PS5とXBOX Series X、共にスゴイとは思うが…。
PS5を超える?
次世代コンソール機となるPS5とXBOX Series Xは、共に非常に強力な性能を持った機器だという事は、現時点で公開された公式な発表や噂を含めて考えても予想はできる。
共にAMDのZen2アーキテクチャのCPUとRDNA2アーキテクチャのGPUを搭載し、ハードウェアレベルでレイトレーシングに対応、高速リフレッシュレートを持っているとされる。
だが、そうしたスペック説明において、PS5とXBOX Series Xで数値的に明確に違いが示されている部分がある。
それがPS5はGPUの処理が9TFLOPS程度と言われているのに対し、XBOX Series Xでは12TFLOPSに届くと言われている部分である。
この数値だけを見れば、XBOX Series Xの方がより強力なGPUを搭載しているのではないかと予想できるのだが、現時点でソニー側は本件に対して過敏な対応策を示していない。
実際問題として、ホントに3TFLOPSの処理能力の差があったとして、それがどこに影響を与えるのかというと、おそらく映像表現力には差はなく、高解像度時のリフレッシュレートに差が見えてくるレベルだろうと考えられる。
ただ残念な事に、ソニーもMicrosoftも、今までハードウェアがはじき出すスペックを数字で語って他社との比較をしているので、ソニー側としてはこの3TFLOPSの差は実際よりも大きな問題として捉える必要がある。
ま、現時点での噂の話なので、実機が登場してみれば「実は性能は同じでした」なんて事も考えられる。おそらくは驚く程の違いにはなっていないとは思うが、ハードウェアでは現時点ではMicrosoftがイニシアチブを取ったといえるかもしれない。
爆速ローディング
PS5はそのロード時間の短さを売りにしているところがある。
まさに一瞬とも言える読み込みの速さで、それが全体のレスポンスを上げているとさえ言える。
実際、イマドキのPC事情でももっとも時間のかかる部分はストレージの読み書きにかかる時間で、それ以外の半導体による演算速度は、極限レベルの表現でない限りは実はそんなに速度的に遅くなるという事がない。
GPUが処理する画像に関しても、処理が遅れるのは画像などを格納するメモリの速度が原因とさえ言われている。このメモリ速度がボトルネックになるという話は、PCの世界では昔から言われていた事である。
PS5は、その速度問題をSSDを採用する事である程度カバーするとしているようで、さらにもっと高速化する手段を盛り込んでいると見られる。
SSDの更なる高速化…となると、より高速なDRAMを利用するのか、それともよりランダムアクセスに強い構造のSSDを利用するのか…詳細はわからないのが、この辺りにPS5のローディング性能の秘密がありそうである。
ただ、このローディング性能は何もPS5だけのもの、とは言えない。Xbox Series Xにも同様の技術は搭載される可能性がある。独占的な技術というものを使わない限り、必ず似たような結果になるからだ。
それとも、PS5のローディング速度は、ソニー限定の“何か”があるのだろうか?
価格は高騰する?
ハードウェアが見えてくると、もう一つ見えてくるものがある。
それが価格である。
現時点でPS5の原価は500ドル近いという噂がある。
つまり、この時点でPS3の時のような戦略的価格にしない限りは日本円で確実に5万円を超えてくると考えられる。
PS3時代、SECはPS3を1台売る度に3万円の損失を出していたという話もあるが、それはソフトウェアの売上でハードウェアの損失をカバーする事を想定していたからだが、結果、PS3のプロジェクトは大赤字となり、危機的状況に陥った。
PS4では、その失敗からハードウェアはハードウェアで赤字を出さない方向性で進めた結果、ソニーは堅実な売上を手に入れた。
PS5は、おそらくPS3のような危険な綱渡りはしないだろうから、少なくとも原価を超える価格での発売になるだろう。そう考えれば5万円以上のプライスが付く事になる。
XBOX Series Xも、原価を下回るような売り方はしないと思うが、価格的には相当高価な設定になる事が予想される。
つまり、次世代コンソール機はともに5万円以上のプライスが当たり前の機器になると予想できるわけで、普及速度は現世代機と比較するとかなり鈍いのではないかと私は予想している。
x86機が乱立
ただ…正直現時点でのコンソール機の中身を見ると、どちらもx86アーキテクチャのコアを搭載した機器であり、しかもそれはWindows PCと同じという状況で、あえて機種を2分する必要があるのか? という疑問を感じてしまう。
ゲーミングPCを持っていれば、欲しいタイトルがSteam等で扱われた段階でコンソール機でプレイする人は希有であろうと思う。
コンソール機をあつかうソニーやMicrosoftは、ゲーミングPCとの差別化を図ろうと薬機になっているのかもしれないが、そもそも価格が異なりすぎる上に価格的にリッチな構成を執る事のできるWindows PCは、最終的なスペックでコンソール機を上回る。
だが、そこで動作するソフトは、どれもが基本的には同じx86コードで動作しているわけなのだから、消費者側として考えれば、発売するソフトに差をつけるような事がなくなれば、一番ベストな結果ではないかと思う。
正直、Windows PCなら、PS5のエミュレータだろうが、XBOX Series Xのエミュレータだろうが、普通に走りそうな気がしてならない。ま、セキュリティ的にそれはあり得ないのだが、アーキテクチャが同じプログラムが動作しているので、セキュリティさえ突破できれば、実現は可能だろうと予想できる。
…というか、ソレ、アリじゃない?
とりあえず、今年の年末は次世代コンソール機の祭が行われるだろう。
私が購入するとなるとPS5という事になるだろうが、Windowsで動作するタイトルならSteamを選択する、というのもアリだと思っている。
まずは年末に向けて、もっと明確な情報が出てくるのを待ちたい。そこで見えてくるものに何か大きな要素があれば…また考えが変わるかも知れない。