1080p解像度をターゲットにしたミドルレンジ。
5700XTのClockDown版?
AMDから、Radeon RX 5600 XTが登場する事は以前から話には出ていたが、ようやく搭載製品が店頭に並び始めた。
ASRock×2製品、ASUS×1製品、GIGABYTE×1製品、PowerColor×2製品、SAPPHIRE×1製品、玄人志向×1製品の合計8モデルが店頭に並び、その価格は税込38,480~44,800円といったところ。
スペックとしては、純粋に先行発売していたRX 5700 XTと酷似していて、違いはメモリが8GBから6GBに減っているところと、メモリインターフェースが256bitから192bitへと減っている事、そしてそれぞれの動作クロックが低く設定されているという事である。
5700 XTが1440p解像度をターゲットにしたGPUだったのに対し、5600 XTは1080p解像度をターゲットにしており、その上で高速なフレームレートを実現した製品と言える。
ライバルとしては、NVIDIAのGeForce GTX 1660Tiが競合製品と言えるが、その性能はほとんどのケースでGeForce GTX 1660Tiを超える。よほどNVIDIAのGPUに最適化されたプログラムでないかぎりはRadeon RX 5600 XTの方が上回るが、それは搭載しているGPUのプロセッサ数などがほとんどにおいて上位のRX 5700 XTと同数だからに他ならない。
極端な言い方をすれば、ちゃんと冷却してRX 5600 XTをオーバークロックできれば、実力は確実にGeForce GTX 1660Tiを上回ってくる、という事である。
発売直前のサプライズ
このRadeon RX 5600 XTが発売される直前になって、発売した各メーカーからBIOSのアップデートがあったらしい。
具体的な変更点は、各社ともクロックアップ&消費電力のアップというもので、単純に消費電力を上げてクロックアップした、というものだが、このクロックアップで確実にライバルであるGeForce GTX 1660Tiを上回ってくる性能を持たせた、という事だと思う。
これは私の憶測でしかないが、AMD陣営があえて発売直前まで伏せていた情報で、実際には余裕を持った冷却性能を与えておき、発売直前でTDP内に収まっているようであればBIOSアップデートで性能向上させる予定が最初からあったのではないかと思っている。
AMD側としては、ボードのリファレンスモデルの設計そのものはAMD側が持ったとしても、冷却機構は各発売メーカーの設計に委ねるという形を取っているはずで、予め許容できるTDPを説明していたのではないかと思う。その時、余裕のあるTDPの説明をしておけば、BIOSアップデートでスッと性能向上できる余地を持たせられると。これでNVIDIA側を油断させるというやり方である。
熾烈なGPU戦争で勝つには、やはり性能で相手を上回る必要があるので、せこいかもしれないがこういうやり取りがあったのではないかと思う。
最終的な性能は今後どこかの技術系サイトがレビューするのではないかと思う。
クロックアップ後でどれだけの性能になり、ライバルに差を付けたのか?
ミドルレンジはユーザーの裾野が広いので再び熾烈な戦いが始まるかも知れない。