USB3.0を搭載した最新上位版。
Cortex-A72
Raspberry Pi財団が「Raspberry Pi4 model B」の販売を開始した。
メモリ容量別に3種類が存在し、価格はメモリ1GB版が35ドル、2GB版が45ドル、4GB版が55ドルとなっている。日本での発売は、現時点でKSYやスイッチサイエンスが取扱いを告知しているが、まだ技適の認定が完了していないため、その技適認定が完了次第、発売を開始するとしている。よって発売時期はまだ未定である。
なお、RSコンポーネンツもRaspberry Piを取り扱っているので、公表はしていないが、後に取り扱うのではないかと予想する。
スペックとしては、SoCにARM Cortex-A72アーキテクチャのBroadcom BCM2711(1.5GHz駆動のクアッドコア)を搭載、GPUにVideoCore VIで4K/60pのH.265のデコードをサポートする。メモリはLPDDR4 SDRAMになる。
インターフェースとしては、40ピンのGPIOヘッダー、Gbit Ethernet、IEEE802.11ac無線LAN、Bluetooth5.0、USB3.0×2、USB2.0×2、Micro HDMI×2、DSI、CSI、3.5mm 4ピンオーディオ・コンポジットビデオポートを持つ。
従来のRaspberry Piと異なるのは、Gbit Ethernetの接続がUSB2.0のハブコントローラー経由でなくなった事で、今回はハブを経由しない事から、本来の通信速度が出せるという違いがある。
また、電源も従来はMicro USBだったが、今回はUSB Type-Cポートに代わり、最低3Aからの駆動となった。他、GPIOヘッダーによる供給にも対応しており、基板のレイアウトも従来製品から変わっている為、過去製品のケースは流用できないようになっている。対応ケースは後日発売される予定。
このスペックを見る限り、もう既に相当な処理能力を有するPCと言えるような製品であり、これが最大でも55ドルで購入できるというのは、ある意味驚異的と言わざるを得ない。
ARMで動くWindows
正直、ここまで高性能になると、これでWindows10を動かしたくなるレベルである。
実際、ARMで動作するWindows10は既に存在しており、LenovoからはSnapdragon850(オクタコアの2.96GHz駆動)のノートPCが発売されている。
LenovoのノートPCから比べれば動作クロックも低いし、内蔵コア数も足りないが、搭載するメモリは4GBなので、Raspberry Pi4も4GBであればWindowsは動作する事になる。
快適性の問題は多少のこるが、性能的にWindowsが動作しないとは言えないので、安価なWindowsシステムを作る事も夢ではないだろう。
まだまだARMネイティブで動作するアプリケーションが少ないので、利用価値があまり高くない感じではあるが、安価なRaspberry Pi4でシステムを構築できる利点から、ネイティブのアプリケーションが開発されていけば、広がりはあるのではないかと思う。
ま、あえてWindowsを動作させずとも、Linuxで動作させる、という人であれば、今の時点で何ら問題はないわけだが、世の中でもっとも普及しているOSとしてWindowsを考えれば、Windowsが安価に動作する事の意味は、決して小さくはないと思う。
しかし…おそるべきRaspberry Pi財団。
いったいどれだけの性能を低価格で提供しようというのか…。