3DSの終焉とも言える新型発表。
Nintendo Switch Lite
任天堂が5.5型液晶搭載の「Nintendo Switch Lite」を発表した。発売は9月20日で価格は19,980円(税別)。
「Nintendo Switch」の特徴だった、着脱可能なJoy-Conコントローラーを廃止し、本体とコントローラーを一体化、丁度SonyのPS VITAのようなスタイルにした筐体となった「Nintendo Switch Lite」だが、その特徴の通り、基本的に「Nintendo Switch」の携帯モードにのみ対応する。よって、Joy-Conの機能である振動、モーションIRカメラ、Joy-Con内蔵モーションセンサーを使用するソフトは「Nintendo Switch Lite」では制限的動作になる可能性がある。スペックとしては、5.5型1,280×720ドットの静電容量方式タッチパネル液晶、SoCとしてNVIDIA製カスタムTegraプロセッサ、内蔵ストレージは32GBを搭載する。SoCは「Nintendo Switch」に搭載されているものと同じなのかどうかは今の所不明だが、基本的なところは変わっていないものと思われる。
インターフェースとしては、USB Type-C(充電用)とIEEE802.11ac対応無線LAN、Bluetooth4.1、microSDXCカードリーダー、ゲームカードスロット、NFC、音声入力を持つ。センサーとしては加速度およびジャイロを内蔵している。
バッテリーは3,570mAhのリチウムイオンで、駆動時間は3~7時間とされている。
上位版かと思いきや…
以前から「Nintendo Switch」の新型が出てくるという話はあった。
ただ、その噂では新型とされていて、いわゆる上位版が出てくるのではないか? という話もあった。
私はライバル機の性能を考えて、PS4 Proのような上位版が出るのかな、という気がしていたのだが、まさかの機能制限付きの“Lite”という携帯版が出てくるとは全く予想外である。
もちろん、この任天堂の判断が間違っているというつもりはないが、SonyはPS VITAを生産中止としたし、携帯機はほとんどがスマートフォンへと移行していったので、今回の任天堂の判断はまさに予想を斜め上にいくものだった。
任天堂の中では勝算があっての判断だと思うので、あえて価格を下げて普及させる方向に振ったものと思われるが、同時にこれはニンテンドー3DSの終焉を意味する。
基本的には「Nintendo Switch」も「ニンテンドー3DS」もARM系コアを搭載した機器という事になるが「Nintendo Switch」はNVIDIA製のSoCとなっている関係からGPUが大きく強化されている。この部分で3DSにはなかった表現を携帯機に持っていくという判断をしたものと思われる。
おそらく、今後は3DSはゆるやかな終息に向かっていくのではないかと予想するが、普及している機器でもあるので、しばらくは従来通りという扱いではないかと思う。
任天堂戦略
任天堂の戦略はSonyやMicrosoftとは異なる戦略で動いていると見える。
低価格であるが故の性能制限を持つ機器で、コンシューマ機の展開を図っているのは、任天堂だけ、といえる。
SonyはPSPで携帯機市場を大きくリードする事ができたが、その後継機はスマートフォンの存在に脅かされ、結果市場撤退という流れになっているが、ニンテンドー3DSはその後もそこそこの市場を確保し、今まで継続してきた。
そして今「Nintendo Switch Lite」で、その後継機へと繋いだという状況なワケだが、コレはある意味、「Nintendo Switch」を携帯機性能に落としたという事でもある。
他メーカーでは上手くいかない戦略が任天堂なら可能になる、というところは、やはり横井軍平氏の言葉でもあった「枯れた技術の水平思考」の発想から遊びを考えた結果からくるものだろうか?
どちらにしても、まずは今回の「Nintendo Switch Lite」が上手くいくのか、という結論を待つ必要があるだろう。いくら任天堂が勝算を以て発売する「Nintendo Switch Lite」であっても、そこに確実性がどれだけあるかはまだ未知数である。
「枯れた技術の水平思考」の思想を貫いていけないとは思わないが、今後の動向は気になる所である。