VegaベースGPU搭載のAPUと言うべきコア。
1万円以下のエントリー向け
AMDからAthlonブランドの名を冠したエントリー向けのAPU「Athlon 240GE Processor with Radeon Vega 3 Graphics」(正式名称は長いので以下Athlon 240GEと略。シリーズ他製品も製品名に倣って略)と「Athlon 220GE」が発売された。
価格的には240GEが8,580円(税別)、220GEが7,280円(税別)といったところで、Intelで言う所のPentiumやCeleronの競合製品としての登場である。
CPUアーキテクチャは第1世代Zenアーキテクチャを採用し、2コア4スレッドのAPUとなる。240GEと220GEの違いは動作クロックのみであり、共にTDP35Wで動作するところやキャッシュ容量が5MBなどという仕様は全く同じである。
GPU部分も同じで、VegaのComput Unitを3基(つまりStream Processorは192基)搭載している。アーキテクチャはVegaだが、Stream Processorの数で言えば、そう重い処理はできそうにない性能ではないかと思う。
まさに狙っているレンジとしてはPentiumやCeleronのレンジである。
個人的には2400G
価格的に1万円以下で購入できるAPUなので、当然その能力も限定的というか、限られた性能しか持っていないのだが、個人的にはこのAthlon 240GEを購入するよりは、Ryzen5 2400Gをオススメしたいところではある。
TDP65Wと30Wほど上昇し、価格も1万円ほどプラスされてしまうが、Ryzen5 2400Gは同じZenアーキテクチャを搭載した4コア8スレッドのAPUであり、同じくVegaベースのGPUを11基(Stream Processorは704基)搭載している事から、性能のレンジは軽く1つや2つ上を行くものになっている。
ただやはり1万円プラスというのはちょっと…というのであれば、Ryzen3 2200Gという選択肢もある。こちらは1万円程度の価格でありながら4コア4スレッド、GPUも8基(Stream Processorは512基)という性能なので、1ランクは上の性能を行く。
しかし、それでもとにかく安価に、というのであればもちろんAthlon 240GEや220GEの選択肢もあるとは思うが、そのあたりは使い方次第といったところか。
どちらにしてもマザーボード等と組み合わせて格安PCを自作する選択肢にはなると思う。
Fluid Motionも使える
このAthlon 240GEや220GEの良いところは、Intel製のPentiumやCeleronと違い、内蔵GPUであってもRadeon Settingのドライバが使えるというところにある。
…まぁ、Radeon Settingで私の環境では最新ドライバなのに古いドライバを入れろと言ってくるトラブルが起きてはいるが、機能としては通常のビデオドライバよりずっとできる事は多い。
というのも、このAthlon 240GEや220GEでもFluid Motionの機能が使える(ハズ)のである。
Fluid Motionは、24fpsや30fpsの動画のフレームを補完して60fpsとして再生できる機能であり、AMDのRadeonが可能にする機能である。
前述のRyzen5 2400GやRyzen3 2200Gでも当然使用する事ができるが、恐らくAthlon 240GEや220GEでも利用可能のハズである。
このFluid Motionだが、思ったほどGPUの負荷になっていないようで、ウチの環境(Vega64)では利用時にGPUの稼働率が9%程度上昇するだけであった。もちろんウチのVega64での稼働率と内蔵GPUの稼働率が同じとは言わないが、再生させる際の負荷としては耐えられるレベルのものだと考えられる。
なので、2nd PCとしてもう一台を組むというのなら、APUで組んで動画再生補完PCとして組むのも一つの方法である。
もちろん、このFluid Motionを利用可能にするには、単にハードウェアを構成したら自動的に使えるというわけではないが、PowerDVDというソフトウェア動画プレーヤーを利用したり、Bluesky Frame Rate Converterというフリーのアプリケーションを使って汎用プレーヤーでFluid Motionを利用可能にしたりする必要はある。
しかし、こういう事はIntel製CPUではソフトウェア支援でしか実現できない事(場合によっては不可能)なので、AMDのAPUを使う恩恵として考えると有用なものではないかと思う。
もちろんFluid Motionだけがこうした機能ではない。
他にも便利な機能はあるが、おそらくゲーミング機能となるともっと負荷が全体的に高くなるので利用出来ても性能が追いつかないなんて機能もあるだろう。
ただ、使えないわけではなく、あくまでも追いつかないだけなので、性能を考慮して使える機能を使っていけば良いだけの事。
そこら辺はコストとの兼ね合いなので、ユーザー側で判断する話である。
とにかく安価にGPU能力の高めなPCが構成できるので、使い方によっては非常に有用なPCになると思う。
安価なPCを求めている人は検討してみてはどうだろうか。