ようやく定められたライセンスだが、まだ足りない。
ロゴが出来た
ハイレゾオーディオのロゴが出来てから既に4年が経過し、いろんな音響機器でハイレゾロゴを見る事ができるようになった。
このロゴが付いている事によって、ロゴが付けられた製品はハイレゾ音声を扱っている事が一目瞭然となったワケだが、実際にはこのロゴが付いていない製品であってもハイレゾに対応している製品は多い。
しかし、実際にはこのロゴが付いている事で少なくとも消費者側はその製品がハイレゾの基準を満たしていることは理解できるわけで、一つの製品選択の指標になっている事は間違いない。
昨今の主力製品はワイヤレスのものが多く、無線ヘッドフォンや無線スピーカー、もっと言えばスマートスピーカーなどもこの分類になるが、無線で音声を鳴らすことのできる製品も増えた。
問題はこれらの製品がハイレゾの基準を満たしているのかどうかが不鮮明だったワケだが、もちろん明確に言えない理由が存在する。
それはスピーカー部分の品質はハイレゾに対応していたとしても、データの伝送部分、つまり無線通信している部分がハイレゾ基準を満たしているかが明確に言えなかったところがあり、結果、そうした無線デバイスにはハイレゾオーディオのロゴを貼る事ができなかった。
そこで日本オーディオ協会は、Bluetoothなどの無線オーディオ機器を対象にハイレゾオーディオとして十分な音質を満たす製品と定めた「ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ」のライセンスを開始した。これは協会が認証したオーディオコーデックをサポートし、ハイレゾと呼べる十分な音質を備える製品に使用が見つめられるロゴとなる。
新たなカテゴリー
これまで、96kHz/24bit以上の非可逆/可逆圧縮のオーディオ信号を伝送することを基本としていた「ハイレゾオーディオロゴ」に対し「ハイレゾオーディオワイヤレスロゴ」はこの信号を伝送する帯域を持たないワイヤレス接続において、圧縮したオーディオ信号を伝送する機器の中でもハイレゾオーディオとして十分な音質を持つ製品を示すものとしてライセンスする。
その対象となるのは「無線接続以外はハイレゾオーディオロゴの規定を満足するもの」という前提条件を踏まえた上で、以下2つの条件を満たしている必要がある。
・危機感の信号伝送にあたり、ハイレゾオーディオロゴで規定されているデジタル信号(96kHz/24bitのWAV/FLAC)を伝送するには十分な帯域を持たない無線方式を用いるもの
・上記伝送路上でJASが認証したオーディオコーデックを用いデジタル・オーディオ信号を伝送するもののうち、所定の性能、品質を有する製品
要するに、あくまでも製品として無線接続以外はハイレゾオーディオロゴ規定の条件を満たさないとハイレゾオーディオワイヤレスロゴは付与されない事になる。
また、JAS認証コーデックについては、JASに申請され、以下の条件を満たしたコーテックを認証するとしている。
・JASが提供するテスト信号と評価ツールで検証し、十分な性能であることを検証する
・JASが定める方法、評価者、場所において試聴評価を行い、十分な音質であることを確認する
・コーデックのライセンス条件などビジネス面での条件が明確であり、すべてのハイレゾオーディオのライセンシーにライセンス可能であること
・コーデックの提案者は、JAS会員であり、コーデックのIP保持者かその代理人であること
今後、コーデックはJASで検証され、増えていくものと思われるが、今の所どれが対象となるのかなどの情報は明確ではない。
内部通信は保留
ここまでの話を聞いてまだ不鮮明な製品群がある。
それはLR間でワイヤレス接続を行う左右独立型ワイヤレスイヤフォンや、2台1組で2chステレオとして使用できるBluetoothスピーカーのような、製品内部で無線通信を行うものである。
これらについては、現時点で技術的/音質的評価を行う方法や指標が検討しきれていないとして、このハイレゾオーディオワイヤレスロゴのライセンス開始直後は認証の申請を受け付けないとしている。
但し、恒久的な受け付けないのではなく、あくまでも今後、評価方法や指標の検討が完了すれば、ライセンス対象に組み込むとしているので、時間差で今後認証される事になる。
消費者側からすれば、こうした左右独立型でハイレゾ対応と明言できるオーディオ製品が何かを知りたいところだとは思うが、今しばらくは時間がかかりそうである。
何はともあれ、一定の品質の指標となるロゴが明確になった事で、今後はよりわかりやすい製品を選べる時代がやってくる。
店頭でそうしたロゴが確認できるようになるのは、どんなに早くても12月以降になる。
目的のものがどうなるかなどの状況は、今しばらく待てばわかるようになるだろう。