コレ、前にも検証したんだけど、どうも気になるので再検証。
CUH-7200CB系発売
PlayStation4 Proが10月12日で価格改定となり、4万円を切る価格設定となった。
その際、本体色ジェットブラックの製品は型番が変わらず「CUH-7200BB01」、新しく追加となったグレイシャーホワイトが「>CUH-7200BB02」と定められた。
この一つ前の「CUH-7100系」と「CUH-7200系」で、そもそも何が違うのか? という事もあるが、少なくとも今回の価格改定の際の型番追加の時には、本体の中身に変更は一切ないようである。
では初代の「CUH-7000系」含めて「CUH-7100系」と「CUH-7200系」の違いとは何なのか?
ほとんど変更はないと言われているが、部分的にパーツの見直しなどが行われている事もあり、こんな違いがある。
・CUH-7000BB 消費電力:310W 重量:約3.3kg
・CUH-7100BB 消費電力:310W 重量:約3.2kg
・CUH-7200BB 消費電力:300W 重量:約3.2kg
つまり、7100系は7000系と消費電力は同じだがパーツ変更等で重量が100g軽くなり、7200系は消費電力が7100系より10W低くなり重量は7100系とほぼ変わっていない、という事である。
さらに突き詰めていくと、7100系と7200系には以下のような違いがある。
・最大表皮電力の低下
・電源コードの形状変更
・国際安全規格への対応のため背面形状の変更
・主要部品に虫混入防止のため排気口内側にネット追加
・ゴム足の数量変更
実は結構変更されているのである。
そしてこうした変更を引き継いで、さらに内蔵HDDを2TBに増量した「CUH-7200CB01」が11月21日に発売となる。
PlayStationだけに留まらず、こうしたコンシューマ機は比較的小さなマイナーチェンジを繰り返して数年という長期に渡って同等製品を販売していく。
昔はそうでもなかったが、最近の機器は消費電力が大きいので、できれば新しい型番を購入した方が消費電力には優しいという事を覚えておくといいだろう。
PS4とPS4 Proの違い
さて、私のように初代PS4を持っている存在からすると、そもそもProを購入する意味があるのか? という事を考えなければならないのだが、まずノーマルとProとの違いをおさらいする必要がある。
もっとも大きな違いは、そのグラフィック処理能力の違いである。
ノーマルPS4のGPUでは、1.84TFLOPSの性能を持っていたが、コレがProになると4.20TFLOPSと2.28倍の処理能力へと強化されている。
さらにノーマルPS4ではGDDR 8GB+DDR3 256MBというメモリ構成だったものが、ProではGDDR 8GB+DDR3 1GBとDDR3メモリが増量されている。DDR3メモリは主にセカンダリープロセッサが使用するメモリではあるが、PS4 Proではこのセカンダリープロセッサが利用するDDR3メモリはGDDR5メインメモリの中でもノンゲームアプリケーションで使用する1GB分のスワップ領域として利用可能になっている。
つまり、このスワップ領域を上手くつかって、4Kグラフィックへの対応をしているという事である。
他にも、PS4 ProではAPUに搭載しているGPUにPolaris系Radeonの一部機能を組み込んでいたり、さらにいえば、Vega系Radeonの16bit演算の倍速化機能を搭載していたりと、ノーマルPS4とは格段の進化をしている事がわかる。
それと、地味だがストレージの接続速度にも違いがある。
ノーマルPS4はSATA2.0(3Gbps)でストレージと接続されているが、PS4 ProはSATA3.0(6Gbps)で接続されている。ストレージの読み書きの速度はPS4 Proの方が速いのである。
で、「買い」なのか?
こうした知識を再度取り込んだ上で再検証。
はたして「買い」なのか?
私は初代PS4を持っていて4Kモニタは使用していない。
そういった層がPS4 Proを購入する意味はほとんどない、と今まで言ってきた。
その最大の理由がPS5の登場時期が近いから、というものである。
もちろんこの考え方は今でも有効だと思ってはいるのだが、PS5の発売時期に関しては、今の所公式からは一切話が出ていない。
PS5の登場が間近に迫っているなら、たしかにPS4 Proを今購入する理由はほとんどない。しかし、実際にはその登場時期は未だ不明で、具体的な話は全く出てきていないとなると、この先どれぐらいの期間を空けてPS5が発売されるのかで、PS4 Proの価値が変わってくる。
そこで搭載されると思われるプロセッサを想像して登場時期を考えてみる。
PS4はAMDのAPU「Jaguar」をベースにカスタムプロセッサが設計されている。プラットフォームの大幅な変更をしないとなると、おそらく次に搭載してくるであろうプロセッサもx86系コアである事は間違いない。
では問題はIntel系なのかAMD系かという事だが、私の予測はほぼ間違いなくAMD系ではないかと予想している。理由は、性能をカスタムするそのやりやすさが、Intel系よりもAMD系の方が容易だからである。
おそらくSEIがPS5(仮)に搭載するであろうコアは、AMDの「Zen2」アーキテクチャを使用したAPUではないかと私は予想しているし、世間でもそうだろう言われている。
発売を急げば「Zen+」系である可能性もあり得るのだが、この場合、ライバルがPS5(仮)登場後に発売された際、アーキテクチャ的に差が出てしまい性能に大きな差を付けられる可能性が生じる。
今、PS4系はプラットフォームとして全世界で圧倒的な強さを持っているため、あえてここで急ぎすぎてライバルに差を付けられるよりは、一定の性能差に収められるであろう「Zen2」アーキテクチャを選択する方が無難である。
ではその「Zen2」はいつ登場するのか?
現時点では2019年に登場すると言われており、登場当初はハイエンド向けのみ提供されると言われている。何故かというと、Zen2プロセッサは7nmプロセスで製造されるが当初はEUV(極端紫外線)を使用しないトリプルパターニングで製造されるため、製造コストが高いのである。
昨今のプロセッサはその製造プロセスのラインの立ち上がりなどから、何時ぐらいから量産できるかが見えやすい。PS5(仮)のような大量にコアが量産される必要がある場合、それらの生産ラインがコスト的に安く、かつ歩留りが安定したラインでないと意味がない。そう考えれば、PS5(仮)の登場は、どんなに早くても2019年夏以降、普通に考えれば秋以降になると私は予想する。何しろ、7nm EUVプロセスでの製造を求めているのは、スマートフォンメーカーも同じで、その生産量を考えればスマートフォンの方が圧倒的に多く、ラインの奪い合いが起きる事は間違いがないからである。
半導体の動きがこのような状態であれば、そこから今度は製品製造を考える。するとPS5(仮)の発売は2019年冬がもっとも早い時期ではないかと考えられる。
となると「なんだ、1年後にはPS5(仮)が発売されるのか」という事になるが、これはどんなに早くても、という条件の下での話である。
結論を早く言えよ(爆)
しかも、この試算には、GPU技術が考慮されていない。
ではAPUに内蔵するGPUとしてはどうか?
AMD系でいけば当然Radeonがベースになるが、今の高性能GPUはVegaアーキテクチャであり、その次はNaviアーキテクチャと言われていた。しかし、Naviは高性能アーキテクチャというよりはVegaアーキテクチャを低価格向けに構成したものになるという話が出ている。しかもNaviは最近流行りのマルチチップモジュールによる多コアGPUではなく、モノシリック設計であると言われている。つまり、構成を自由に組み替えCPUと組み合わせる事が可能なGPUだという事である。
という事は、おそらくZen2とNaviの組合せが次期PS5(仮)のプロセッサになるのではないかと想像できる。
で、問題のNaviだが、グラフィックボードとしての登場時期は早ければ2019年第3四半期と言われている。つまり2019年7~9月という事である。アーキテクチャとしての完成はもっと早い時期に行われるだろうから、Zen2と組み合わせてのカスタムチップを設計する事を考えると、やはり2019年中にAPUが完成する、という具合になるのが妥当なラインではないかと想像する。
となると、最終製品としてのPS5(仮)としての発売は、2020年第1四半期が最速ではないかという予想ができる。
実際には、ここにいろんなスケールが組み込まれ、予定がスライドしたりするので、明確な時期として2020年第1四半期という話は、アテになる話ではないのだが、私としてはそれぐらいになるのではないかと想像する。
さて、こうした次期PS5(仮)の登場を予想して、今PS4 Proを買う意味があるのか? という事を考えてみる。
ハッキリ言ってしまえば、次期製品まで待てない人は絶対的に「買い」である。
予想も当てずっぽうでしかないし、もしアタってしたとしても1年ちょっとの間を我慢できず今欲しいと思うなら、その時である今が「買い」である。
前述したように、PS4 Proは製品としては随分とPS4より進化している。
全体的な速度向上も行われているため、4K環境を持っていなくても意味はある。
もし今の時点でPS4を持っていないなら、PS4 Proはオススメできる選択肢である。PS4を持っているなら、PS4でどれだけ遊ぶかで変わってくる。
ただ、ここで判断を迷わせる問題があるとするならば、最近のゲームはSteam版が並行販売されるという事である。
PCを持っていて、しかもそのPCにハイエンドなGPUを搭載しているような人は、あえてPS4 Proに行かなくてもPCでハイエンドなゲームをプレイできてしまうという事である。
しかもPCの場合は環境に応じてゲームのクォリティ設定を変更して対応する為、事実上ソフトさえ発売されればその動作は最低環境を満たしていればプレイできるPCを限定しない。
このあたりがPlayStationというプラットフォームと考え方が違うのである。
…で、どうなのさ?
ここまでいろいろ考察してきたが、私としてはPS4 Proはかなり欲しいと思わせてくれる製品ではある。
先日、PS4版FF14を起動した際、PS4 Pro用のシステム設定項目があったのを見て、さらにハイエンドグラフィックにできるという事を改めて認識したし、そもそもPS4でFF14をプレイした際、明らかにフレームレートが低い事を実感した。
しかも最近NewみんなのGOLFをプレイしていても、スイングバーの動きで途中でカクつきを感じる時があった。これらは明らかにグラフィック処理が追いついていない証であり、PS4 Proなら起こり得ない現象でもある。
こうした、不都合というかちょっとした問題に耐えられれば、私としてもPS4のままでいてもいいかな、と思うのだが、機器としてもうちょっと成熟したものを持っておきたいと考えるなら、PS4 Proは今のこのタイミングで購入するのもアリではないかとちょっと考えている。
考えてみれば、PS4自体は2013年11月に米国、カナダ等で発売が始まり、日本でも2014年2月には発売されているので、既に4年という年月が経過している。
しかも、PCの世界ではこの4年の間にAMDがZenアーキテクチャで8コア化を促進した結果Intelでもメインストリームで4コアを超え8コアまでコア数を増加させており、今後はよりマルチスレッド能力が向上していく事が期待されるタイミングでもある。
PS3は発売から7年後にPS4が発売されるという長寿命機器だったため、PS4も次なるPS5(仮)発売までまだ数年の期間を見る可能性がある。もっとも、ライバルの動向によって、そうした思いはいとも簡単に変わってしまうのだが。
このような複雑な環境の中で、次世代機を予測しつつ、今の環境を変えるかどうかを考えるのは実に難しい話でもあり、正しい結論など出ない話ではあるのだが、その中でいろいろと判断していく必要がある。
昔から比べれば、製造する設備などから新型登場は予想はしやすくはなったとは言え、技術的な側面での予測はより難しくなっているわけで、次世代を予測するという事そのものの難しさは、あまり変わっていないのかもしれない。
そうした中での購入タイミングの予測において、鉄則が一つあるとすると「欲しい時が買い時」という言葉は、ある意味全ての時代においての真理なのかもしれない。