理論性能と実効性能と価格のバランス。
わかりやすくと言っても…
昨日、当Blogの記事で私の次期メインPCに関しての考察を掲載した。
何てことはない記事で、しかも価格の検討もしていない内容なので、自作PC系の記事としては出来の良くない記事なのだが、知人がこの記事を読んだらしく、内容についてもうちょっと詳しく知りたい、と言ってきた。
「知りたいならコメントに書けよw」と言ったら「恥ずかしいじゃんwww」と何とも大人気ない回答が得られた。ネット情報化時代に何言ってるんだ? とも思ったが、知人曰く「実際テクニカルな事とか、専門系のサイトとか読んでもよくわからんのだよ」との事。
そういえば、以前メジャーリーガーのダルビッシュ選手も、GPUがよくわからないという内容でSNSに書き込んだという事があったな、と思い出し、やはりテクニカル系サイトの内容は基本的に一般人には分かりづらいのかな、という事を再び感じた次第である。
…だからといって、私のサイトがわかりやすいかというと、決してそうでは内と思うのだが、とりあえずもうちょっと詳しく書いて欲しいという要望だったので、昨日考察したメインPCがなぜあの構成になったのかを書いていきたい。
CPUは8コアで十分
次期メインPCのCPU(中央演算装置)は、8コアのRyzen7 3700Xで十分だと考えている。同じ8コアの3800Xという選択肢もあるのだが、3800XはTDP(熱設計電力の事で冷却性能の指標)が105Wとなっていて、冷却パーツの性能をより高度なものにしないといけない。ただ、その分理論上は性能が上になる。というのは、ベースクロックが300MHz分だけ3800Xが優位だからだ。ただし、ブーストクロックは100MHzのアドバンテージしかないので、実際に稼働させても誤差程度の性能差しかない可能性もある。実際、ちゃんと冷却されていればCPUは自動クロックアップして動作するので、誤差程度の動作になるケースが多いらしい。
また、16コアのRyzen9 3950Xと8コアのRyzen7 3700Xだが、内蔵しているコアが2倍になる3950Xの方が普通に性能は高い。ただ、コアが沢山集まっていると当然発熱量が高くなるため、冷却パーツの性能は高くないといけないし、冷却が上手く出来ていないと発熱量をCPUが自動的に制限するため、性能が伸び悩む結果になる。
また、16コアあるからといって、プログラムの全てが16コアを使い切る動作をするかというとそうでもない。実際ゲームなどは8コア以上はあまり使わないのでゲーム単体だけで比較すると、3950Xと3700Xは多少差はあれど驚く程の性能差にならない事が多い。これで価格は2倍程度となる3950Xを選択する意味はあるかというと、多数の重量級プログラムを同時に動かして運用する人でなければ、あまり意味はない、という結論に至る。
以上から、価格的には4万円台前半で購入できるRyzen7 3700Xは、現時点の8コア製品としては最もコストパフォーマンスが高いCPUと言えるのではないかと思う。
メモリはDDR4-3200
次にメモリだが、準備するメモリはDDR4-3200のものが良い。そしてできるなら2枚までに抑えておく方が良い。
もう少し詳しく書くと、メモリランクはシングルでもデュアルでも良いのでDDR4-3200のメモリを2枚で運用するのが望ましい。
AMDのCPUやチップセットは、メモリクロックは相性次第というところが若干あるのだが、第3世代Ryzenである3700Xや3800X、3950Xはシングルでもデュアルでもどちらであっても2枚までならDDR4-3200までのメモリに対応する。これがもしメモリモジュールを4枚搭載すると、シングルだとDDR4-2933まで、デュアルだとDDR4-2667までの動作速度になる。
3200とか2933とか2667というのは、メモリの動作クロックと思って貰って良い。3200なら3200MHzで動作する。
メモリクロックはメモリの読み書きの速度に直結するので、全体的な動作パフォーマンスに影響を与えるので、メモリクロックは速い方が理想的と言える。
マザーボード
マザーボードは搭載するチップセットがX570であれば、基本的に問題ない。
PCI Express4.0を利用するなら現時点では他に選択肢がないし、第3世代Ryzenを使う場合はX570でその性能がほぼ使用可能になる。
現在、600シリーズが予告されているが、600シリーズはAMD製チップセットではなく、Xhiangshuoという企業が開発したチップになる。なお、XhiangshuoはASMediaと同企業らしい。
ただ、この600シリーズは、次の7nm+プロセスで製造されるRyzen 4000シリーズと共に登場するとも言われているので、正式に3700Xや3800X、3950Xの為に作られたチップセットとは違う。
そうしたチップセットの問題はあるが、マザーボードはとりあえずチップセットとしてX570搭載モデルを選べばハズレはしない。あとはその使い勝手の良さとか、耐久性とかを考えてチョイスするだけである。
一つだけ注意しておきたいのは、クーラーをマウントする為のクリアランスが取れているものを選ぶのが良いと考えられる。クリアランスがないマザーボードを購入してしまうと、クーラーの取り付けが異様に難しくなるので、避けたい所である。
ストレージ
現在、起動ストレージとして選ぶ媒体はほとんどがSSDになっている。
しかもNVMe M.2タイプのストレージで1TBでもかなり安くなっているので、それをメインストレージとして搭載するのがオススメになる。
ただ、多くのマザーボードで、CPU直結のスロットも用意されているものもあり、またPCI Express接続のSATAのどこかの番号と排他接続になっているスロットもあったりと、結構接続が複雑になっていたりするものもある。
限りあるPCI Expressレーンを有効に使うためにも、そのマザーボードのどのポートに指すとどのポートが利用できなくなるかなど、情報は掴んでおくべきである。
個人的には、溜め込むデータはHDDに保存し、日頃使用するプログラムがインストールされるストレージをSSDにすべきと思っている。
IntelのIRSTやAMDのStoreMIといった、HDDのキャッシュにSSDを使用して高速化するという技術があるが、そういったものを使ってPCトラブルが発生した時、データの復旧がままならない事になるので、できればHDD、SSDのまま使用する事をお薦めしたい。
もっとも、データは損失しても構わない、というデータしか保存しないなら、AMDプラットフォームなのでStoreMIを使用して高速化するという手もある。
ビデオカード
これは昨日の記事にも書いたが、Fluid Motionが必要かどうかで決まると言っていい。
Fluid Motionは、GPUを使って動画のフレームを自動生成して24fpsや30fpsの動画を60fpsにして滑らかな再生にするという機能である。
最近の動画は非常に綺麗に作られているので、30fpsでも違和感なく滑らかになっているものが多いが、全てにおいてそのような滑らかさがあるわけではない。
しかしFluid Motionを使えば、軒並み60fpsの動画になるため、意識することなく滑らかな動画を観る事ができる。
このFluid Motionの機能を使えるのはAMDのビデオカード、それもGCNアーキテクチャのVega系のビデオカードでないと使えない。Radeon RX 5700XTなどRDNAアーキテクチャだと、このFluid Motionの機能が使えないようになっているのが現状である。
今後、RDNAアーキテクチャのビデオカードでもFluid Motionが使える様になるのなら、Radeon RX 5700XTは最良の選択肢になるが、確実に対応するとは言えない。
なのでFluid Motionがどうしても使いたい&性能もハイレベルで欲しい、という人は、中古でも何でもよいのでRadeon VIIを探してきて使うのがベストである。
Fluid Motionはいらない、というのであれば、NVIDIA系ビデオカードを選択するのが無難である。レイトレーシング機能がないGTX系でも良いし、RTX系でハイパフォーマンスを狙うのも良い。価格と相談すべきだろう。
その他のパーツ
あとはCPUクーラーとか電源とかそういったパーツだが、個人的にオススメしたいのが80 PlusでもPlatinumのグレードを持つ電源である。
電源は熱損失がどうしても出てしまうものなので、その熱損失を極限に少なくした電源が80 Plus Platinumの電源になる。
よく見るのは80 Plus GoldとかBronzeの電源だが、これらも基本的に熱損失が小さい電源ではあるがPlatinumの方がもっと効率が良い。電力変換効率が高ければ、総合的な消費電力も下げられるので、個人的にはPlatinumがオススメ。
また、CPUクーラーだが、騒音が気にならないのなら空冷をオススメしたい。
水冷は静か…というのは一昔前の話で、最近の簡易水冷などはラジエーターのファンの音もそれなりの大きさなので、あまり静音性は変わらない。
また空冷でもかなり冷えるモデルがあるので、それなら水という電子機器には害にしかならないものを使う水冷よりも、空冷がオススメである。
ただ、空冷のCPUクーラーはどれも大型のものが多いので、小さく纏めたい場合は簡易水冷でも良いかも知れない。
あと、光学ドライブを内蔵するなら、オススメはノートPC用のドライブを5インチベイに搭載する事をお薦めする。理由は昨日記載した通りで、ゴムの劣化でトレイが出てこなくなる問題を回避したいなら、ノートPC用のようなドライブの方が理想である。そもそもそんなに使わないし。
あと、ケースには必ず吸気用のケースファンと排気用のケースファンを取り付ける事をお薦めする。
最近のPCはメモリも高クロックで動作しているし、チップセットもいろんな処理を賄っているので発熱する。ケース内に一定の空気の流れを作っておけば、そうした熱を排気できるので、かならず吸気用ケースファンと排気用ケースファンを取り付けた方が良い。また、あくまでも私の個人的な好みの話だが、できれば排気用ケースファンの能力の方を高めにする事をお薦めする。吸気用の方が上回ると、ケース内に空気を取り込むばかりで排気が追いつかず、ケースのあらゆる所から空気漏れを起こすが、排気用が上回っていれば、足りない吸気はいろんなケースの隙間から空気を取り込む。この状態なら排気だけは確実にファンから行われるので、空気の流れはほぼ計算通りに行われ、ケース内で対流する。
他にもCPUクーラーを取り付ける際のグリスとか、どんなPCケースが理想的かなど、いろんな情報はあるが、それはまた別の機会に書くとする。
読み返してみると…昨日の記事とあまり変わらないような気もするが…。
少しは具体的になっただろうか?