AM5の小型PCベアボーンキットがようやく登場。
Ryzen 8000シリーズもイケる
AsRockから、Ryzen 8000/7000シリーズに対応した小型PCベアボーンキット「DeskMini X600」が24日から発売されると発表された。
実売予想価格は32,800円の見込みのようだが、マザーボード、電源、ケースの金額だと考えれば、まずまず妥当な価格といえるかもしれない。
「DeskMini X600」はAMD AM5 Mini-STXプラットフォームマザーボードを搭載する製品で、CPUのTDP 65Wに対応する。
チップセットはAMD X600、メモリはDDR5-6400のSO-DIMMを2スロット、ストレージ用はPCI-Express5.0対応のM.2を1基、同4.0対応のM.2を1基、SATA 6Gbpsのコネクタを2基搭載する。小型PCなので、ストレージ関係のインターフェースをこれだけ持っていれば特に問題にはならないだろう。
他にも、USB3.0 Type-C×1、USB3.0×3、DisplayPort1.4、HDMI、ミニD-Sub15ピン、2.5Gbps Ethernet、音声入出力の端子を持つ。小型PCとして申し分ないインターフェースだと思う。
メモリがノートPCに使用されるSO-DIMMというところで、このパッケージの元々の設計がノートPC寄りだという事がよく分かるワケだが、小型を目指せば自ずとそうなるのだろうなというところだろうか。
Ryzen 8700G
DeskMini X600はRyzen 8000/7000対応としているが、私なら間違いなく搭載するCPUはRyzen7 8700G一択になるだろう。
Zen4アーキテクチャのAPUのデスクトップ版の最上位として君臨するRyzen7 8700Gは、何と言ってもZen4で8コア16スレッド、Radeon 780MというGPUを備え、かつRyzen AIを搭載する。
デスクトップ版のCPU(APU)でNPUを搭載するというところに最大の魅力があるわけだが、このAPUの最大の欠点はキャッシュメモリが少ないという事。
デスクトップ版のRyzen 7000シリーズではL3キャッシュは32MB搭載しているが、8700Gでは16MBしか搭載されていないという問題がある。
よって、処理の内容によっては7000シリーズに劣る事にはなるが、そもそもこの小型パッケージの中にCPU、GPU、NPUが全て搭載されているという事が8700Gを搭載する事のメリットなので、大がかりなシステムではなく、小型PCでいろいろな処理を実現しようというPCを作るなら、DeskMini X600とRyzen7 8700Gの組合せは最適解なのではないかと思う。
願わくば65W版の3D V-Cacheを
このDeskMini X600というパッケージは、作成側の求める形にいろいろと組合せを考えることができるよう、ベアボーン化されていると思われるが、それならばと思うのが、TDP 65W版の3D V-Cache搭載CPUが欲しい、という事である。
ここ最近のRyzenの性能を見ていると、電圧をある程度下げても性能の下落幅はあまり大きくなく、105Wを90~80Wで使用したり、あるいは95Wを65Wで動作させたりする事で、冷却性能に余裕を持たせ、それでいてオーバークロックへと導くという使い方で、性能を出し切るという使い方ができるケースが多い。
しかも、ゲーム特化になるかもしれないが、3D V-Cacheはゲーム実行時にとんでもない性能を発揮することが確認されていて、格上のCPUと渡り合える実力を持つ。
ならばTDP 65Wで動作する3D V-Cache搭載CPUがあれば、小型PCでも相当なゲーミングPCが作れるような気がしてならない。
この場合、ビデオカードは別で搭載する必要があるため、DeskMini X600での運用は難しいが、mini-ITXのマザーボードとそれらを取り込むPCケースでの運用ならば、このようなCPUはとても相性が良いように思える。
例えば、Ryzen7 7700X3Dとかの名称でTDP 65Wの3D V-Cache搭載CPUを出せば、それなりの需要があるように思えるのである。
というか、ゲーミングPCを小さく、安く作るという側面で考えると、Ryzen7 7800X3Dの製造工程で性能が伸び悩んだ廃棄品の中から、65Wで動作させられるものがあれば、それを上手く活用できないだろうか?
…歩留りで落ちた不適格品でこういうのは出ないのだろうか?
ま、夢物語はよいとして、実際問題のDeskMini X600は、APUを搭載し小型でマルチなPCを作る最適なバッケージではないかと思う。
ベアボーンキットは自作初心者にも向いているので、コレを基に自作を始める、というのもよいかもしれない。