キーボードが好きな曲のコードを学習する。
Sonogenic SHS-500
YAMAHAから「Sonogenic SHS-500」というショルダーキーボードが発表された。
まだ国内では発表されていないと思うが、楽器が弾けない人でも楽しめるというコンセプトの元、開発されたキーボードらしい。
価格は499ドルで日本円にすると54,890円(1ドル110円換算)で、まぁ、キーボードとしては可もなく不可もなくといった価格である。
この「Sonogenic SHS-500」の最大の特徴は、JAMモードと呼ばれるYAMAHAのアプリ連動機能である。現在はiPhoneにしか対応していないが、YAMAHAの「Chrod Tracker」アプリをiPhoneに入れると、iPhone内の音楽データを読み取ってそのコードを学習するらしい。
その後Sonogenic SHS-500とiPhoneをBluetoothで接続して連携させる事で、その曲を演奏するとイイ感じで間違っていてもそれらしい曲として演奏できるらしい。
「らしい」ばかりで大変申し訳ないが、正直言うと、おそらくまだまだ精度的に難のあるものだとは思うが、コードを知らなくても、楽器が演奏できなくても、楽譜が読めなくても、たた鍵盤を押しているだけで何となく楽器演奏している風な状況をこの「Sonogenic SHS-500」は目指している、という事である。
また、30のオーディオモードが搭載されていて、シンセサイザーにもドラムにもその音色を変えていく事ができるようだ。このモードによっても、学習したコードの得手不得手が絡んでくるので、そこをマッチングさせてやる必要はあるらしい。
まぁ、今後アプリの精度が向上する事で、これらの自動マッチング効果がより大きくなるのではないかと思う。
基本機能として
この「Sonogenic SHS-500」だが、特殊な機能を持ち合わせてはいるものの、基本的には普通のキーボードとして機能する製品である。
MIDI入力があるので、PCなどの作曲ソフトと連動させる事はできるし、そもそもUSB端子もあるので、YAMAHAのUSB-MIDIドライバで認識させられればMIDI入力端子を使わなくてもPC連動は出来てしまうかもしれない。
単体でも普通のキーボードとして当然使えるので、楽器が演奏できる人が使えば普通にキーボードとして使う事が当然できる。
そういう意味では付加価値のあるショルダーキーボードとしての価値は最低限持っているので、仮にJAMモードで思っているより上手く演奏できないとなっても普通に使えば問題にはならない。
ショルダーキーボードなので、ネックのダイヤルでピッチや音域コントロールはできるので、ライブ運用にも活用の域はあると思う。
AIの活用に進むか?
この「Sonogenic SHS-500」のJAMモードだが、結局はiPhoneのアプリがそれを実現していると言えるので、アプリケーションの処理がどこまで進化するかで、今後が決まってくると考えられる。
となると、アプリケーションがインストールされているハードウェアが、そうした処理にどこまで特化できるかでも、その性能が変わってくる。
特に今の最新iPhoneが搭載するA12コアは、CPUとGPU以外にAI処理が可能なユニットを搭載しているので、そのAI処理を取り込んでいくとその処理制度が格段に向上する可能性もある。…今の段階でもAIを利用している可能性もあるが、それは今後の経験値次第でその精度が変わってくるので、JAMモードは今後に期待する余地はまだまだありそうな気がする。
そうなると、PCの場合だとNVIDIAのビデオカードであるRTXシリーズが搭載するTensorコアも同じような利用方法が今後出てくるかも知れない。
どちらにしても、YAMAHAから意欲的な新製品が出てきた。
すべての人に音楽に触れられるチャンスが一気に拡大する事にもなるので、YAMAHAにはさらに頑張ってもらいたい所である。