もうね…こんな雑な仕様にして良かったの?
エミュレータ動作
PlayStation Classicが12月3日に発売されたが、それがエミュレータで動作しているという事は分解された時に明確になっていた。当Blogでもその事に触れた事を書いたが、現在、海外ではもっとスゴイ事になっている。
通常、メーカーが製品を設計・製造する際には、ハッキングされないように暗号キーを設定し、不正プログラムが介入するスキを作らないのが当たり前の措置だが、PlayStation Classicはオープンソースの「PCSX ReARMed」というエミュレータが使用されており、その時点でハッキングできるのではないかという話が持ちきりだった。
実際、コントローラーを接続するUSB端子に特定のUSBキーボードを接続し、ESCキーを押すとエミュレータの環境設定ファイルが起動するという仕様になっている事が判明し、暗号解読キーそのものがPlayStation Classic本体の中に保存されていた事まで判明した。
この話を聞いたとき、本当にこの製品がソニーの製品なのかと一瞬疑った。何というザルな製品だろうか?
これでは世の中のハッカーに好きに改造してくれ、と言わんばかりの仕様ではないか、と。
実際、PlayStation Classicは発売2日後あたりにはUSBメモリからゲームのイメージデータをロードできるソフトが登場し、本体のソフトウェアに手を入れることなく、自由にゲームタイトルを追加できる仕様になってしまった。
ソニー、世の中のハッカーを舐めすぎだろ?
未収録36タイトルが見つかる
その後、12月6日にはさらに衝撃的なニュースが流れる。
なんと、PlayStation Classicのソースコード内に36の未収録タイトルが見つかったというのである。
この36の未収録タイトルは実際には起動させる事はできないという事だが、それも私は時間の問題ではないかと思っている。
見つかったタイトルの中には、クラッシュ・バンディクーやグランツーリスモ、リッジレーサーやロックマンDASHなど、正式版に収録されたタイトルより魅力的と言えるタイトルが多数見つかっている。
おそらく、これらのタイトルが未収録扱いになっているのは、版権処理の問題をクリアできなかったためと思われるが、ソフトのデータそのものは存在しているようなので、ソースコード内のこれらのデータに何らかの形でアクセスできるようになれば、割り込み処理で起動できるようにできる可能性も見えるかも知れない(あくまでも可能性の話。できないと考えるのが通常の考え方になる)。
個人的には、この件一つとっても、今回のソニーの製品作りは雑と言わざるを得ない。
何がしたかったのか?
今回のPlayStation Classicは、ある意味、特定の大人のおもちゃになったかな、という気がしている。
もともと数量限定で生産する予定のものなので、おそらくこれらの問題の対策をした第2ロットは作られないんじゃないかと思うが、場合によっては対策済みの機種が出てくるかも知れない。というのは、皮肉なことにこの杜撰かつ改造可能な事が売れる要因になる可能性もあるからだ。PlayStationのソフトを多数所有している人などは、タイトルをイメージ化してUSBメモリで追加できるワケだから、魅力的なハードウェアと捉えられても仕方が無い。
このように、消費者側にある程度のハードルはあるものの、かなり自由に改変してしまえるハードをソニーが公式に提供しているという事実から、ソニーは一体何をしたかったのかがわからない。
単に任天堂の昔のタイトルを収録した製品がバカ売れしているから追従しよう、というだけの事だったのか?
同じく、他社でバカ売れしているから昔の知的財産で一儲けしよう、という事だったのか?
仮にこの2点が目的だったとしたならば、ソニーのプロダクトはそんなレベルでしか製品を見ていないという事なのか? とすら思えてくる。
まぁ、そんな簡単な話ではないとは思うが、この杜撰さはちょっと類を見ないレベルである。
設計したのがどこの国なのか、などソニーの内部的な話にもなるのだろうが、少なくとも国内の製品デザインを行っている部門であればこのような仕様にしていなかった、と信じたいところである。
ま、実際にエミュレータでどうこうする人はPC上でエミュレートしているだろうから、あえてPlayStation Classicを必要としないとは思うが、ハードウェアレベルで、しかも公式に発売している製品でこのような事ができるというのは、ある種の興味をそそる話ではないかと思う。
説明だけ見てると、ただのお遊びで作られた製品のように思えます。そんなものに、セキュリティを高めるほどの価値がない、という判断ですかね。
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おそらく、国内設計ではないような気がします。また、海外設計者の遊び心でエミュレータの設定が自由にできるようにしているような気がします。
問題なのは、それら設計者の遊び心を見抜いて製品化する際のコンプライアンスを徹底する、チェック機構がこの事を見抜けず、機能として働いていない事の方が海外としては問題ではないかと思います。
国内だと、設計者のモラルの問題からこのような事は設計段階から許されない事と片付ける事ができますが、海外では設計レベルでは案外こういうところが杜撰だったりするので、制御する側がしっかりしないとこのような問題を露呈するのではないか、と。
ただ、私的にはもっと前の段階、つまり商品企画の段階からの問題だったのかもしれない、という気もしています。
プロダクトとして何を目的とした商品なのか、またプロダクトとして実現する方法としてどのようなスタイルが妥当なのか、といった事が、ちゃんと練られていないように思います。
それにしても…まぁ、いい加減な製品だな、と。
クラッカーたちからすると楽しい商品ではあると思いますけどねw
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