ようやく出来るようになったが…。
第4の選択肢が登場
PS4をリモートプレイできる環境として、PS VITAがそうした環境に最初に対応した。
PS VITAのアプリケーション上でPS4を認証させてやった後なら、PS VITAからスタンバイ状態のPS4を起動させ、そのままPS VITAでPS4のゲームをプレイする事ができるというものである。
しかも、通信帯域さえ確保できれば、外にいてもWi-Fi経由でPS4と繋がり、そのままPS VITAでプレイできるようになるので、環境さえ何とかなれば、結構使えるアプリケーションだった。
これと同等の事が特定のAndroidでできるようになったが、その特定というのが、SonyのXperia限定だったという事。
Xperiaのスマホや、タブレットにアプリケーションがインストール出来、そのアプリケーションで同等の事が出来るようになった。しかもAndroid版はBluetooth接続のPS4コントローラーを認証させる事ができるため、XperiaとDualShock4があれば、単純にXperiaをPS4兼モニタとして普通にゲームがプレイできるという環境を構築する事ができた。ある意味、もっとも意味のある組合せと言えたかも知れない。
その後、PC上でPS4のリモートプレイ環境が構築可能になり、PCにリモートコントロール用アプリケーションをインストールする事でPC上にPS4の画面を呼びだし、ゲームプレイできる環境が構築できるようになった。このPC版もDualShock4との接続には対応できたが、無線での接続はSonyから発売されている「DualShock4 USBワイヤレスアダプター」を使うしか方法がなく、通常のBluetooth接続では繋ぐ事ができなかった。なのでこの専用アダプターがなければUSBの有線接続で対応させるしか方法がない。
今までは、この3つの環境でしかPS4のリモートプレイ環境を構築する事ができなかったワケだが、この度、遂にiOS上でもPS4のリモートプレイが可能になった。
PS4のファームウェアver6.50でその機能が実装されたのである。
とりあえず試してみた
PS4のファームウェアver6.50とは別に、iPhone/iPad用の「PS4 Remote Play」アプリが公開となり、それを対象デバイスにインストールする事でリモートプレイが可能になる。
接続はWi-Fi環境のみで、モバイルネットワークには非対応との事だが、PS4を認証させるにはPlayStation Networkのアカウント情報が必要になる。
実際にiPhoneXにインストールして試してみたところ、アプリを起動させるとまずPlayStation Networkのアカウントとパスワードを入力する画面になる。
ここでその情報を入力すると、しばらく通信を続け自動的に接続するPS4が見つかった。PS VITAの時と違うのは、PS4上でiOSデバイスを認証させるのではなく、PS4はスタンバイ状態でも、iOS上でPlayStation Networkの情報を入力するだけでPS4が見つかり、認証できたという事である。
恐らくだが、これはPS4と対象デバイスをアドホック通信させているのではないような気がする。これに関しては他にも検証したい事があるので、詳細を後述する。
接続できると、縦画面では上1/3ほどにPS4の画面が現れ、その下にコントローラーのボタンが表示される。このコントローラーはタッチする事で操作する事ができる。横画面にすると、全画面がPS4の画面になり、コントローラーはその画面内にオーバーレイ表示される。残念な事に、DualShock4はiOSとは接続する事ができないので、操作はこの画面上のコントローラーでしか行う事ができない。
ただ、ネットで調べて見たところ、MFi認証のコントローラーであればiPhoneと接続できるので、一部の製品は使えるようである。
仮説
先程「PS4と対象デバイスをアドホック通信させているのではないような気がする」という事を書いたが、これがどういう事かというと、要するにPS4とiOSデバイス、ここでいうならiPhoneXだけで閉じたWi-Fiネットワークを構築し通信しているのではないような気がするのである。
通常、アドホック通信は機器同士を直接Wi-Fi等で接続し、そこで閉じたネットワークを構築するものだが、PS3の時に公開された「アドホックパーティ」は、これにPS3の有線ネットワークを組み合わせてPSP同士を離れた場所で同一ネットワークに参加させる事を可能にするという手法を採っていた。ある意味、アドホック通信でありながら、PS3はインフラストラクチャーモードも併行稼働させてこの機能を実現していたワケである。
これを踏まえて、一つの仮説が考えられる。
今回のiOSとPS4との接続において、閉じたネットワークで互いに通信している感じがしないのは、どうもiOSがPS4とアドホック通信をしていないのではないか? というものである。
つまり、iOS側は最初から外部にあるSCEのサーバにアクセスし、PlayStation Networkに問合せを行い、対象のアカウントに紐付けられているPS4をサーバ側から起動させ、PS4とiOSデバイスとをサーバが結びつけているように見えるのである。要するに、最初からiOS側もPS4側もインフラストラクチャーモードでの通信をしている、という事である。
もし私の仮説通りなら、Wi-Fi環境でさえあれば、外部にいても自宅のPS4とiOSデバイスが通信してゲームプレイが可能な気がするのだが…。
実験
実験といっても、そんな大がかりな仕掛けが必要なわけではない。
単純に私がiPhoneXを持って、外部のWi-Fi通信でPS4 Remote Playのアプリを起動させ、自宅のPS4をリモートできるか? という事を確認するだけの事である。
これで上手くいけば、私の仮説はほぼ正しい事になるし、接続できなければやはりアドホック通信している可能性がある、という事になる。
絶対条件として、iOSデバイス(ここではiPhoneX)が必ずWi-Fi環境下で通信している必要がある、という事と、PS4がスタンバイ状態にあるという事である。
で、いよいよ実験開始。
会社で試してみた(コッソリと)。
結論から言うと…私の仮説は正しいわけではないようだが、結果から言うとインターネット経由で外からのリモートプレイは可能である。
PS4 Remote Playのアプリ画面を見ると、最初はまず「家の中のPS4を探しています」と表示され、それで見つからない場合に「インターネット経由で探しています」と表示される。
つまり、最初は家の中という限定空間を検索しているのだろうが、そこで見つからない場合はPlayStation Networkに登録しているPS4をサーバが探し出し、スタンバイ状態であればそこから起動、PS4 Remote Playのアプリの稼働しているiOSデバイスと接続する、という感じである。
この挙動そのものは、PS VITAと同じだったと思う。確かPS VITAでも会社から接続して認識したと記憶しているので、通信する手段は同じ手順に則っているのではないかと思う。
この結果から、おそらくではあるがPC版やAndroidのXperia版も同じ挙動ではないかと予想する。
何かしらの理由で自宅でプレイできなくても、Wi-Fi環境さえ整っていれば自宅のPS4をリモートプレイできるので、ホテルなどに泊まった場合でも遊ぶ事ができるかもしれない。
ただホテルなどではWi-Fiの帯域が狭くなっていたりするので、どこまでプレイできるかは分からないが、可能性としてはアリ、という事になる。
後、気にしなければならないのは、デバイスのバッテリー問題だけである。
これで退屈な出張もちょっとは退屈しなくなるのではないだろうか?