると、日付の機能も不要なのである。
いざ物色
で、この「SARX019」を安く買える方法をいろいろ模索した。
定価が80,000円ほどするので、このままでは当然だが私としては許容する事ができない。許容値としては50,000円が良いところで、これもApple Watchとの兼ね合いで出てきた金額である。もちろん、安ければ安いほど良いが、安すぎても製品品質に不安を感じるところもあるので、50,000円という価格はある意味妥当なラインと言えるかも知れない。
ただ、新品をこの価格で購入するのはほぼ無理でもあるので、ここは工夫するしかなく、結局の頼みの綱はヤフオクという事になる。
オークションを不安視する人も多いが、個人的にはメルカリなどのフリマを利用するよりはずっと安心だと思っている。
とりあえずちゃんと画像が用意されていて、程度をちゃんと説明していて、他の取引で問題がないという出品者に限定して探す事にした。
時計など、ある種のマニアが存在する製品では、何かあったときのバックアップとして使用する以外に保管している製品を購入する人がいるので、そうした保管品を出品している人に当たれば最良という考えである。
「オタク3点買い」とは良く言ったものである。
で、結局そうした保管品を出品する人を偶然に見つける事が出来た。価格は49,000円。もちろん許容値なので、それで手を打つ事にした。
オークションなので、当然私以外の人も入札してくる可能性もあるのだが、ある意味、時期が良かった。世間ではApple Watchの話題で持ちきりで、あまりアナログな時計に目が向いていないような感じであった。
結果、入札は私以外誰もいないようで、終了ギリギリの所で入札した私は希望通りの金額で落札できた。これが出品されたのは、私に「手に入れろ」という神の啓示に違いなかったと信じたい。
いつもの私のセンスではない
で、その落札品が本日届いた。
梱包を開けてみると、ほぼ未使用品の状態である。いや、ベルトにも新品時の札などがそのまま付いているので、恐らく本当に未使用品だと思う。
動力は機械式の自動巻きなので、バッテリーなどが劣化している事はあり得ない。これで動作がちゃんとしていれば、ほぼ間違いのない一品という事である。
軽く手で竜頭を回すと、僅かながらゼンマイが巻かれ、その後は振動で勝手に巻かれていく。つまり壊れなければ半永久的に稼働する、まさしくエコな時計である。
日付機能があるので、ちゃんとソコを設定してやらないと正しい日付を示す事がないので、そこだけ設定してそれで完了である。
見た感じ、実に素晴らしい。いつもの私のセンスではあり得ない製品選びである。
ただ、流行モノとは異なる、実用度の非常に高い一品という部分はいつもの私。
この価格の時計でここまで満足できるのだから、私自身、随分と高く付かない安い人間だなと思うが、もっとも、私は煌びやかな装飾が好みなのではなく、あくまでも実用一辺倒な所があるので、それで良いのだ。
ホントの意味で時計マニアからすると、おそらくこの「SARX019」はあまりよく出来た時計とは言えないかも知れない。
このあたりは、もう少し「SARX019」を詳しく別日にレビューしたい。
何はともあれ、目的は果たした。
物欲を満足させただけ…とならないよう、使いこなしていきたい。