昔、ホントに一時期だけだったが、Macintoshには互換機が存在していた。
基本的にMacintoshは互換機が存在しないはずのPCで、初代Macintoshの頃からその動きに変わりはなかった。
だが、Macintoshのコアがモトローラ製のMC68000系からPowerPC系に変わる変革期、Appleが今までの方針を変え、互換機を許可した時代があった。
たしかパイオニアがPowerPC 603eコア(だったと思う)を搭載した音楽に性能を傾けたMacintoshを発売した事がある。
しかし、Macintoshはその後Windowsのシェアにどんどんと浸食され、互換機もロクに売れない自体となり、気がつけば互換機の許可も下りなくなり、その後再びAppleのみがMacintoshのハードウェアを製造するという体制に戻った。
そして時は流れ、MacintoshがMacと本格的に呼ばれるようになり(前は愛称だった)、OSもMacOS Xが搭載されるようになった今、今度はCPUの大変革が行われた。そう、ライバルのIntelが製造したコアを搭載したのである。
その後、それはIntel Macと呼ばれたが、今のMacは全てがIntel Macになっており、ハードウェア的にはWindowsもMacも差がなくなってしまった。
今回、その差がなくなったIntel Macの、起きるべくして起きた問題マシンが登場した。
本物より安くて高性能なMac互換デスクトップの登場である。
米国Psystar社が発売したその互換機は、Mac OS X 10.5 Leopardが動作するPCだ。
一応、BTOに対応した2種類が存在しているが、その中身はCore2 Duoを搭載しており、一部の専用ハードウェアを除けばMacとほぼ同じであり、Windowsとは全く同じ。
ではどうしてその中身でMacOS Xが動作するのかというと、x86ベースのハードウェアで動作させるEFIエミュレータを搭載しているからだ。
一応、標準構成ではOSは未搭載だが、マシンと同時にLeopard(MacOS X)を購入することでプリインストールされるようになっている。
既に米国では発売中という事になっているが、このマシンには根本的な問題がある。
Apple純正ハードウェア以外へのMac OSのインストールが、そのOSの利用規定に違反する可能性があるというのである。また、EFIエミュレータの無断利用という疑いもあるとの事で、この先ずっと販売し続ける事が可能かどうかはわからない。
Windowsの世界では、エミュレータはほぼ当たり前に使われている時代になってきた。もちろん、そこに違法性がある事はほぼないわけだが、私としてはMacも中身がIntel化している今、互換機へと進んだりエミュレーションという道を模索してもいいように思えてならない。
おそらく、その道に進まない最大の理由は、その動作安定性にあるのではないかと思うのだが、もし動作安定性が気になるのなら、安定性の保証は互換機メーカーが行う事にすれば良いのではないかと思う。
AppleはMicrosoftほどのサポート体制がとれないだろうし、あくまでも純正品のサポートを行えばいいと思う。他社が互換機を出すのなら、その互換性のサポートは互換機メーカーが行えばいいわけで、そこに純正品との棲み分けを作ればいいのではないかと私は考える。
また、エミュレータに関してはエミュレータのソフトメーカーがサポートをすればいいわけで、Appleは純正品に基づいたOS開発をすればいいと思う。
おそらく、そうしない理由はハードウェアの価格下落という事を懸念しての事だと思うが、Windowsのシェアを突き崩すには、これぐらいの普及活動をしなければならないハズだ。
Linuxがシェアを伸ばしているのは、何もOSの価格が安いからではない。
搭載するハードウェアの価格の安さ、そして動作安定性だと思う。
AppleがWindowsのシェアを突き崩そうと思えば、まず同じ土俵に上がらなければならないハズだ。
まぁ…実際にそういう道をたどるとは思えないが、今こうした互換機が登場したという意味は深いと思う。
Vistaが上手く立ち上がっていない今こそ、Windowsのシェアを突き崩すチャンスと言える。
Appleの固い頭が柔らかくなることを祈る。