12コア24スレッドでTDPが65Wという魅力。
Ryzen9 3900
AMDが第3世代Ryzenの新たなモデルとして、12コア/24スレッドのRyzen9 3900と6コア/12スレッドのRyzen5 3500Xを追加した。企業向けモデルとして販売される。
Ryzen9 3900は現在のフラッグシップであるRyzen9 3900Xの下に位置するモデルで、周波数が引き下げられてTDP 65Wに収めた製品になる。
当然動作クロックも引き下げられていて、定格で3.1GHz、Boost時で4.3GHzでの動作となるが、もともと多コアで動作する事を想定された環境で使われるものなので、数多いタスクを順当に処理していく用途に使われるコアと考えて良いだろう。
また、Ryzen5 3500Xは、上位にRyzen5 3600というTDP 65Wモデルが存在するが、そこからさらにBoost時の動作クロックを引き下げて製品化されたコアになる。
ただ、3600との違いがBoost時のクロックで、しかも0.1GHzだけ下回るという製品なので、性能差はかなり小さい。それでも基本として10ドル価格が安いというものなので、企業向けとしては少しでもコストを抑えられている分、最適な製品なのかもしれない。
低TDP品
TDP(Thermal Design Power)は、最大必要吸熱量の事を指すが、これが低いほど結果的に省電力になる、という指標である。
なので、省電力PCを作りたいと思ったなら、自然TDPの低いCPUを選択する事になるのだが、残念な事に低TDPのCPUは思った程流通しない。
多くは企業向けに出荷される事になるが、そもそもが選別品であるため、一般人にまで届いてこない事が少なくない。
だが、一般人であっても省電力PCは欲しいわけで、Intelコアなどでは結構な人気になる。
そういう背景からか、Intelでは比較的低TDPコアが一般向けに販売される事も多いのだが、AMDは何故か一般に低TDP品が出回る事が少ない。というか、製品ラインナップに並ぶ事すら珍しいのである。
コレ、AMDが企業に取り入る材料として使われているのかもしれないが、今後生産数が伸びる背景にあるコアは、出来れば低コスト製品として一般にも開放してもらいたいと思う。
折角Intelとの戦いにおいて有利に立っているのだから、今のタイミングで低TDPコアも対応ができるとなれば、市場を有利に展開する事ができる。
それこそ、AMDがIntel越えをする為に必須な条件ではないかと思う。
Intelの生産劣勢はまだ続いていると言われている。
今の内にAMDは市場の盛り上がり方を原則的にAMD側へ引っ張って行くことができるわけで、顧客の封じ込めをどうやって行うかを考えてみてもらいたい。その上で、低TDPコアが一般の人でも入手しやすい状況なら、AMDは今以上に望まれる企業になれるだろう。
そういう未来を私は待っている。