AMDのメインストリーム16コアは9月中には出ない。
11月ローンチへ
AMDは、以前にメインストリームで展開するRyzen9 3950Xという現行の3000シリーズ最高峰となる16コア/32スレッドのCPUを9月中に発売するとしていたが、公式Twitterで第3世代Ryzen Threadripperの第1陣と共に11月ローンチになる事を発表した。
— AMD Ryzen (@AMDRyzen) September 20, 2019
噂レベルでは、Ryzen9 3950Xは9月30日に発売する、という情報も存在していたが、何かしらの事情で11月延期となった模様。
その理由はハッキリしていないが、可能性としてAMDがサーバ向けである第2世代EPYCを優先した結果、生産ラインが確保できなくなった、という可能性が考えられる。他にも、AppleのA13コアとTSMCの7nmラインの取り合いをした結果ではないかという話もあるし、何が正しい情報なのかはわからないが、どちらにしてもAMDがTSMC頼みである以上、Zen2とNaviの供給不足が生じる可能性も今後は出てくると思われる。
7nmの期待
Intelが10nmで失敗(Intelは失敗とは言いたくないだろうが)したように、10nmプロセス以下の生産ラインというのは、立上げが非常に難しい。
実際、7nmをここまで上手く生産しているのは、事実上TSMCのみと言っても過言ではない。それだけに今の高級半導体はTSMC頼みになってしまうところがあるのだが、AMDは少なくとも7nmというブランドで今の最新製品を展開している以上、この製造プロセスを外す事はできない。
この7nmプロセスの後には、いわゆる7nm+という製造プロセスが待っているわけだが、こちらの立上げが早まれば、あまり大きな影響がなく製品が投入されるだろうが、こちらは今の所計画通りの進行のようで、ある意味順調ではあるものの、需要と供給という面で言えば前倒しのできない状況のようである。
ここにIntelが正しく7nmプロセスを立ち上げてくれば、Appleあたりの顧客がIntelに流れてバランスが取れるのかも知れないが、当のIntel自身も製品の生産が滞っている部分もあり、まして先端プロセスである7nmの立上げは、まだ先になる見通しのようである。
TSMC自身も7nmの製造能力増強を行っているのだが、これが遅れているのも問題。
先端プロセスの生産が、如何に難しいものであるかを物語っているようである。
Samsungが出てこない
ここで、普通ならSamsungの名が出てきても不思議ではないのだが、最近の半導体関係でSamsungの名はあまり出てくる事がなくなってきた。
私の妄想でもあるのだが、これは日本のフッ化水素輸出の管理強化が影響している可能性が考えられる。
日本側は戦略物資の管理強化を実施こそすれ、禁輸はしていない。要は過去3年の輸出物資の用途と流れを明確にし、今回購入分の物資の用途を明確に報告すれば輸出可能としているのだが、何故か過去3年間の物資の用途と流れの報告をしてこないらしい。
明確な理由はわからないが、可能性として第三国にそれらの一部が流出している可能性があるのかもしれない。国家的安全保障問題に抵触する可能性があるので、フッ化水素等を日本から輸入する事ができないのかもしれない。
フッ化水素は半導体の洗浄等で使われるらしいので、こいつの純度が低いと高性能半導体の歩留まりに大きな影響を及ぼす。
現在、Samsung等韓国企業は国内生産のフッ化水素や日本以外からの輸入品でテスト等を実施しているようだが、良い結果が出たと韓国政府は言いつつも、それらが結果として生産に結び付いていない現状を見ると、上手くいっていないのかもしれない。
もしそうだと、今のSamsungでは7nm以下の製造プロセスは期待できない。これだけ世界から需要があるにも関わらず、である。
実際、ホントのところはわからいなが、先端プロセス製造にSamsungの名が出てこなくなったのには、根深い理由がありそうである。
どちらにしてもメインストリームの16コア/32スレッド製品は11月までお預けとなる。
期待していた人はもうしばらく我慢するか、現行の3900Xに流れるしかない。
私には…直接関係のある話ではないが、これから先は先端製造品は供給が遅れる、という認識でいた方が良い様である。