Appleが新製品を発表した。
ほぼ予想内
日本時間にして3月18日の夜、Appleが新製品を発表した。
先日、当BlogでもMacBook Airの新型の話をしたが、まさにドンピシャなタイミングでの新製品発表である。
発表されたのは、MacBook AirとiPad Pro、そしてMac miniの3製品で、そのスペックも以前から噂されていたものがそのまま形になった、というような感じであった。
と、すました話にしてしまっても良いのだが、多少なりの驚きはある。
特に第4世代iPad Proは、背面に初めて「LiDARスキャナ」を搭載したという所。
この「LiDARスキャナ」は、光を使って広い範囲の距離(奥行き)を測る装置の事で、自動運転やロボットナビゲーションで広く使われてきた歴史のある技術を使ったスキャナで、光を使って距離を測定する技術を利用している。
通常、光波測距は、光が物体の表面に反射して戻ってくるまでの時間を測定して距離を測るが「LiDARスキャナ」は広い範囲をスキャンするので、周辺環境の詳細な3Dマップを得られるという特徴がある。
何故iPad Proにこんな「LiDARスキャナ」などというものを搭載したのかを考えると、どうも今後より広範囲な場面でARを活用していく為に搭載したのではないかと考えられる。
現在、AR機能でカメラ撮影したりすると、どうしてもオブジェクトが現実の物体を貫通したりして表示されたりする。これは今までデバイスが空間認識をしていないためで、アプリが表示しようとするものとカメラ映像の位置関係がズレてしまうからだ。
今回のiPad Proのように、カメラ側が「LiDARスキャナ」的な機能を持つことで、より現実に即した形でAR合成ができるようになると期待される。ハードウェアとして実装したのだから、今後に期待して良いだろう。
お買い得感上昇
個人的にお買い得感が増したなぁと思ったのがMacBook Airである。
CPUがIntel第10世代のものになった、との事だが、搭載されるGPUがIris Plus Graphicsなので、おそらく当初の私の予測通りIce Lakeが搭載されたと思われる。
上位モデルはIce LakeのCore i5を搭載したようなので、これで物理コアとして4コア搭載したCPUがMacBook Airに搭載されたと見てよいだろう。
さらにBTOでCore i7に15,000円で変更できるので、もっと性能を向上させる事もできる。
また内蔵SSDの容量も下位モデルで256GBとなり、上位モデルは512GBが下限になる。容量倍化で価格は以前より安くなったワケで、ココにもお買い得感が感じられる。
キーボードはシザー式に戻り、改良された事で不具合もなくなった。まさに、無敵のMacBook Airへと変貌した、と言えるのではないだろうか。
ま、WindowsノートPCより、若干重いのが気になるところではあるが、ソリッドな質感と合せて、お薦めできる一台になったように思う。
第8世代止まり
ちょっと残念だったのは、Mac miniである。
搭載するCPUは第8世代止まりで、MacBook Air搭載のCPUよりも高クロックで動作するといっても、世代は古い。
この世代が古い事による最大の問題は、搭載されるGPUも同じく古くなるという事。デスクトップ運用なのに世代が古いという事は、性能はクロック動作周波数で引き上げている、という事であり、低いクロック動作周波数、つまり省電力運用がMacBook Airよりも苦手な構成になっている点は、とても残念である。
この辺りはMac miniの使い方も関係してくるので、この構成にしたからダメ、という事ではないので、多少なり以前のモデルより改善されていれば、価格もやすくなった事だしお買い得感は上がったと言える。
iPad ProはMacBook Airを置き換える?
今回発表されたiPad Proのスペックは、恐らく現時点でMacBook Airを超えているかも知れない。
もともとA12XというARM系CPUは、そのベンチマークスコアがMacBook Proを部分的に超えていると言われていた。Xが付いたAシリーズは、iPadの為にGPUが強化されたCPUなのだが、今回の第4世代iPad Proは、A12Zという、さらに強化したCPUが搭載されたモデルになるという。
つまり、この時点ではもうMacBook Airを超えた性能を持つタブレット端末であり、今回はさらにMagic Keyboardにタッチパッドが搭載され、iPad Pro上でマウスカーソルが表示されるようにまでなった。
結構前から、AppleはMac OSをARMで動作させる予定でOSを開発していると言われていたが、それがいよいよ現実味を帯びてきた、という感じではないかと思う。
そもそも、Microsoftも「Surface Pro」で似たようなアプローチを数年前から進めている。姿形はタブレットでも、その上で動くのがPCのOSで、そこにカバー兼用のキーボードが接続されて運用するというコンセプトだ。
iPad Proも間違いなくそこに向かっているワケで、両者の違いはそのスタートラインが違っていただけ、とも取れる。
だが、そのスタートラインが違っていた事で、iPad Proが機能としては先行したのではないかと思う。何故なら、iPad Proには既に深層学習用の演算器が取り込まれ、スマートフォン並の各種センサーが搭載されているからだ。出身がスマートフォンと同列にあるだけに、もともとがモバイルで利用する事を前提とした作りになっているし、通信機器という側面も強い事がノートPCよりも優位に働く。
そう考えると、今回の第4世代iPad Proは今後のMacBookの進む方向を決定づけるターニングポイントになるのではないかと思ったりする。
まぁ、先の話は誰もわからない。
一つ言える事は、今回発表されたMacBook Airは、現時点で使用する上では「買わないという選択肢がない」と言っても過言ではないデバイスではないかと思う。
また、それはiPad Proにも言える事だが、ただiOSというシステムでどこまで出来るかの真贋を問うターンでもあるので、PCメインの人であればMacBook Airが、タブレットメインの人であればiPad Proが、それぞれ選択すべきデバイスではないかと思う。
あとは…各人の絶対価格を許容できるかどうかの問題だろう。