タイトルにある購買意欲は、実は私のものではない。
とある知人の購買意欲…と言うわけではないが、知人からビデオカードは何を選んだらいいのよ? という質問を受けたので、それなら一度情報を整理してみようかと思い、考えてみた。
といっても、大凡の情報はこのblogに今まで書き続けてきたものがベースなので、そこから予算別に掘り下げるくらいの話。
まぁ、その予算ってのが一番の問題なワケですが。
実のところ、個人的に感じている所では今ビデオカードは買い時ではない。
というのは、NVIDIA、AMD共に新シリーズの全容が見えにくいからだ。
NVIDIAは11月9日にGeForce GTX 580を発売するという情報があり、それは姿を見せる事になるが、それに連なる廉価版(もしくは機能省略版)の話が見えてこない。つまり、ハイエンドは見えていてもミドルレンジやバリューセグメントが見えてこない。
また、AMDにしてもRadeon HD 69xxシリーズが控えているが、未だ革新的な情報が出てこない。挙句の果てにRadeon HD 7xxxシリーズの話が先行して出てきているほど。これでは正しい情報など探るべくもない。
とりあえず、今分かっている所だけで考えても、NVIDIAもAMDもGPUのシュリンクが40nmと昨年と変わらないため、性能はいいところ1.5倍(平均すれば1.2倍程度)の上昇に留まるだろうと思われる。
見えている部分と見えていない部分合わせて、今は情報が非常に混線している為、今市場にある製品レベルでどの製品がいいのか? という事を比較するしか道がない。
私はいつも半年~1年先の状況を見ての最適な製品を考えているのだが、今回はその予測はできないという事を前提に、今買うとしたら…というifで話をまとめたい。
ビデオカードを買う場合、そのメーカーにこだわりがあれば今はそのメーカーの自分のスイートスポット製品を買うのが最適である。
NVIDIAで予算が3万円以下ならGeForce GTX 460シリーズになるだろうし、同じ予算でAMDならRadeon HD 6870(もしくは5870)になるだろう。もしこだわりのメーカーがないのであれば、ここはAMDのRadeon HD 6870をお薦めしたい。性能的には一つ上を狙える。
もし予算が2万円以下でメーカーにこだわりがないとなるのであれば、ちょっと迷いどころ。
実はNVIDIAのGeForce GTX 460に、新しい460SEの情報が出ている。
これはいわゆる460の廉価版で、SP数が336個から288個に落とされたバージョン。但し、460の768MB版よりも一部性能が上がっている部分もあるため、単純にGF104の歩留りから生まれた新しい製品群なのではないか予測される。
その460SEは、大凡460の768MB版と同価格かそれより下の価格になるだろうから、2万円以下に治まってくる可能性がある。
一方AMDはといえば、Radeon HD 6850が2万円強というポジションにある。460シリーズと数千円の差で高い製品となるのだが、性能的に考えとるRadeon HD 6850を選択するという手もある。
また、AMDの場合はRadeon HD 5850という選択肢もある。これは既に2万円以下で手に入るビデオカードであり、性能的にはHD 6850より上に行ける。ある意味、もっとも狙い目のビデオカードかもしれない。
2万円以下の次にくるのは1万5,000円以下のセグメントだが、こちらになると、個人的にはもうNVIDIAの出る幕はないと思っている。
というのは、Radeon HD 5770、5750シリーズの出来があまりにも良すぎるからだ。HD 5770は価格的に15,000円を超える場合があるが、安く買おうと思えば狙える価格に収まってくる。
これに対抗するNVIDIA製品としては、GeForce GTS 450シリーズがあるが、これはセグメントがちょっと下に行き過ぎているような気がしないでもない。つまり、この価格帯にベストマッチな選択がないのである。
予算が1万円以下になると、もう選択肢はたくさんあり、おそらくどれを選んでも変わらない。性能的にも大きな差は生まれない為、好きなものを選べばいい。コネクタの数や種類で選んでもいいだろうし、Low Profileというスタイルで選んでもいい。
ただ、消費電力の面だけで言えば、GT200シリーズのNVIDIAに多少優位性があるか? でもAMDでもそんなに驚くほど変わらないだろうと思われる。
最後にハイエンドの話をするのだが…正直、これはもう好きな方を選んでくれという感じ。
前述したように、GeForce GTX 580が11月9日に発売されるらしい。
そのスペックは、、CUDAコア512個、コアクロック772MHz、シェーダークロック1544MHz、メモリクロック4008MHz、そして搭載メモリがGDDR5の1536MBという事。概算だが、性能的にはGTX 480の1.2~1.4倍程度ではないかと予測する。
Radeon HD 6970は、11月中に発表されるような動きのようだが、未だ見えてこない部分もある。噂ではカードベンダーにまだサンプルが行き渡っていないという話すらある。
ただ、前述したようにシュリンクも変わっていないし、一部アーキテクチャの変更があってもいきなり性能が2倍になる事はない。だとすれば、GeForce GTX 480と580の真ん中ぐらいの性能か、あるいは580に匹敵する性能になるか、ぐらいである。もちろん、両者で得手不得手があるため、すべての面で性能が同じ傾向を見せるとは言い難いが、それは従来と同じである。
まとめてて思ったのは、ミドルレンジが非常に混線しているという事と、バリューセグメントはほとんど両者が変わらないという事である。
2万円以下という所は、実は一番売れる価格帯とも言われていて、NVIDIAがもっとも力をいれている区分なのだが、逆に15,000円以下という所にNVIDIAはほとんど力が入っていない。
なので、メーカーにこだわりがない事を前提に、予算的に15,000円以下であればAMD、2万円以下であれば安い個体があればGeForce GTX 460系かRadeon HD 5850、2万円から3万円を狙えるならRadeon HD 6870といった感じになるのではないかと思う。
全体的なコストパフォーマンスはAMDに軍配が上がる。これはミドルレンジの性能と価格を見て考えれば一目瞭然である。
最後に一つ。
ここまで語っておきながら最後になんて事を言うんだと思われるかもしれないが、ビデオカードというのはハードウェアの性能だけに依存しない。
問題はビデオカードドライバの存在だ。
このドライバに関しては、絶対的にNVIDIAに軍配が上がる。その対応の早さと確実性はAMDの上を行く。ただ、ここ最近のAMDも以前のATIの時ほど悪い対応ではないし、平均的な安定性という意味では随分とよくなった。そこを踏まえて、最終的にどの製品がいいかを決める必要がある。
ここ1年でRadeon HD 58xxシリーズの強さが光っていた事もあるため、今はAMD製品を買うには最適な時期なのかもしれない。
というわけで、どうしても今すぐビデオカードが買いたいという人は、私の意見を参考に考えてみていただければ幸いだ。もちろん、私の主観も相当入っているため、すべてが正しいとは言わないが、概ねこんな感じになるだろうと思われる。
ハイエンドを求める人は、その時期とメーカーは多分私以上に分かっていると思うので、私の意見は参考にしかならない事は最初から分かっている。
問題はミドルレンジ&ハイミドルで…ここはホントに迷う所である。
個人的にはRadeon HD 5870かと思ったりしているのだが…(実は狙い目)。