今まで当Blogであまり触れる事のなかった話題を考える。
PS5とXbox Series X
PS5とXbox Series Xのハードウェア仕様が公開されてしばらく経つが、この話題、本当はもっと以前に当Blogで触れるつもりでいた。
しかし、実際にハードウェア仕様が公開された内容を見て、今しばらく触れるのは止めておこうと判断した。
理由は、数字だけでは分からない部分があると判断したからだ。
両者共にAMDのZen2アーキテクチャのCPUとRDNA2アーキテクチャのGPUを搭載し、GDDR6のメインメモリを搭載している関係で、とても似通ったハードウェア仕様になっているので、差別化をする為にどうしてもそこから出てくる性能指標の数字だけで比較しがちになる。
結果から言えば、僅かながらXBox Series Xの方が性能指標として高い性能を持つ事が判明したわけだが、GPUユニット数がXbox Series Xの方が上回っていた事が主な要因ではないかと思う。
だが前述したように、この性能指標だけで判断してしまうと、本当にユーザーが体験する内容と異なった判断をしてしまう可能性がある。
それが、PS5のストレージローディングの高速性である。
PS5に搭載されるSSDは、現在PC等に搭載する従来のSSDやHDDと比べても相当に速いものになり、そのアクセス帯域は5GB/sにも達するという。もっと具体的に言うと、PS4が1GBを読み込むのに20秒かかるところを、PS5は2GBを0.27秒で読み込む。
この性能は残念ながら先程のXbox Series Xとの比較で出された性能指標には現れていない性能である。
こうした指標だけでは見えない部分の性能を考えると、とてもではないが現時点で優劣など付けられるわけがなく、実際には実機でその体験を感じるまでは比較などできようハズもない。
今回ばかりは、数値指標はあくまでも既存概念での比較でしかないわけで、あまり意味がないと言わざるを得ない。
後方互換性
私が今回のPS5の最も気にしている部分が後方互換性である。
何故なら、私はPS4のソフトを基本的にダウンロード版しか購入していないからだ。
これは来るべき次世代機が登場した時、ダウンロード版であればその次世代機でPS Networkから再ダウンロードすればそのまま次世代機でプレイできるかもしれない、という期待を込めてダウンロード版を購入してきたからだ。もっとも、理由はそれだけではないのだが、結果として次世代機を見据えていた事は間違いない。
SIEとしては、パッケージ版ソフトも対応する事を想定しているだろうが、PS5もその仕様からソフトウェアは光学メディアからSSDにフルインストールしてプレイする仕組みを採っているので、結局PS5本体に取り込む必要がある事に違いはない。
この後方互換性において、結果的に発表当初のコメントではPS4の長時間プレイタイトル上位100タイトルに着目して後方互換性をチェックしているという話だったが、その補足情報が追記された。
実際には、PS4で提供されている4,000を超えるタイトルの大多数がPS5で動作するようになる、と言う。また、PS5では後方互換性のあるタイトルのフレームレートの安定性向上や、場合によってはより高い解像度でのプレイも可能になるという。この事が原因でゲームによっては開発者による調整が必要な場合があり、現在はその細かな検証を行っているというのである。
さらに当然だが、この動作は前述の超高速アクセスSSDの上で動作する事になるので、ローディングは意識しなくてもよいぐらいに速くなる事が見込まれる。
これなら、安心してPS5に移行できそうな感じである。
PCとの差別化
おそらく、SIEもMicrosoftも、据置ゲーム機としてPCとの差別化を第一に考えているのではないかと私は思っている。
PCも所謂業務で使用するPCとゲーミングPCではその性能は雲泥の差になっているが、ゲーミングPCはコンシューマ機と異なり、高額な予算をつぎ込んで構成される高級品であるが故に、その性能はコンシューマ機では到底追いつくことができないスペックになる。
しかし、アーキテクチャ的にはゲーミングPCもPS5もXbox Series Xも全く同じ土俵の上で展開されるため、これらとどう差別化するかという事が、ハードウェアの生き残り戦略にもなる。
Xbox Series Xは、ゲーミングPCとの差別化をどのように考えているかはそのハードウェア構成から読み取る事がなかなかできないが、少なくともPS5はゲーミングPCでもまだあまり実現されていないだろう、データ読込みの速さで差別化する事を狙ってきた。
これはこれで一つの武器なので、私は生き残り戦略としては正しいように思う。だが、残念な事に、この差別化は前述した性能指標となる数値には表れないものである。
こうした数値には表れないものを判断する必要があるので、今の時点で何が一番選択肢として間違っていないか等を論じるのは時期尚早と考えている。
とりあえず、今見えている事から私が考えている事を書いてみた。
正直、このPS5のローディングの速さ、2GBを0.27秒という速度でアクセスする性能は、今までのゲーム体験を変革させる可能性があるように思える。初代PSから、光学メディアの読込みには時間がかかるので待つのが当たり前、という常識が根付いているが、それがなくなるわけである。
この変化に期待しつつ、今後のユーザー体験がどんなものになるかを見ていきたいと思う。