字面だけ見るとよく分からないSSDだが…
SSDのSSDキャッシュ
Intelが新しいM.2接続のNVMe SSD「Optane Memory H10」を発表した。
3DXpointテクノロジーを使ったOptaneメモリーと、Intel製QLC 3D NANDフラッシュを組み合わせたもので、従来のSSDではDRAMキャッシュにあたる部分にOptaneメモリを配置し、Intelの「Rapid Storage Technology(IRST)」と組み合わせて、利用頻度の高いデータをOptaneメモリ側に記録させる事で、より高速アクセスを可能にしたSSDになる。
Intel側の話では、具体的にはマルチタスク中のドキュメント起動速度を最大2倍、マルチタスク中のゲーム起動速度を60%、マルチタスク中のメディアファイル展開速度を最大90%高速化できるという。また、頻繁にアクセスされるアプリケーション、ファイルへの高速アクセスの他、従来のTLC 3D NAND SSDと比較して、バックグラウンド動作による応答性も優れているとしている。
ある意味、SSDのSSDキャッシュという、機能として意味があるのか? という疑問も残る組合せ製品ではあるのだが、SSDメモリの特性で速度差や耐久力差がある事で成立しているSSDであり、実際に使ってみればそれなりの効果はあるのかもしれない。
製品保証は5年
この「Optane Memory H10」は、製品保証期間として5年が設定されている。
そうした保証を付けて、本製品はまず2019年第2四半期よりDellやHP、ASUS、AcerなどのOEMメーカー各社から搭載PCが発売される。組み合わされるCPUは第8世代Core Uプロセッサを搭載したもので、「Optane Memory H10」単体の販売も行われる見込みとなっている。但し、現時点では日本国内での発売については不明である。
「Optane Memory H10」の製品は容量別に256GB/512GB/1TBの3種用意されており、256GBのもののみOptaneメモリ容量が16GBであり、他2製品は32GBのOptaneメモリが搭載される。
一般的に容量の大きなSSDほど、その読み書き速度は速いが、本製品もそれと同じ特性となっているが、512GB製品と1TB製品は比較的近い読み書き性能を持っている。
価格はまだ現時点では不明であり、具体的に幾らぐらいのレンジに入るものなのかはわからない。ただ、想像するに一般的なSSDよりは割高になるものと予想される。
気になる事
この「Optane Memory H10」に関して私が一番気にしているところは、そのOptaneメモリーを使う上で、PCに対しソフトウェア的にIRSTの設定をしなければならないのかどうか、という所である。
OSの上からは、単体のSSDとして認識させる事もできるハズだが、IRSTによってOptaneメモリーをDRAMキャッシュとして活用する関係から、単体で「Optane Memory H10」を購入したユーザーは、ソフトウェアをインストールして設定してやらなければならない可能性がある。
OSがクラッシュした時の事を考えると、IRSTをOS側にインストールして使用するという行為は個人的には避けたいところなので、ハード的にSSD内でIRSTを構成してユーザーはハード的にM.2スロットに挿すだけ、という使い方にして欲しいところだが、そのあたりは現時点では不明である。
恐らく、OSにIRSTをインストールして設定する必要があるように思えるが…。一度危険な状況になった私からすると、結構微妙な展開である。
何はともあれ、少しでも速度を上げたい、という人にとっては、選択の余地のあるSSDである。
ただ、私としては3DXpointメモリをより安価に製造できるようにして、SSDの全てをOptaneメモリ化したSSDを発売してくれた方が有り難いのだが、そういう時代はやってくるのだろうか?