Intelもその領域にいくのか?
Core i9-9900KF
Intelが第9世代CPUとしてCore i9-9900KをはじめとしたいくつかのCPUを発表したのは既に周知の事実だが、今度は末尾に「F」を冠したCPUを投入するという噂が出ている。
この末尾「F」が付いたCPUとは、いわゆるiGPU、つまり内蔵GPUを無効としたCPUの事で、12月初めの頃に台湾のイベントで掲載されたスライドのリークが初出と言われている。
その際には、Core i9-9900KF, i7-9700KF, i5-9600KF, i5-9400F, i3-9350KF, i3-8100Fの6種類が噂として出ていたのだが、どうも今回、ノルウェー及びフィンランドの大手リテールショップの販売リストにCore i9-9900KF, i7-9700KF, i5-9600KF, i5-9400Fの4種が掲載されたらしい。
実際に発売されるかどうかもまだ分からない話ではあるが、ライバルであるRyzenはもともとiGPUを持たないCPUだけに、Intelもその流れに向かう多コアCPUを計画し始めているのかもしれない。
無効化しただけ?
おそらく、今回話題に上がった「F」付きCPUは、どれもiGPUを単純に無効化しただけの、CPUダイにはiGPUのパターンがそのまま残っている製品と思われる。
というのも、この「F」付きCPUのスペックにおいて、コア数やスレッド数、L3キャッシュ容量などのスペックには全くといっていいほど違いがないと推測されている。
となると、その無効化した中身には何か別のものが入っていると考えるよりは、単純にDisable(無効)化しているだけと考えるのがより自然であり、場合によっては歩留りを向上させる為の施策という見方もできる。
だが、これはおそらく歩留り向上という側面よりも来たる10nm世代での多コアモデルを想定したものと考える事もできる。Intelも多コア時代になれば現在内蔵しているI/Oをダイの外に出す事を考えている節をチラチラと見せているので、いかに多くのコアをダイに搭載しCPUを構成するかという事をいろんな側面から見ているのかもしれない。
これにより、今後多コアモデルはiGPUを廃止し、ノート用ふくめたモバイル用のみにiGPUを組み込むといった戦略がIntelでも行われる可能性がある。
そもそも必要ない
私はIntelのCore i7-8700Kを使用しているが、そもそもiGPUを使う事を最初から想定していない。
Ryzen7を使用している人にしても、最初から内蔵GPUをアテにはしていなかっただろうし、そもそも多コアである事、つまり高性能を求めている人は内蔵GPUを求めているケースは少ない。
もちろん、CPUで重い処理をする必要があり、なおかつビデオ性能を求めていない人にとっては、単純にモニタリングする意味でのiGPUは欲しいかもしれない。
だが、全体を通してこのようなCPUに多コアを求めつつGPU能力を求めない人というのはかなり限定されていると言える。
より大きなニーズを求めた場合、CPUの多コアを求める人は同時にGPU能力も求める傾向があるため、そうなれば自然とGPUもディスクリート品を搭載する事になる。
であるなら、最初から多コアCPUはiGPUをダイの上に載せていても無駄になるだけで、その部分により多くのCPUやキャッシュを載せる方が高性能化できる事は間違いない。
もし、仮にディスクリートGPUとiGPUでそれぞれ違う処理を実施できるプログラムがあるならば、iGPUの活用方法はあるかもしれないが、現時点ではその可能性はほぼないに等しい。
AMDはそれを見越したのかはわからないが、RyzenにはiGPUを搭載しなかった。
Intelもそれに倣っていく可能性は十分にあると思える。
というわけで、先日IntelがSunny Coveの話題を出したが、そうした次なる世代を考えた時、より高性能な構成に振る製品と、より汎用性に振る製品とで、棲み分けをしてくる可能性は十分考えられる。
というか、その流れになるのに随分と時間がかかったな、と私などは思うのだが…。