思ったよりやっつけ感?
ミニチュアPS
予定通り、プレイステーション クラシックが発売となった。数量限定で9,980円(税別)という、これまた予定通りの仕様である。
外観に関する話は、以前からされているように初代プレイステーションの完全なミニチュアといった感じで、インターフェースが新しいものに置き換わっている、外装の質感なども当時のものを上手く再現しているとは思うが、如何せんかなり前の製品なので、当時の事を知らない人からすると、そのアタリはどうでも良い事かもしれない。
外装箱なども当時を想起させる見事なデザインではあるが、それも同じ。当時を知っていてナンボといったところである。
残念なのは、同梱物の中にACアダプターがないという事。MicroUSB端子から電源を採る事になっているが、MicroUSBからUSB Aタイプの変換コネクタは附属するものの、そこから先の電源に関しては外部調達という事になっている。せめてココがコンセントタイプになっているか、USB Aタイプをコンセントに差す事のできるアダプタが附属していると、より好感度は上がったといえるかもしれない。
だが、このガジェットの最大の問題はそんな外周りではなく、内部にあると言って差し支えないかもしれない。
エミュレーション
今回のプレイステーション クラッシックだが、その動作はエミュレータによる動作である事が判明している。
海外のサイトでは既に分解もされていて、採用されている半導体なども洗い出されているので、そこから考えれば間違いなくエミュレーションされている事が想像できる。実際のハードに関する情報でいうと、CPUはMediatekの「MT8167A」という、ARMプロセッサが搭載され、これはクラスタとしてはARM Cortex-A35を1.5GHzで動作させているものになる。Core数は4で64bitの処理を行うARMプロセッサである。
またGPUはは「PowerVR GE8300」が搭載されており、1クロックで4ピクセルを処理できる次世代GPUが搭載されている。
メインメモリはDDR3メモリを1GB搭載しており、ストレージとして16GBのFlashストレージが搭載されている。
このスペックだけを見ても結構豪勢な構成であり、ファミコンミニの20倍、スーパーファミコンミニの15倍、PS VITAの2倍の性能を持つ。
しかし、実際プレイステーション クラシックを動作させるとわかるが、若干の処理落ちが確認されたり、画像処理において映像がオリジナルのように再現されていないケースがあったりする。
恐らくはエミュレータがこのハードウェアに対して最適化されていない可能性が高く、そもそもソニーがこの製品の為に最適化する必要性を考慮していなかった可能性もある。
最適化
そもそも、昔のハードを再現するという行為において最も楽な方法は、ハイスペックな性能の上にエミュレーターを走らせてその上で当時のオリジナルプログラムを動作させるのが一番コストが安く上がる。
エミュレーターそのものを搭載するハードに合せて最適化するなど、ただ工数がかかるだけの無駄な作業とも言える。なので最適化させるぐらいなら、オーバースペックでもハードウェアの構成を豪華にした方が安く上がる…そういうものらしい。
何しろ、プレイステーションレベルのプログラムを処理する半導体なので、多少スペックが向上しても最新のハードを搭載する必要等はないわけで、コストという面だけを見ればプログラムを最適化させる方が大変なワケである。
というわけで、このプレイステーション クラシックは、マトモにそのコスト意識の中で作られた製品らしく、エミュレーターの最適化は全くされていないと考えられる。
結果、処理落ちや画像処理においてオリジナルから劣化したような状態になっていると言える。
もしこれが任天堂なら、せめてオリジナルと同等の表現になるぐらいのテコ入れはするだろうが、ソニーは案外とやっつけ仕事をしてきた感じが否めない。
残念なポイントの一つである。
というわけで、プレイステーション クラシックは収録されているタイトルに魅力を感じる人であれば「買い」のアイテムにはなるが、アーカイブスなどでタイトル的に魅力を感じないという人であれば、言うほど「買い」なアイテムではないかもしれない。
自分の感性と判断で決めればいいだろう。