2スロット以上が当たり前になった外付けビデオカード。
Turingシリーズ初
現在の私はAMDのRadeonシリーズしか使っていないが、世間の多くの人はNVIDIAのGeForceシリーズを使用していると思う。
そのNVIDIAの現在の最新アーキテクチャはTuringだが、レイトレーシング可能なRTXシリーズを筆頭に、レイトレーシング機能を排除したGTXシリーズが発売されている。
グレードとしてはRTXシリーズの下にGTXシリーズがあるような感じだが、実際レイトレーシング機能に対応したPCゲームなどがほとんどない為、よほどのハイスペックを望まない限りは、現時点ではGTXシリーズでも満足のできる性能は得られると思う。
もちろん、4Kで60fpsを下回りたくないとかそういう用途では上位のRTXが必須になるが、フルHD画質で最高描画を得るという目的ならGTXシリーズで問題はないと言える。
そんなGTXシリーズの中でもミドルレンジちょい下ぐらいのビデオカードでも、近年はPCI Expressカードスロットを2スロット分必要とするビデオカードばかりが発売されている現状がある。理由は冷却の為の機構をビデオカードに取り付けるとどうしても厚みが2スロット分必要になったりするからだが、エルザジャパンから、何と久々に1スロットの厚みに押さえた「ELSA GeForce GTX 1650 SP」が今年8月23日に発売された。
エルザジャパン製ビデオカードは、日本メーカーのビデオカードで、電源品質などには圧倒的な信用があるモデルで、それ故に価格的には若干高いというイメージがある。だが、その価格の高さと安定度を天秤にかけてでもエルザ製ビデオカードが欲しいというユーザーも多い。
そのエルザから1スロット製品が出るのは、何と約2年半ぶりになるという。以前発売された1スロットモデルは「ELSA GeForce GTX 1050 Ti 4GB SP」だというから、たしかに2年半ほどの時間は経過していそうである。
GeForce GTX 1650
「ELSA GeForce GTX 1650 SP」に搭載されているGPUは、GeForce GTX 1650というNVIDIAのメインストリーム向けのコアになる。
CUDAコア数は896基、ベースクロック1,485MHz、Boostクロック1,665MHz、メモリ速度は8Gbps、メモリバス幅128bit、メモリはGDDR5 4GB、最大消費電力75Wと、省エネ故に性能もそこそこと言えるが、もちろんコレでもCPU内蔵ビデオ機能よりはずっと性能は上になる。
1スロット化が可能になった最大の理由は、補助電源コネクタが必要ないという事。それだけの電力しか消費しないので、冷却機構もそこまで大きなものを必要としないというのが大きく貢献していると言える。
バスインターフェースはPCI Express3.0だが、これでも出力インターフェースはDisplayPort1.4aを2つ、HDMI2.0bを1つと最新世代のインターフェースを持っているのがこの製品の特徴と言える。
他、「ELSA GeForce GTX 1650 SP」には「CLIP STUDIO PAINT DEBUT」のシリアルコードが付属するので、ゲームだけでなくPCでのマンガ製作などを始めたい人にも向いているかも知れない。
ベンチマークは…
そんな「ELSA GeForce GTX 1650 SP」だが、ベンチマークソフトを走らせると、性能はやはりメインストリーム向けという事がアリアリとわかる。
私の判断基準でもっともアテにしている比較対象として、FF14 漆黒のヴィランズベンチマークテストがあるが、フルHD解像度での「最高品質」でのスコアが、8,700を超える程度のスコアなので、フルHDでは十分な性能と言える。
だが、これがもし2,560×1,440になると、おそらく6,000台のスコアに落ちるだろうし、4Kともなれば4,000台を下回るだろう(いや、もっと下かも)。実際のスコアはわからないので何とも言えないが「ELSA GeForce GTX 1650 SP」はフルHDでの運用が最適という製品である事は間違いないだろう。
ではその時のGPU温度がどんな感じなのかというと、75℃になるようだ。GeForce GTX 1650の公称再考温度は92℃なので、まだ余裕があるようだが、もう少しこの温度を低くする事ができる。
この製品には「ELSA GPU Optimizer」というビデオカードの性能調整ユーティリティがある。要するにオーバークロック用ユーティリティなのだが、設定として「エコ」と「初期設定」「ハイパフォーマンス」を選ぶ事ができる。ハイパフォーマンスモードは…正直あまり意味のある程の性能は出せないようだが、エコモードは消費電力をぐっと減らして動作させるようで、高負荷時でも一気に15℃もGPU温度が下がる。
そのエコモードでのベンチマークはというと、概ね10~15%ほどの低下になるようだが、おそらく負荷として極限状態にならない限りは、そんなに大きな低下には感じないと思われる。
しかもエコモード時は消費電力も20W近く下がるようなので、省エネPCで行くならエコモードは十分アリな設定と言える。
正直「ELSA GeForce GTX 1650 SP」は同じGeForce GTX 1650を搭載したビデオカードの中ではかなり高価な実売価格である。
しかし、Turing世代のGPUでは唯一の1スロットモデルなので、コンパクトPCを構成するなら、本製品を選ぶ意味は十分あると思う。
そういう拘りの一品なので、とにかく薄いビデオカードが欲しいという人にはオススメである。