全国展開はまだ先ではあるが期待したい。
フレッツ光クロス
NTT東西は、上り/下りの最大通信速度が約10Gbpsのインターネット光回線サービス「フレッツ光クロス」を月額6,300円(税別)で2020年4月1日より提供する事を発表した。
フレッツ光クロスは、光回線を使って上り/下りの最大通信速度が約10Gbpsのベストエフォートで提供される、現行サービスの上位版とも言えるサービス。光コラボレーションモデルの対象サービスでもあるので、今後ドコモ光のような感じで各ISPでサービス提供が始まるものと思われる。
ただし、IPSとの接続方式は従来のPPPoEではなく、IPoE IPv6に限定され、10GBASE-TとWi-Fi6(IEEE802.11ax)対応のサービスとなる。これらに対応するルーターも月額500円でレンタル提供され、従来のフレッツ光で利用できる「フレッツ・テレビ」などのオプションサービスの利用もできる。
そう考えれば、まさしく従来の光ネクストの上位版という感じであり、唯一違うのが接続方式がIPoE IPv6になる、という事のみである。
提供エリア
4月1日からの提供エリアは、NTT東が「足立区」「杉並区」「江戸川区」「練馬区」「世田谷区」「葛飾区」「大田区」「板橋区」の一部となり、NTT西日本が「大阪市」になり、申し込みは3月16日から受付開始される。
2020年6月1日からは名古屋市でも提供開始予定で、こちらは5月11日から申し込み受付が開始される。
地方在住者からしてみれば、NTTが10Gbpsサービスを開始するといっても、当面は全く無関係な話になるかもしれないが、全てはこの都内や大阪市のサービス開始から始まるワケで、ようやくスタート地点に立った、という感じと思うしかない。
私の地域でこのサービスが開始されるには、おそらくまだ数年かかると思うが、おそらく基幹設備は先行して整備されていくと考えられる為、いわゆるNTT局舎と各家庭の間の通信ラインである「アクセスライン」と呼ばれる部分の対応が進んで行けば、案外と早くに地方も対応するかもしれない。
割引サービス
NTT東では、5月30日までに新規申し込みを行い、11月30日までに開通したユーザーに対して、月額料金から1,200円を30ヶ月間割り引く「クロススタート割引」を実施するという。
NTT西では、3月31日までの申し込み受付で月額料金1,100円を24ヶ月間割り引くサービスを実施する予定。各種条件に応じて、初期工事費用の18,000円などの割引も実施するとしている。詳細は各サービスページを確認して欲しい。
個人的には、現在IPoE IPv6サービスに切り替えている人に対しては、光終端端末設置の工事費割引を実施して欲しいと思うのだが、これらは各家庭の状況によってやるべき工事内容が変わるため、難しいのかも知れない。
特にごく初期の頃にBフレッツを契約した家庭では、引き込んだ光ファイバーの終端が光コンセントになっていない家庭もある。IPoE IPv6接続では、この光コンセント接続が絶対条件ではないのだが、それは接続しているONUの通信速度の上限が1Gbpsに対応しているからである。現在の光ネクストで提供されるIPoE IPv6接続では、1Gbps通信が上限なので、現環境で対応が出来てしまう。しかし光クロスサービスはその通信速度が10Gbpsを想定しているため、それに対応するONUは新規設置となる可能性が高い。そうなれば、宅内工事はほぼ必須で、場合によっては家庭に光コンセントへの切り替え工事が必要になる。工事の内容が各家庭で変化するのはその為である。
そうした工事費用などは、イニシャルで必要になる費用ではあるものの、3万円に届くぐらいの工事費用になる場合がある。これらを少しでも軽減できるような割引サービスがあると、その敷居はグッと低くなるのだが。
NTTが上下10Gbpsのサービスに進出してきたのは、他社サービスへの対応という意味もあるかもしれないが、それ以上にWi-Fi6や5G環境への移行、高精細4Kや8K映像の普及、VRやAR、MR技術の一般化など、求められる通信品質が向上していく背景があるからだと考えられる。大容量データが今よりも高速で通信する状況は、今後もっと増えるだろうし、必須のインフラと言える。
そうしたインフラを整える事は、NTTが次世代のアドバンテージを目論む6Gとも関係があるとも言える。
NTTには、早い所全国区で光クロスサービスが提供できるよう、お願いしたいものである。