マルチGPU環境が私の元にやってくるのはまだまだ相当先の話だろうが、世間ではGPUもマルチ化の方法に進んでいる。
ここで言うそれは、SLIやCross Fireといった、ビデオカードを2枚使うという意味でなく、単純に1枚のビデオカードでのGPUのマルチ化である。
2006年6月にGeForce 7950 GX2が登場したときは、1枚と言いながらも1パッケージに2枚の基盤を納めたカタチのものだったが、それでも単一で2つのGPUを使っていた事に違いはない。
そのGeForce 7950 GX2以降、単一ビデオカードでのマルチGPUカードは登場しなかったわけだが、メーカーはSLIなどの技術を熟成させ、着実にマルチ化を進めていたに違いない。
というのは、GPUの世界でもCPUと同じ問題が浮上してきているからだ。
CPUがデュアルコア(マルチコア)に進んだのは、偏にその消費電力の肥大化によるものだ。
性能を引き上げるためにプロセスを微細化、クロックを引き上げるという繰り返しを行ってきたCPUだが、90nm化のあたりでリーク電流による消費電力の肥大化が問題となった。
いや、肥大化というより、本来同性能では小さくなっていかなければならない消費電力が小さくならなくなった、という方が正しい。
それによって起きた現象は、単純に1パッケージ化されたCPUの消費電力の拡大となり、それが発熱の問題を引き起こした。
この問題を解決すべく、消費電力あたりの性能を上げるという方針に変わり、その結果がデュアルコア化だった。
時同じくして、GPUも消費電力拡大の一途をたどっていたのは、ほとんどの人が知っている事だと思う。
GeForce7000系以降の最上位クラスは、PC電源の4ピンコネクタを2つ使用する方向が当たり前になり、カード1枚あたりの消費電力が150wを超え始めた。
そのため、PCに搭載する電源は600wを普通に超え始め、外部電源を増設する…なんて事が行われる状態すら起き始めた。これは、やはり普通ではないと思う。
その方向を打開する方法は、やはりCPUと同じくデュアルコア(マルチコア)化と言われている。
理由はCPUと全く同じだ。
問題は、処理をどうやって並列化させるか?という事であり、処理命令そのものをスケジューリングする手法をどうするか?というところに集約する。
このあたりもCPUと全く同じである。
そんな中、AMDからATI Radeon HD 3870 X2が発表された。
これは単一ビデオカード上にRadeon HD 3870のGPUを2基搭載したものである。
2つのGPUを連結するのはPCI Expressスイッチチップであり、このスイッチチップにより2基のGPUとチップセットをつないでいる。
単一性能ではGeForce8800GTXを上回る性能を持っているが、ドライバのリビジョンによって性能が左右されるようであり、まだまだドライバでの調整が必要なようだ。
逆に言えば、ハードウェアのポテンシャルはまだまだ上という事も言えるわけで、これからが期待できるビデオカードと言える。
NVIDIAでも同じ方向で新しいビデオカードを投入してくるかもしれない。
今年もまたビデオカードのアツい戦いが始まろうとしている。
頼むからホントに熱いのはヤメテ(爆)