先日から既に手元に届いていたのだが、ようやく観る事ができた。
いよいよシャア・セイラ編へ
機動戦士ガンダム The Originがアニメ化される…という話を聞いたとき、私は一年戦争、つまり1stガンダムのリメイクが始まるものだと思っていた。
しかし、実際にはキャラクターデザインの安彦氏が書いた漫画で初めて語られる部分、つまり、シャアとセイラの幼い時の話がOVA化されるという、そんな話に変わっていた。
今、流石に50話近くもある1stガンダムをリメイクするのはしんどいという事なのか、それともお試しみたいなもので展開するつもりなのかは解らないが、兎にも角にもシァア・セイラ編がアニメ化される事となった。
提供方法はユニコーンの時と同じで、1時間前後を1話として劇場先行公開し、それをOVAとして販売するという形を採っている。まぁ、間違いのない売り方とは言わないが、堅実と言えば堅実な作り方である。
宇宙戦艦ヤマト2199もそうだったが、この手の作り方は一定のファンがいるという事が解っている時にもっとも効果を発揮する提供方法なのかもしれない。
話を戻す。
The Originで初めて語られた部分は、まだジオン・ズム・ダイクンが生きている頃から始まる。ある意味、ザビ家が台頭する側面を描いているとも言えるが、それは結果としてそう見えているだけ。結論から言えば、ダイクン家が没落していく状況を描いたらザビ家台頭に繋がったという事である。
こういう昔話を持ち出してくると、実に面白いのが1stガンダムで登場していた人物の若き日の姿が見られるという事。
青い巨星のランバ・ラルの若き日の姿や、1stガンダムでランバ・ラルの弔い合戦に参加したタチ少尉なんかも出てきて、ストーリーにスパイスを与える一因となっているのは実に観ていて面白い。
純粋にそういうストーリーを観ていくという点で言えば、実に良く出来た良作と言えるが、結構厳しい目で見ている人もいるもので、注意しなければならない事がいくつかあったりする。
設定が…
その注意しなければならない事の筆頭は、特にメカ設定などの部分において、過去作と辻褄が合わない部分がある、という事である。
この部分を持ち上げて、Amazon.co.jpなどの評価で星一つなんて人もいるが…それってそんなに重要な事か?
別に設定が違う事を指摘する事が悪いとかいうつもりはない。
だが、過去ガンダムは何度も設定を作り替えて今の作品が立ち上がってきている。そもそも、当初はこんなにSF考証を必要とするような作品として立ち上げていないだろうし、The Originをマンガで描き始めた時も、1stガンダムに忠実である事を最優先していたとは思えない。
もし、どうして「正史」というものが必要だとするならば、これはもう、コンテンツホルダーがガンダム正史を正式に発行するしか道はなく、それを外野がとやかく言う必要がないのである。
また、初期の頃に展開していたMSVが正史になっている時点で実は間違っている事に、一体どれだけの人が気付いているだろうか?
最終的にコンテンツホルダーがその内容を取り入れた事で正史に組み込まれたワケだが、展開時には必ずしも正史とは言えなかったハズなのである。
だが、今の人はそういった流れとは違う視点で、やれ設定が違っているとか、間違った認識だとか言っている。
まず、今観た作品が面白かったのか、どうなのか?
そしてその上で設定として違いがあるのなら、その違いを受け入れるにはどうするか? 受け入れられないのか? という事を論じるのが先ではないだろうか?
今は神話とまで呼ばれるようになったクトゥルフ神話など、複数の作者の間で結構な認識の違いなどもあるが、作品としては全て受け入れられ、神話として成立している。
それは紛れもなく作品として面白いからであり、その面白さの上に世界観が立っているからだと私は思う。
なら、ガンダムもそうあっても良いのではないだろうか?
設定を守る為に面白さを失ってしまったなら、それは作品として本末転倒だと思う。単一作品の中で崩れている設定ならまだしも、複数作品にまたがっての設定の崩れなど、よほど大きな者でない限りはどうとでもできる後付設定というものが可能なのだから。
この動き…見た事あるぞ?
さて、今回のThe Originの第一作目だが、最初はルウム戦役の映像から始まる。
ドズル中将の艦隊がティアンム艦隊と戦って苦戦している状況で、ジオン別働隊がレビル艦隊をMSで奇襲、そのままレビル座乗の脱出艇を拿捕する前までが映像化されている。
注目はレビル艦隊を攻撃するMS部隊で、昔なら表現できなかったような映像の作り方、つまりCGだからこそ可能になった演出で魅せてくれる。
艦船より遙かに速いMSの動きから次々と戦艦を沈めていくMSの動き、またバズーカ等の弾頭の軌跡など、はて特徴のある動きだなぁ…と思って観ていたのだが、ラストのスタッフロールを観ると、このオープニングの映像の絵コンテを板野一郎氏が担当していた。
なるほど、板野サーカスだったかw
超時空要塞マクロスでの戦闘で、独特のミサイルの軌跡を描き、その動きのトリッキーさ、美しさ、面白さを演出した板野一郎氏のこの技法(?)は、その後「板野サーカス」と呼ばれるようになったが、久々に観る事になるとは思わなかった。
結構よく動き、メカもよく描き込まれていて、見応えのある映像だが、今作における派手な戦闘はこのシーンぐらいで、あとは本作終盤に出てくるガンタンクもどき(あえて“もどき”と言っておく)の市街戦発砲シーンぐらいのものである。
基本、The OriginのOVAはキャスバルがなぜシャアという存在になったのか? またその時セイラはどうだったのか? という話の流れを辿っていく。原作を読んだ人ならわかると思うが、派手な戦闘が想定されるのは、シャアが士官学校時代にガルマと共にクーデターまがいの事を起こす時ぐらいで、他はメカによる戦闘らしい戦闘というものが存在しない。
だから、第二作目と続く今後も、よほど途中に別シーンを入れない限りはそういった戦闘は出てこないのではないかと思う。
売上に期待
さて…最初の話に戻るが、私はこのThe Originの全てがアニメ化されると当初は思っていた。つまり一年戦争の1stガンダムを完全リメイクすると思っていたのだが、実際はそうではなく、シァア・セイラ編を映像化するという流れとなった…と最初に書いた。
だが、実はこのシァア・セイラ編の売上次第では、The Originの全てを映像化する計画があるというのである。
つまり、売れれば売れるほど、1stガンダムのリメイクの可能性が出てくるというのである。
これは、The Originの劇場先行上映時の舞台挨拶の時に話が出たそうだが、そういう話がある以上、期待せずにはいられない。
1stガンダムは実に時代の古い作品であるため、今観ると明らかに違和感を感じるし、作品としてもったいないと私は思う。この辺りでリメイクして、現代の人にも「何故未だに1stガンダムが持ち上げられるのか?」という事の真意を知って戴きたいと思う。
たとえTVシリーズのような約50話の話(25時間分)にならなくとも、OVAで各巻1時間12~13巻構成(つまりTVシリーズの約半分)でも、リメイクされる事に意味がある。
早い内にリメイクしないと、キャラの中の人がどんどんいなくなってしまう(爆)
というわけで、皆さん買いなさい(爆)
ぜひ買ってくれ!